インタビュー

「私を好きなら全部受け入れる義務がある!」歪んだ恋愛観に付き合った“都合のいい夫”/あらいぴろよさんインタビュー【2】

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――マンガの描写を見ていると、よく三沢さんは交際中に別れを切り出さなかったなあと失礼ながら思ってしまったんですが(苦笑)。ぴろよさんは、愛情を試すためにワザと彼にいやがらせをしたり、「私のこと好きなんでしょう? だから、私の全てを受け入れる義務があるの! 私の権利なの!」と怒鳴ったりしているじゃないですか。そのことにぴろよさんご自身は疑問も感じていなくて正論だと思っている。三沢さんはどう受け止めていたのでしょう。

『”隠れビッチ”やってました』より抜粋

『”隠れビッチ”やってました』より抜粋

 

『”隠れビッチ”やってました』より抜粋

『”隠れビッチ”やってました』より抜粋

あらい あまり描いてないですが、夫には「その考え方は人としてどうなの?」と反論されたりしました。ただ、私の愛を疑われたわけではないので、私は気にしてなかったというか、聞く耳を持たなかったというか。

――愛を疑われたわけではない、というのは?

あらい 俺のこと好きじゃないんでしょ、とは言われなかったというか。しかも夫は、私が「愛して愛して!」って要求した時に、「ウザいな~重いな~面倒くさいな~」じゃなくて「わぁ、俺はこんなに愛されてるのかぁ☆」って受け止め方をしてたらしいんですよね。

――やたらと愛情を求められるのも「俺に真剣にぶつかってきてくれてる!」と捉える人なんですね。

あらい そうなんです……。穏やかで静かな松岡修造さんのような感じの人で、過剰なポジティブというわけでもないけど、否定をしないんです。そして、できないとは言わない。難しいことでも「こういう風にしていこうか」って。それがもし失敗しても、「じゃあ、こうしていこうか」って一緒に考えてくれる人なので、私も夫にならってトライ&エラーでいきましょう、という考え方に変わることができました。今思えば本当に、親がしてくれることを、夫にしてもらったような気がします。

以前の私は、相手が予想外の行動をしたら「お前、こうするって言ったじゃん!」って激怒していました。「Aって言ったらAだろ、なんでBなんだよ!」って。でも夫は冷静に「だけどAはできないから今はBでしょ、わかるよね」って辛抱強く向き合ってくれて。今考えると、夫もよくそんな理不尽な幼稚さに付き合ってくれたなぁと思います。

あげく私は謝れない人だったし……夫の要望をひとつ聞いてあげたら、今度は私のお願い100個聞いて! って感じでしたし、もう、最低ですよね。あの幼稚さ、視野の狭さ、今思うと、人格障害だったのかなってくらい。

――人格障害……。

あらい 診断は受けてないから著書には書いてないですけど。息子が産まれてから、発達障害のことなども勉強しておいた方がいいなと思って色々な本を読みまして、「自己愛性人格障害」について書かれた章を見た時に、あまりにも自分の性格に当てはまりすぎていて「あれ? これ私のことか?」って。<自分の思考が正論だと思いこんでいる。頑固に見えて実は頑固じゃない、自分を通したいだけだから言い分がコロコロ変わる。だから筋が通ってない>とか。

なぜそれになってしまうのかとも調べてみたら、生来の性質もあるらしいですが、過剰な愛情の家庭か、虐待のある家庭で育つことも条件のひとつにあって。なるほどーって納得しちゃいましたね。今はそういう極端な性格も、まわりの方のお蔭もあって個性レベルに落ち着いてきたと思います。

――三沢さんへの愛情確認目的のいやがらせや独占欲も、今は落ち着いたんですか?

あらい 落ち着きました。付き合いはじめてから9年目ですけど、交際当初が100%だとしたら、結婚していきなり40%くらいに。結婚って法的な契約なので、明日いきなり捨てられることがないから、安心感で落ち着いたんだと思います。それからずっと40%くらいのところを低空飛行していて、出産、育児、父の死を経ていろいろ考えて、今は5%くらいまで下がりました。

今はもう、夫が私のことを愛してようが愛してなかろうがどうでもいいんです。今までは、私の気持ちを夫からの愛情で測っていたところもあって、いやがらせに近い愛情確認をしていたわけですが、夫に私の気持ちを肯定してもらわなくても、私の気持ちは消えないことにようやく気付いたので5%です。ただ、まだたまにいたずらしたくなるので、やっぱり5%です。でもその5%は、人間ですから、完全になくす必要もないと思っています。

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“隠れビッチ”やってました。 ワタシはぜったい虐待しませんからね!