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イヴァンカ・トランプとは何者か?~愛娘・ビジネスパーソン・大統領補佐官

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Ivanka Trump公式twitterより

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 父への批判は「敵意に満ち」「残酷である」と、ドナルド・トランプの長女で、現在は大統領補佐官でもあるイヴァンカ・トランプは語った。ロシア疑惑に関してトランプが突然解雇した元FBI長官の公聴会で全米が揺れた翌週の6月12日、イヴァンカは親トランプの保守系テレビ局フォックスニュースの朝の番組に出演し、父を擁護した。

 イヴァンカ・トランプは、ドナルド・トランプにとって単なる愛娘ではない。父トランプの動向に最も大きな影響力を持つ人物のひとりだと言われている。

 イヴァンカはモデルだった母親譲りの美貌と、父親譲りとも言われるビジネスの才覚、かつテレビや観衆の前でそつなく、にこやかに振る舞う術を持つ。父親とは全く異なり、筋道を立て、常識的に、おだやかに語ることからトランプ支持者の、特に女性に絶大な人気を誇る。

 私生活ではニューヨーク不動産界の“貴公子”で、今や大統領上級顧問となっている夫ジャレッド・クシュナーとの間に生まれた3児を育てる母親でもある。幼い我が子とのツーショット写真をインスタグラムにアップするたびに、支持者から「なんて可愛らしい!」「素晴らしい母親!」といったコメントが続々と寄せられる。その一方、トランプの弾劾に繋がる可能性もある元FBI長官の公聴会の直前に3歳の息子にキスする写真に「夏が待ち切れない!」と書き添えてアップするなど、政権批判をかわすための煙幕としてインスタグラムを利用しているという声もある。

 トランプの大統領当選後、トランプの妻メラニアの代わりにイヴァンカがファーストレディ的な役割を務めるのではないかと囁かれた。トランプは1月に大統領としての宣誓式を行い、ホワイトハウスに移ったが、メラニアと息子バロンはニューヨークの自宅、トランプタワーに留まった。理由は「バロンを学期途中で転校させないため」だったが、母子がホワイトハウスに移る時期は発表されなかった。そのためメラニアはなんらかの理由でファーストレディ役を拒否しているのではないか、そうなるとしっかり者でビジネス/選挙の両面においてトランプの強力なアドバイザーであり続けたイヴァンカがファーストレディとして振る舞うのではないかと憶測されたのだった。

 しかし、 イヴァンカ自身のファッション・ブランド・ビジネスのスキャンダルもあってか、この件はうやむやになった。イヴァンカ・ブランドの売上げが減少し、2月に複数の大手デパートが取り扱いを中止した際、大統領顧問のケリーアン・コンウェイがホワイトハウスのプレスルームから、なんと「イヴァンカ・ブランドを買いなさいよ!」と発言したのだ。

 しかし3月になると大統領補佐官の地位に任命された。政権を身内で固めることを禁ずる法にギリギリで触れないよう、政府の公式職員でありながら無給で働くという奇策を取っている。ちなみにメラニアとバロンは6月11日にニューヨークを引き払い、ようやくホワイトハウスに移り住んだ。

大富豪の娘+複雑な生い立ち

 イヴァンカ・トランプはドナルド・トランプと、その最初の妻イヴァナとの間の第二子として1981年にニューヨークで生まれている。兄ドナルドJr.、弟エリックもトランプとイヴァナの子供だ。イヴァナはチェコスロバキア(現チェコ共和国)出身のモデルだった。トランプ夫妻は15年間連れ添った後、イヴァンカが10歳の時に離婚している。

 トランプは離婚の翌年1993年にアメリカ人の女優マーラ・メイプルズと再婚し、同年、イヴァンカにとって異母妹となるティファニーが誕生。トランプはマーラとも7年後に離婚し、2005年に現在の妻メラニアと3度目の結婚。メラニアはスロヴェニア(現ユーゴスラビア)出身の元モデルだ。翌年、メラニアはイヴァンカの異母弟となるバロンを出産。現在11歳で小学校を終えたばかりのバロンは姉のイヴァンカ(35歳)よりも、イヴァンカの子供たち(5、3、1歳)と年齢が近いことになる。

 イヴァンカの母イヴァナとトランプの離婚は、両者の激しいいがみ合いと莫大な慰謝料が理由で大きなスキャンダルとなった。両親の顔が連日タブロイド新聞の表紙を賑わし、当時まだ子供だったイヴァンカにはとても辛い時期だったと言う。イヴァンカはマンハッタンにある私学の女子校に通っていたが、15歳で他州の全寮制の高校に転校。卒業後はジョージタウン大学からペンシルベニア大学のビジネススクールに進み、経済学部を優秀な成績で卒業している。

 一時期、母親と同様にモデル業に就くが、2005年に父親の経営するトランプ・オーガニゼーションに入社以後はビジネスの才覚を発揮。父トランプは兄、弟よりイヴァンカへの信頼を増していく。その万全の信頼は大統領選においても続き、トランプの発言があまりにも行き過ぎ、非難が起きた際、イヴァンカのみが忠告を与え、トランプを諌めることが出来たと伝えられている。

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堂本かおる

ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

サイト:http://www.nybct.com/

ブログ:ハーレム・ジャーナル

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