「友人は大人になっているのに、なんだか私だけいつまでも変わらない」
「プライベートも仕事も友人のほうが成功しているように見えて劣等感を覚える」
「私、このままでいいんだろうか」
そんな風に考えることはありませんか? TwitterやFB、Instagramなどで友人たちの華やかな日常が自然と目に入ってしまう現代、他人と自分を比べて自己嫌悪になってしまうことも多いのではないでしょうか。自己嫌悪に陥りながらも、なかなか現状を変えようと動き出すことができない――そんな人も多いかと思います。
32才。恋に破れた後、残るのは自分だけ
映画『100円の恋』(2014年 安藤サクラ主演)の主人公、一子は、無職で実家に引きこもりがち、一日中ゲームをして過ごし、これ以上ないくらいに自堕落な生活を送っている32才。おまけに恋愛経験もありません。
実家でごろごろしていた一子でしたが、母親や出戻りの妹に疎ましがられ、一人暮らしを始めます。面倒だけど親もうるさいし……と不本意ながら重い腰をあげたのです。
そこで選んだバイトは、底辺の人間たちの巣窟と化していた100円均一ショップでの深夜勤務でした。淡々と仕事をこなしていた一子は、ある日、近くのボクシングジムでストイックにトレーニングをしている男性・狩野祐二(新井浩文) に一目ぼれをします。この狩野が小汚いのに(小汚いから?)ワイルドな魅力があってかっこいい。まあ、こんな男性が近くにいたら一子じゃなくても惚れちゃうわな~というフェロモンが出まくっています。なんだかんだでその恋は成就し、有頂天になる一子。
好きな人ができて恋が叶う。経験がある方も多いと思いますが、その瞬間に日常生活がいきなり張り合いのあるものに感じられますよね。この人さえいれば何もいらない! なんて考えてしまったり。しかし、初期のトキメキが永遠に続くことは残念ながら稀です。一子と狩野は、最悪の形で終わりを告げてしまいます。狩野がだらしないダメ男なんですよ……。
恋が終わった後、一子は意外な選択に出ます。かつて見惚れたボクサーに自分自身がなろう、と決意するのです。ここまでは、登場人物が揃いも揃って全員クズ。苛立ちすら覚えていたのですが、後半は怒涛の巻き返しを見せていきます。
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