女性たちはみなセックスについて饒舌に語ります。経験がない人でも自身の状況を、きちんと言語化できています(インタビュアーさんの腕前もあるのでしょうが)。それによってセックスをするもしないも“私たちの現実”であり、生活であり、ほんとうに人それぞれなのだと感じました。
「めくるめくセックス」「私史上最高のセックス」そして「結婚できるセックス」って、メディアが提示するセックスの水準って、得てして高すぎ。読者はそんなもの求めていないのでは? セックス観は人それぞれ、“すンごいセックス”に憧れないわけではないけど、努力してまではちょっと……というスタンスの人もいますよね。それよりも、割り切れなさやもどかしさを感じながらも、きょうも誰かと肌を重ねるというほうがよほどリアルです。
特集半ばに収録されている、峰なゆかさんの漫画で「女はほかの女の平均値を知りたがる」というものがありました。そうすることで安心したいんですよね。ただ、経験人数は何人とかオーガズムの経験があるかとか、2000人アンケートで明らかになる平均値よりも、女性たちの語りによって「な~んだ、状況は違えどみんなセックスで結構しょっぱい思いもしているのね」とわかるほうが、安心できそうです。そんな肯定感って消極的ですかね。でも、セックスをめくるめくキラキラしたものとして見せるよりは、ずっとずっと現実に即しています。
本音をいうと30人分を読み込むのは少々しんどくはありました(笑)。が、たいていの人は読んでいてひとりくらいは共感できるリポートがあるでしょう。それだけでも、読む価値ありです。