その他、ホメオパシー信者のママ友にワクチン接種の重要性を話した後に「Hib(ヒブ)※※のレメディ、あったよ!」というメールが送られてきたり(このママ友の言わんとするのは、「Hib菌を極限まで希釈した砂糖玉=レメディで感染症を予防できる」ということ)、性教育の話の流れではFacebookの友達のつながりで誕生学アドバイザーが現れるなど、自然派寄りのトンデモさんが次々登場。しかし最終的には皆、音信不通になってつながりが絶えてしまったといいます。自然派出産を経たものの、どっぷり自然派にはならず、標準医療や便利なものを取り入れるA子さんは、相容れない存在とされたのか……。
※※乳幼児の細菌性髄膜炎の原因となるヒブ菌(インフルエンザ菌b型)のこと。2014年より予防接種法に基づき接種義務のある定期予防接種となったが、それまでは任意接種だった。国内で接種可能になったのは2008年から。
こんなA子さんの体験から、大葉ナナコ氏や吉村医院など過激な自然派が入口であったものの良識ある適切な処置を受けられた経験や、産後は周りからたくさんのトンデモ情報が入る環境でもワクチン講座などに参加して情報のバランスをとっていたことが、〈沼〉にハマらなかった分かれ道であったように思えます。さらにご自身もお子さんも健康体で、「●●しなかったから、そうなった」と脅されるような、切羽詰まる要素が少なかったことも大きいでしょう。
どっぷりハマるきっかけをことごとくスルーできたA子さんには、つい「ラッキーでしたね」と言いたくなるものの、逆に健康が脅かされるものにハマってしまった人へ対し、不運であり自己責任だろうというのもおかしな話。やはり情報を選ぶ側のリテラシー以前に、広める側に、自覚と責任を感じてほしいという結論になってしまうのでありました。