カルチャー

“ちょいワルジジ”の迷惑ナンパとセクハラ推奨、新雑誌『GG』の提唱するイケてるジジイ像はあまりにダサい

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岸田一郎

2014年8月以降更新されていない岸田一郎氏のブログより

624日に創刊予定の5060代男性向け雑誌『GG(ジジ)』(主婦の友社)が、ヤバイキモイありえないと、発売前の時点で早くも物議を醸している。

GG』の編集長を務める岸田一郎氏(66)は、2001年に創刊された中年富裕男性向けファッション雑誌『LEON』(主婦と生活社)の創刊編集長を務め、“ちょいワルオヤジ”なるブームを生み出した人物。2014年にも高齢富裕男性向けファッション雑誌『MADURO』(セブン&アイ出版)を刊行していて、こちらは「やんちゃジジイ(やんジイ)」なる概念を提唱している。『MADURO』の創刊準備号の内容もセクハラ推奨があったりして賛否両論を巻き起こしたものだが、今回の『GG』はさらなる迷惑行為を広める懸念があるとして、大ブーイングである。

▼やんちゃなジジイと年増妻と愛人・姫ーナ…新雑誌「MADURO」の提唱する幼稚な男像

月刊誌として刊行される『GG』は、価格980円(税込)、発行部数5万部を予定。一世を風靡した“ちょいワルオヤジ”も、もはやジジイと呼ぶにふさわしい年齢だが、現在50代~60代の彼らは「心身ともにまだまだ元気」であり、「バブルを経験した彼らのモノやコトへの興味はいまだ旺盛」だと岸田氏は分析している。

これからの人生もアグレッシブに謳歌したいと望む彼らを、シルバー世代の中でひときわ輝くゴールドな世代として「ゴールデン・ジェネレーションズ(Golden Generations)」と名付け、50代〜60代のシニア富裕層に向けて情報を発信する。展開予定のコンテンツは、ファッションをはじめ、車、バイク、旅行、高級医療、フィットネス、時計、不動産、相続・遺産、IR・カジノ、孫へのギフト、(親の)介護、グルメなど。(http://www.fashionsnap.com/news/2017-03-02/gg-magazine/より)

上記の情報を踏まえると、正直、『MADURO』とどう違うんだか私にはよくわからない。かつてのちょいワルオヤジが、ジジイとなり、彼らに向けて情報を発信するという点で、同じなんじゃないのか。『GG』のちょいワルジジと、『MADURO』のやんちゃジジイ。わざわざ分類が必要か? なぜ岸田氏が『MADURO』編集部を去ったのか、それなりのイザコザがあったのではないかと気になる。わざわざ他社から競合誌を創刊するなんて……。

知識をひけらかすジジイは嫌われる

さて『GG』創刊にあたり、岸田氏は「週刊ポスト」(小学館/2017616日号)のインタビュー取材に応えているのだが、その内容はあまりにも“迷惑”なものだった。

“女性を誘うなら、自分の趣味や知識を活かせる場所を選ぶのが賢い「ちょいワルジジ」の策”であると考え、『GG』創刊号でも「きっかけは美術館」という企画を予定しているという岸田氏は、美術館でのナンパを推奨。ナンパに成功して食事に連れ出せたら、若い子の知らない食事作法を教えて尊敬されるよう仕向けたり、焼肉屋でセクハラも可能、としている。

『「美術館なんて出会いの場所になり得ない」と思うかもしれませんが、実は1人で美術館に訪れている女性は多い。しかも、美術館なら一人1500円程度だからコストもかからない』

『熱心に鑑賞している女性がいたら、さりげなく「この画家は長い不遇時代があったんですよ」などと、ガイドのように次々と知識を披露する。そんな「アートジジ」になりきれば、自然と会話が生まれます。美術館には“おじさん”好きな知的女子や不思議ちゃん系女子が訪れていることが多いので、特に狙い目です』

『牛肉の部位を覚えておくのもかなり効果的。たとえば一緒に焼き肉を食べに行ったとき「ミスジってどこ?」と聞かれたら、「キミだったらこの辺かな」と肩の後ろあたりをツンツン。「イチボは?」と聞かれたらしめたもの。お尻をツンツンできますから(笑い)』

これは大迷惑だ! 率直に申し上げて、気色が悪い、空恐ろしい。他人の美術鑑賞を妨げて、一体何がしたいのだろうか。若い女性と接点を持ち「俺はまだいける」と確認したいのか? それとも暇で淋しいのか? 若い女性を対象とした恋愛クソアドバイス記事はそこたらじゅうに溢れているが、このインタビューもまた高齢富裕男性向けクソアドバイスではないのか。若い女性のナンパ目当てに美術の知識を仕入れるなんて、それじゃ「アートジジ」ではなく「偽アートジジ」だ。あくまでも“自分のほうが知っている、わかっている”という優位性ありきで関係を築こうとするところが、どこまでもみっともない。

若い女性を、自己顕示欲を満たすための道具として見ていながら、「女性は嫌がっていない」と思い込み、どこまでも自分に都合の良い解釈をするジジイ。『美術館には“おじさん”好きな知的女子や不思議ちゃん系女子が訪れていることが多い』と決めつけるのも不可解だが、もはや艶女(アデージョ)に相手にされなくなったのか、地味でおとなしそうな女性に目をつけるあたりもタチが悪い。若い女性と接点を持ちたいのであれば、美術館に行き女性の休日を邪魔するのではなく、愛人バンクに登録するなり流行りの“パパ活”に参戦するなり、需要と供給の一致する場所がある。懐事情にも余裕があるシニア層向けの雑誌なのだから1500円で入れる美術館に行こうなどと言わず、愛人や妾にいつまでも愛されるジジイであろうとか、パパ活女子にとっての良いパパになろうとか、金を浪費させる方向に導けばよかろう。美術が好きで美術館に出入りしているだけの若い女性にとってははた迷惑な話だ。

パパ活女子とマッチングしとけ

また、岸田氏は「お尻をツンツン」などナチュラルなセクハラも推奨。それを普通に話すって、何なんだ。こんなインタビュー記事が何の疑問も呈されず注意書きもなく「そういうもの」として出回ること自体(Yahoo!ニュースにもアップされている)、暗澹たる気持ちにさせられる。ナンパもそうだが、女性がいきなり距離を詰められて「怖い」とか「気持ち悪い」と感じる可能性があるとは想定しないのだろうか。自信があるから出来るのか、それとも女性がどう反応したとしてもやはり自分に都合よく解釈するだけなのか……。

別のインタビュー記事で、岸田氏は、『GG』のテーマについて「昔のシニアと違ってまだまだ元気だが、あと何年生きられるか焦りが出る年ごろ。時間とお金を使い、やりたいことを楽しんだほうが良い」「ジジイはダサいけど、ジジはかっこいい。人生を楽しく気持ち良く年を取ろう、と伝えたい」と近々発売される『GG』に込めた思いを語っている。(2017年5月22日 産経新聞)アートジジに成りすまして美術館でのナンパ、からの焼肉に絡んだセクハラ、実にダサい。自分は楽しく気持ち良いのかもしれないが、それに付き合わされる若い女性がいかに迷惑被っているか、考えてみてほしい。とりあえず一番カッコいいのは、寄付だと思う。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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