インタビュー

「私を好きなら全部受け入れる義務がある!」歪んだ恋愛観に付き合った“都合のいい夫”/あらいぴろよさんインタビュー【2】

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あらいぴろよさん 撮影: 山田 秀隆

あらいぴろよさん
(撮影: 山田 秀隆)

 20代前半の一時期、好きでもない男性に粉をかけまくり、チヤホヤされて充足感を得る“隠れビッチ”だったというイラストレーター・あらいぴろよさん。 “男性からチヤホヤされるのが生き甲斐なクズ女”だった自分、そのことに気付いて足を洗う過程、愛に飢えている自分自身を見つめる苦行……10年にわたるご自身の経験をまとめたコミックエッセイ『“隠れビッチ”やってました。』(光文社)をリリースしたぴろよさんに、<女じゃなくて、ちゃんとした人間になること>についてお話を伺いました。

◆前篇【『“隠れビッチ”やってました。』男性からチヤホヤされる気持ちよさで満たされていた20代

怒鳴りたい・喧嘩したい・罵倒してしまいそう

――マンガ『隠れビッチ~』のおおまかな流れは、「隠れビッチ全盛期→美容師見習いの安藤くんと淡い恋→現在の夫と恋愛・独占欲等で苦悩→産後、幼少期のトラウマで苦悩→自分自身と向き合う」という構成になっています。前篇では隠れビッチ全盛期について話していただきましたが、ここで「美容師見習いの安藤くんと淡い恋」についてお伺いしたいことがあるんです。というのは、隠れビッチ全盛期にはチヤホヤしてくる男性への警戒心がMAXだったのに、安藤くんに対してはぴろよさんから積極的に近づいて彼の家まで行ったりしています。ほかの男性とどこが違ったんでしょうか?

あらい 彼は同郷で、住んでいた地域も近くだと判明してから、ものすごい親近感を覚えちゃって。この人絶対悪い人じゃない! みたいな、もろい思い込みです。あと、彼は美容学校に通っていたんですけど、「未来の美容師! かっこいい!」という崇拝と青田買いに近い部分もありました。恋に恋してる感覚です。

でも関係してた時期は短くて、仲良くしていたのはたぶん2~3カ月くらい。ちゃんと付き合っていたわけでもなかったんです。ただ、それまでのチヤホヤ男性と違うのは、私が安藤くんを好きだということで。

でも相手は将来はハイパーかっこいい美容師(予定)なわけですから、すごく好きなんだけど、かっこつけて自分の中の欲を隠したり、テンパっちゃったりして。もし「好き」とか「キスして」って伝えて、「何いってんの? バカじゃないの?」って言われたら、もう格好悪いし立ち直れない。だから「好き」なんて、とてもじゃないけど言えなかった。

――お付き合いすることなく徐々に疎遠になってしまったのはどうしてですか?

あらい 一緒にいるとやっぱり気になることが出てくると思うんですけど、彼は美容師(予定)ですから、女性の知り合いが多くて。だんだん自分の中の嫉妬心に火がついて、「怒鳴りたい」とか「喧嘩したい」という衝動が出てきちゃって。今、口を開いたら罵倒しちゃう、でもそういうことはしたくない、と思ったら……この人とは一緒にいられないと思いました。

後からわかったことですけど、彼もそういうところがあったんですよね。安藤くんからしたら私はおしゃれなイラストレーター(予定)で、やっぱりカッコ悪いとこ見せたくなかったんじゃないかな。フィルターを通して相手を見て、いいところしか見せてない、私と一緒だった。

似た者同士で一緒に成長できる相手なら良かったんですけど、それができないということ、やはり恋に恋してただけなんですよね。だからこそ私と彼はやっぱり一緒に生きていけない。でも安藤くんと出会ったことで、隠れビッチは卒業したんですよ。「男性にチヤホヤされることで自身の欲求を満たしている」と自覚したので。

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『”隠れビッチ”やってました』より抜粋

――「男性にチヤホヤされることで自身の欲求を満たしている」から、就きたい職業とか将来の進路から目を逸らしていた、ということですよね。

あらい メンタルが健全じゃないから、将来のこととか全然真剣に考えられなかったんです。でも安藤くんが美容師になるために頑張っているのを見て、自分もイラストレーターになりたいという夢を本気で叶えたいと思って。

するとそれまでは自分の夢に真剣に向き合って行動する必要がないぐらい、男性からチヤホヤされることで心を満たしていたことに気付きました。その後、イラストレーターになるべく、勉強のために学校に行くようになったこともあって、正社員の仕事を辞めて派遣会社に登録、携帯販売、ビラ配り、キャンギャル、イベントでの交通整理なんかをやって食いつなぎました。

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“隠れビッチ”やってました。 ワタシはぜったい虐待しませんからね!