二組の夫婦はどうなったのか。最後まで視聴し終えての感想は、「超スッキリ」の一言。すごいなあ~。いわゆる「胸がスカッとする」要素を揃えつつ、勧善懲悪にはせず、「視聴者はここまで見たいだろう」のニーズをきっちり捉えて掬っている。ドラマの評価って終わり方が9割かもしれません。これは満足度の高いエンディングなんじゃないでしょうか。見逃してしまった人はTBSオンデマンドでご覧になるといいですよ……。エンタメ作品としての快感を与えてくれますから。
<登場人物>
■渡辺美都(わたなべ・みつ)/波瑠
旧姓・三好。スナックママの一人娘、母子家庭育ち。地元は横浜。眼科の医療事務として働く女性。小学校時代に転入してきて中学で転校してしまった有島くんに初恋をし、大人になった今もその恋心を保管し続けて再会即不倫。優しく料理上手な涼太にアプローチされて結婚したが夫のことは「二番目に好きな人」だと思っていた。
■渡辺涼太(わたなべ・りょうた)/東出昌大
インテリア関係の会社の総務部で働く。眼科で美都に一目惚れして求婚。愛妻家で料理上手で洗濯や掃除も得意。朗らかで愛情深く、見知らぬ他人にも親切で、妻の母親ともうまくやっている。妻がもはや自分を愛していないと知りながら超執着。
■有島光軌(ありしま・こうき)/鈴木伸之(劇団EXILE)
サラリーマン。親が転勤族で横浜→所沢に引越し。美都とは横浜時代のクラスメイトだった。所沢の高校の同級生だった麗華と結婚し、一児の父に。学生時代からイケメンで女に不自由しないタイプ。公式紹介によると「基本的には家庭第一なのだが、根が優しく流されやすい性格のため、泣きつかれると弱い」。
■有島麗華(ありしま・れいか)/仲里依紗
旧姓・戸川。高校の同級生だった有島と結婚し妊娠、所沢の実家で里帰り出産。今は自宅でほぼワンオペ子育て中、それを苦に思ってはいない。
【第一話】再現VTRみたい…アレンジがダサい、役者も演出もしょぼい!
【第二話】気持ち悪いのは粘着夫(東出昌大)ではなく恋愛脳満開の新婚妻(波瑠)の方では…?
【第三話】不倫妻が罪悪感ゼロなのは夫を少しも愛してはいないから
【第四話】夫が陽気なイケメンだったら、妻がもっと成熟した女なら、夫婦は噛み合ったのか? 否、結婚していなかったでしょう
【第五話】不倫相手の自宅訪問を時間差攻撃で! 恐怖演出で不倫解消を促進する逆ゲス効果アリ
【第六話】奇声上げ赤ワインぶちまけ!東出昌大の発狂が注目集めて視聴率急上昇、山崎育三郎の思惑は?
【第七話】不倫男女が地獄に堕ちる復讐展開に期待? 視聴率急上昇
【第八話】不倫がバレたら「前と同じ」になんて絶対なれないんだ
【第九話】強欲で、女のダメなところが煮詰まったような女への「天罰」と正義
有島家の場合
まずは有島家の動向から。夫の不倫を知り大ダメージを負った麗華は、静かに、子供を連れて所沢の実家に戻りました。そりゃかなりのダメージですわ。
・第一子出産のための里帰り中に夫が不倫していた
・不倫相手の女性が偶然を装って自宅に押しかけてきた
・不倫相手の女性の配偶者まで偶然を装って近付いてきた
・不倫相手の女性を中傷するビラをママ友が勝手に撒いたうえ自分を責めてきた
こうして並べてみると、麗華って散々な目に遭ってますね。「もともとイケメンで人気者の夫がなぜ地味な自分との結婚に至ったのか若干わからないところがあった」のも不信感に拍車をかけたでしょうし。
仕事から帰ったら妻子不在で狼狽した有島くん、すぐに麗華に電話をかけますが冷たくあしらわれ。どうしたら許してもらえるのかサッパリわからなくて途方に暮れます。さらに不倫相手の夫・涼太からの呼び出しがかかり、白昼の喫茶店で深々と頭を下げ謝罪するももちろん許してはもらえません。「これからどうするつもりですか? たとえば僕らが別れたら、奥さんさえ騙し続ければ関係を続けることは可能ですよね?」と挑発する涼太に、「正直いまそれどころじゃなくて。妻に出て行かれて」と素直に現状報告しちゃうものだから、ますます涼太を激昂させるわけで。
涼太「ははは、そ~れは大変だ。奥さん、芯の強そうな方でしたもんね~。でもそれどころじゃないってことは最初から奥さんが一番でみっちゃんが二番だったってことですよね。ひっどい話だな~」
有島「すいませんでした。本当に申し訳ありませんでした。勝手なお願いですが、もし少しでも可能性があるなら美都さんと元に……」
ハイ涼太殺意。「あなた、悪い人だ。極悪人だッ!!!!」。絶叫したくもなるよね。そんな都合良くいくわけないだろ~が~。
ともあれ慰謝料請求されるでもなく、これにて涼太からは解放された(一応)有島くんは、仕事を休んで所沢の麗華実家に行き、許しを請います。これまた素直に「ごめん悪かった、反省してる、二度としない。どうしたら許してもらえる? 言ってくれよ、土下座でも何でもするから」と口にするのですが、どうしたら許せるのか麗華もわからないから離れてるんじゃないですかね。わからないよねー私もわかりません、だって元通りは無理だもん。
有島くんはわからないなりに考えて、毎朝・毎晩、所沢へ通います。吉祥寺の自宅(そして都内の勤務先)から所沢の実家まで往復3時間を1日2セット、合計6時間。朝は5時起き、夜は残業した日でも行く。うさんくさがる麗華に、「顔見るだけ。俺はあこの父親だから娘にいってきますを言いに来た」。この行動を毎日続け疲労困憊の夫を、麗華は「とにかく自分の頑張ってる姿を見せつけたいだけ。そういう努力の方向ってどうなんだろうって疑問」と突き放し、あらためて距離を置きたいと告げますが、有島くんはこう出た。
「やなの! 会わない時間でお互いの大切さがわかるなんてそういうの俺にはわかんないの」
あ~伝わらねえ~と痺れを切らしたのか、麗華ははっきり、自分がなぜ今、距離を置いていたいのか夫にわかるよう丁寧に説明してくれました。
「あの人は癒してくれた? 楽しかった? あの人といるときのあなたは私の見たことのないあなたなのかしらね? でもねえ光軌、私もこんな自分見たことがない。あの顔(美都の顔)、一生忘れない。私をこんなふうにさせたあなたのことが、憎いです」
これを受けて妻に一歩にじり寄った有島くんの放ったセリフは「愛してるよ麗華」。麗華は夫の頬にビンタ。夫「愛してる」妻二度目のビンタ、夫「麗華」妻三度目のビンタ、夫「愛してるよ」妻四度目のビンタ。お互いの本気度を確かめ合うような時間でしたが、ビンタと「愛してる」の応酬で片がつくはずもなく……。その夜も和解に至らぬまま夫が帰ったあとで、麗華の母はひっそり「お前は光軌さんが正しいから好きになったの?」と訊ねるのでした。