「標準医療の悪口」というのは、冒頭に登場した大葉ナナコ氏など、一部の自然派が繰り返し口にする、病院での一般的なお産を相対的に貶めるトークの数々。代表的なものは、
・必要がないケースが多いのに、安易に会陰切開や帝王切開をする。すると母体の産後ダメージも大きくなる。
・帝王切開や陣痛促進剤を使うお産は、赤ちゃんが自分のタイミングで出てこれなかったことを不満に思う
・病院のお産は機械的で温かみがない
・妊婦がリラックスできないような病院の環境では、体がゆるまずお産が進まない。痛みも強くなる
などです。そういった価値観に毒されすぎると、土壇場で医療のお世話になっても、「不本意だった」「満足できなかった」「子どもに悪いことをしてしまった」と不満を募らせるケースが珍しくありません。A子さんの場合、自然なお産を扱いながらも過剰に神格化せず、臨機応変な合理的な対応をしてくれる助産院に出会えたことは、ラッキーだったのでしょう。
〈自然なお産〉界隈では、科学的に根拠のない〈ホメオパシー〉を取り入れることがよく問題視されますが、それに関してはバッチリ処方されたA子さん。
「病院に搬送されても助産師さんはついてきてくれるので、陣痛の間にレメディを渡されましたよ。あくまで〈元気玉〉という名目ですけど(笑)」
ホメオパシーで使われるレメディは砂糖の固まりなので、なるほど〈元気玉〉という名目なら、正しいのでしょう。
自然派ママとの交流が、途絶える
産後はマクロビに興味を持つものの「基本的にズボラなので」と挫折したり、保育園は布オムツだけど家では紙オムツにしたりなど、ゆるく楽しむ範囲で〈自然派〉に触れつつ、第2子の出産で待望(?)の自宅出産に挑むことに。
「1人目の出産が初めての入院で、とにかく寂しくて。だから今回は出産で入院するのがイヤで、自宅で産みたいなと思いました。幸い1人目のときのように熱が出ることもなくトラブルもなくて、リラックスして産めました」
2回目のお産で面白かったのは、自宅での分娩よりも通っていた助産院での集まりですかね。同じくらいの月齢の赤ちゃんがいる妊婦同士や先輩ママと交流しましょうみたいな集まりがあるんですよ。そこで胎教の一種だと思うのですが、〈筆を持って胎内の子どもからのメッセージを感じながら自動筆記する〉という体験を語る人や、生まれたら胎盤を切り離さず、自然にとれるまでウコンと塩に漬けるという〈ロータスバース〉の話とか。半分くらいの参加者はちょっと引いてましたけど(笑)、残り半分は素敵~!とキラキラ聞いていたかな。そういう興味津々なお母さんたちは、第1子と間の空いた2人目の妊娠で、新しいお産の情報面白い! といったニュアンスです」