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「母親を嫌いな子供なんていません」というセリフの無責任/『母になる』第八話レビュー

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母になる

『母になる』公式webサイトより

日テレ水10枠『母になる』。第七話で、産んだ女・結衣(沢尻エリカ)が、産めなかった女・麻子(小池栄子)に放った同情発言「子供が欲しいのにできなくて……かわいそうに」。これが麻子の逆鱗に触れ、バトル勃発となりました。

誘拐され放置されていた結衣の息子・広(道枝駿佑)を隣家で発見し、警察に届けないで自ら育てるという暴挙に出た麻子。結衣は麻子を「かわいそうな人」と見下さなければやっていられないのかもなぁ……とも思いましたが、いや、あのとき結衣が発した「かわいそうに」はそういう類の台詞ではなかったという気がしてきました。複雑な気持ちからではなく、むしろ“ピュアな女性”という結衣のキャラクターからして単純に「かわいそう」と思ったから、自然と口をついて出たんじゃなかろうかと。結衣自身が“善人”で人の言葉を悪く捉えるタイプじゃないから、自分の発言が悪く捉えられるとは思ってもみなかったんじゃないでしょうか。

【試写レポート】テレビドラマにおける母親という存在の描かれ方
【第一話】沢尻エリカ演じるベタベタ清純派の良妻賢母が宿した小さなリアリティ
【第二話】3歳まで育てた産みの母は「何も知らないおばさん」…育ての母の強烈な手紙
【第三話】育ての母の態度急変!親たちに振り回される不憫な息子
【第四話】一人で苦悩する母親、父である男と一緒に親になることはできないの?
【第五話】最低な母親でもかけがえのない大切な人と思うべき? 聖母か鬼女か、極端な母親描写
【第六話】「あなた母親じゃないわ」「母親って何ですか?」他人の子をこっそり育ててきた女の事情がついに明かされる
【第七話】産んだ女と産めなかった女の罵り合いに正解はない

育児放棄の新キャラ

そんなこんなで、結衣と麻子はわかり合うどころじゃなく決裂したのですが、第八話が始まると、結衣は麻子から電話を貰います(番号は広から聞いていた)。麻子の用件は、自分とあの子(広)のことを調べている人がいて記事になるかもしれない、自分が人を刺して刑務所に入っていたこと(=2年前広が施設に預けられた理由)をあの子は知らない、もし記事が出てあの子の目に触れたとしてもどうか今はデタラメだと嘘を付いてくれないか、というもの。あの子はまだ中学生、本当のことを受け止めきれないのでは、と心配な麻子ママは、結衣ママに「あの子のためです。お願いします」と電話越しに頭を下げます。結衣と話す時は広を名前ではなく「あの子」と呼んでいる麻子さん。未だ職ナシでネットカフェに寝泊まりしていますけど、お金大丈夫なんですかね?

広に事実を打ち明けるべきか否か、結衣と元夫・陽一(藤木直人)にとっては実に悩ましい話で、隠そうとしてもネットで情報を調べることが出来るからずっと嘘を吐き続けるのは無理だし、かといってタイミングを見極めなければ広は「大人に嘘を吐かれた」と不信感を抱くかもしれない……。大人は大人で、この子なら事実を受け止め乗り越えられるだろうと「子供を信じる力」を持つ必要があるわけですが、結衣は広を信じられるのでしょうか?

第八話では、義理の息子(小学生)をネグレクトする上牧愛美(大塚寧々)という女性が新キャラとして登場したのですが、このドラマは極端な母親描写が多いと改めて思いました。親の役割を放棄する鬼母か、子供のためなら何でもできる聖母。もっと平凡な母親登場させなyo!

愛美は、結衣たちが暮らす柏崎オートに車の修理を依頼しますが、真の目的は、9年前に誘拐された広を麻子が育てていた件および麻子が起こした傷害事件について情報を入手すること。麻子の周辺を嗅ぎまわるジャーナリストの沢登(森田甘路)にその情報を提供しようとしているのでした。しかも愛美は児童相談所の児童福祉司・木野(中島裕翔)の亡き親友の母親で、かつて実の息子をネグレクトしていた過去があり(そのため息子のケガに気づけず、息子は亡くなってしまう)、現在は内縁の夫の連れ子をネグレクト中……。このドラマは基本的に世間狭し、ですね。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

ネグレクトされた子どもへの支援――理解と対応のハンドブック