今やすっかり定番となった〈豪華付録付き雑誌〉。その火付け役である宝島社の女性ファッション誌『Sweet』では、特別編集版の「占いBOOK」を定期的に発行。そもそも女性誌における占いは鉄板企画なのでさほどめずらしさはありませんが、今月頭に発売された『Sweet占いBOOK 特別編集 愛もお金も引き寄せる! すごい開運BOOK』では、〈子宮系〉〈ご自愛系〉と揶揄される実業家の女性が、トンデモ発言をぶちかましております。
同書の冒頭は、メインコンテンツであろう付録の〈開運フェイスブラシ〉の解説。「愛・金・美」3つの運が高まる使い方がレクチャーされていますが、これは〈風水メイク〉と呼ばれる分野とだいたい同じお説でしたので、詳細は省略させていただきましょう。
注目は、その次から始まる「愛とお金を引き寄せる、“強運メソッド”」です。見開きでドーンと始まる扉のリード(記事の概要をまとめた前文)はさっそく香ばしく、「人間は誰もが皆、愛とお金、2つの豊かさを味わいながら幸せに生きていくことが約束されている」と豪語。って誰に約束されているの~!? でも、「そんなのキレイ事」「自分には無理」なんて思う人は〈心のブロック〉がかかっているのだとか。で・た! ブロック! 最近、この気持ち悪い言葉、流行っていますよね。
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そんな強気設定企画のバトンを真っ先に受け取る第一走者が、ご自愛スペシャリスト藤本さきこ氏です。同書では「女性性のスペシャリスト」と表記されておりましたが、巷では、自分のご機嫌を最優先で取ることが宇宙の真理! 幸せの近道! と叫ぶ〈子宮系女子、別名ご自愛系〉の一派にカテゴライズされています。
インタビュー形式で紹介される藤本氏の〈愛とお金が同時に手に入る開運法〉は、自分の感情を味わいつくそう! しっかり受け止めよう! というもので、巷の子宮系のお説とほぼ同じ。少し違う点は、子宮系のトップである子宮委員長はる氏が「女は外で働かなくても、お金は最終的に男がなんとかしてくれる」なるお説を唱えるのに対し、藤本氏の主張は「願望を具現化するには自分の中の男性性を育てましょう」というところでしょうか(で、具体的な方法は? というと、まったくわからないのですが)。
出た! いきすぎた布ナプ礼賛
まあそのへんは発信者の〈こうありたい〉という内面世界のお話なのでご自由に語っていただいて結構なのですが、スルーできないのは「布ナプキンは究極の自己肯定」という発言です。「生理は女性性と向き合う、最高のチャンスなんです」と語り、ケミカルナプキン(使い捨てのナプキンのこと)を使って毎月汚物入れに捨てると、自分の性は汚いものであり、面倒なものだと思うようになる、それでは「女性である自分を愛することなんてできない」なんだとか。別に巷の使い捨てナプキンユーザは経血が汚く面倒だから選択しているわけではなく、単なる利便性の問題だと思うのですがねえ。
またそれだけでなく、同ページの「幸せのキーワード」というまとめ的コーナーでは、「布ナプキンで婦人科系トラブルや不妊が改善したという声も多数寄せられています」とまで紹介。まったく根拠のない無責任すぎる記述であり、女性誌が発信していい範疇を超えているよな~。いくらスピリチュアルな占い本だからと言って、言っていいことと悪いことがあるのでは。
インタビュー冒頭で藤本氏は「私は子どもとゴロゴロしながら、簡単にザクザク稼いで、大好きなことばかりの人生を送る!」と決めたことが人生が変わったきっかけと語っていますので、おそらくこれらのお説はすべてグッズを販売するための、セールストーク。