不倫って許す許さないじゃなくて
結局、一晩をラブホで過ごした二人。美都は翌日の仕事を休み、横浜の実家に身を寄せて母の営むスナックのカウンターに立ちます。有島くんともう会えないんだなあと実感し、「もうどうでもいいや~このままでいいや~私こういうの(地元のおやじしか来ない小さくて不潔っぽいスナックのママ)でいいんじゃない?」と自暴自棄になっている美都。前向きに「心機一転、スナックで頑張るぞぉー!」じゃなくって、ネガティブに「こんなんでいいや」なんですよね。びっくりなことに美都は結婚指輪を外してないんですけど、親や客の手前?
そこへ颯爽と登場した夫・涼太。“夜の女”の装いをした美都を見て露骨にイヤな顔をし連れ帰ろうとしますが、美都は彼を占い館へ誘い、二人の相性やら何やらを診てもらうことになりました。自分に都合の悪い占い結果は聞きたくない、涼太はどんどん取り乱していき「もっと当たるところで見てもらおうよ、霊感占いってどう? スピリチュアルってやつ面白そうだよね、前世占いは? 僕たち前世もきっと」と鼻息を荒げて美都を抱きしめます。うわあ好きじゃない男に抱きしめられて可哀想、って私は思っちゃったけれど、美都は「あ、懐かしいニオイ。二番目に好きだった人のにおい」と、さほど抵抗しません。が、直後「離婚してください」と切り出し、とりあえず夫婦の自宅に戻って話し合いをすることで決着。帰宅するとリビングには第六話ラストでぶちまけた赤ワインの染みが痛々しく残り、寝室にはビールやカップ麺の残骸、涼太の荒み方を表しています。もちろんそこで罪悪感覚えて「ごめん」なんて謝る美都ではないんですけどね。モノローグはなかったけれど、嫌悪感をあらわにして怒気まじりの声色で喋る美都の心境は「キモッ」だったんじゃないでしょうか。
一方の有島家はといいますと、こちらも穏やかではいられなくなりました。表面張力でギリギリ水面を保っていたコップからドバッと水が溢れちゃった、みたいな。つまり夫の不倫が妻にバレた、というか夫が耐えられなくなってゲロッちゃったんですね。
「たまには、半日、いや数時間だけでいいからお母さんを忘れたい。美容室にも行きたいしちょっとおしゃれして光軌と二人で外で食事でもしたいな。いい?」という麗華の要望に「いいに決まってんじゃん! 母ちゃんに来てもらうわー子守してもらおう!」と喜び張り切る有島くん。おそらく数日後、有島母と妹が子守にやって来て、夫婦は高級焼肉店で水入らずのデートを楽しみます。子供を預けての外出なんて滅多にない大イベントなので、有島くんは無邪気に「肉食ってるだけなのに、何かすっごい悪いことしてる気になるな!」と笑いますが、麗華の「男の人は、悪いことが好きだからね(微笑)」という返しにだんだん不安になってくるのでした。
そして訪れた二軒目のバー。というか高級ホテルの高層階にあるラウンジ、でしょうか。「あなたと結婚しなかったらこんなところ一生来なかったんだろうなあ。ありがとう」と感謝を述べ、さらに重ねて日頃の御礼を口にする麗華に、有島くんは「これ絶対オレの浮気バレてる」と確信し観念、泣きながら、不貞行為に及んだことを白状して謝罪します。でも麗華は別に、「前に訪ねてきたワタナベって女と不倫したでしょ?」なんて追及してないんですよ。「いつもありがとう、私を幸せにしてくれてありがとう」と微笑んだだけ。有島くんは自分が決して“特別良い夫”ではないと思ったから、自責の念に耐えられなくなったのかもしれません。
じゃあ麗華は、泣いて謝った夫を許すのか? さあ、どうでしょう……。麗華の父親は、外に「キレイでワガママで女のイヤなところを凝縮したようなカワイイ愛人」をつくり、母につらい思いをさせてきました。夫婦喧嘩で家がめちゃくちゃになったこともありました。生活費が足りないから麗華は高校時代からバイトして家計を助けてきました。その麗華が、父と同じことをした夫と「幸せ」な結婚生活を続けることが出来るか? 許す許さないじゃなくて、「もう前と同じようにはいられない」んじゃないでしょうか。こちらの夫婦が最終回でどうなるのか、それが一番気になります。
<ヤァヤァヤァ!職場に育三郎がやって来た!~今週の育三郎~>
原作にはいないオリキャラ・涼太の同僚で親友のインテリアデザイナー小田原(山崎育三郎)は、トリッキーな動きを見せる大注目のキャラですが、今回もやってくれています。
美都の職場を予告なく訪問し、美都をランチに連れ出した小田原は、かつて美都と有島くんの浮気現場を目撃した、と明かします。「責めるつもりはない、でも奥さんが心配で」と言いながら、「何か困ったことがあったらいつでも連絡ください、あいつのこと愚痴れるのオレだけでしょ」と名刺を差し出す小田原……何なの、何を企んでいるの?(美都に気があるとかではないはず)
そもそも小田原と涼太はどうしてただの同僚を超えた親友関係になったのか。抽象的ですがその答えが美都との会話で明かされました。
美都「あの、涼ちゃんてどんな人だと思います?」
小田原「俺は、あいつに救われたんです。昔ね。悩んでたときに、夢とか希望とか愛とか、あきらめるなってよく言うけど、全部がうまくいくことってないじゃないですか。追い続けるのってきついし、追い求めるのが正しいわけでもない。そういうのが苦しかったときに渡辺が言ったんです、『足るを知る』って。このくらいで充分なんだって」
美都の心の声(足るを知る? 私は無理だそんなの、欲しくて欲しくて仕方なかった、好きな人が、幸せが)
小田原「冗談じゃない、って顔してる。本当に嘘がつけない人ですよね。だから渡辺が奥さんみたいな欲深い人と結婚したのが意外で」
美都「涼ちゃんらしくないんですね」
小田原「失礼ですけど、渡辺とは別れたほうがいいと思います。お互いのために。というより、奥さんのためかな。美都さんには幸せになってほしいから」
美都「そうですよね」
小田原「ふふっやっぱり面白い人だな~」
美都「すいません、私、思ってたよりずっと欲深い人間のようです(笑)」
小田原の助言を受け、役所で離婚届用紙を入手した美都は、涼太に記入を促しますが、涼太は笑顔で用紙をビリビリに破り……というところで第七話エンド。次週、育三郎はスナックで美都ママとデュエットするシーンがある模様、早く見たいよそのシーン!
(ドラマ班:下戸)
【第一話】再現VTRみたい…アレンジがダサい、役者も演出もしょぼい!
【第二話】気持ち悪いのは粘着夫(東出昌大)ではなく恋愛脳満開の新婚妻(波瑠)の方では…?
【第三話】不倫妻が罪悪感ゼロなのは夫を少しも愛してはいないから
【第四話】夫が陽気なイケメンだったら、妻がもっと成熟した女なら、夫婦は噛み合ったのか? 否、結婚していなかったでしょう
【第五話】不倫相手の自宅訪問を時間差攻撃で! 恐怖演出で不倫解消を促進する逆ゲス効果アリ
【第六話】奇声上げ赤ワインぶちまけ!東出昌大の発狂が注目集めて視聴率急上昇、山崎育三郎の思惑は?
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▼母になる
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