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【官能小説】セミダブル千夜一夜/第四夜 視姦ルーム

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(C)河井克夫

(C)河井克夫

第一夜 海に向かってオナニーする王様
第二夜 両極クリトリスの女と硬いペニスの男
第三夜 逃げる乳首
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しぇーこが、また酔っ払って俺の部屋にやってきた。電話で連絡があり、しばらくすると部屋のインターフォンが鳴ったので、玄関のドアを開けてやると、

「笹王さーん」

と言いながらハグしてきた。酒の匂い。抱きとめてキスしようとすると、それには応えず、するりと俺の腕を抜けて、勝手に部屋に入っていった。

「ねえ、着替えある?」

 例によって、寝まき代わりのTシャツとジャージを手渡すと、ベッドに腰掛けたまま、重ね着していたキャミソールとカットソーをそのまま脱ぎ始めた。ブラ姿のまま俺の Tシャツを被ると、シャツの中で手をもぞもぞさせながら、ブラジャーを外してTシャツの裾からそれを取り出し、自分のカバンの中に突っ込んだ。そしてその一連の流れをじっと眺めていた俺に向かって、非難がましく言った。

「何見てんの? フツー、女子が着替える時は、遠慮して向こう向いたりしてるもんだよ。」
「見たいから。」
「見たいんだ?」
「見たいよ。ちゃんと見せてくれ。」

 しぇーこは、酔った目で俺をぼんやり見て、少し考えてから、「いいよ、見せても」と言って一度着てしまったTシャツの裾に手をかけた。

「見せてもいいけどさ。」
「なに。」
「描写して。」
「描写?」
「おっぱい見せてあげるから、私のおっぱい、文学的に描写して。笹王さん、作家でしょ?」

 俺は「わかった。描写する。」と即答して、しぇーこの正面にあぐらをかいた。しぇーこは手を交差させてTシャツの裾を持つと、そのまま、ぱっと、まくりあげた。

 今までもちらちらと盗み見していたものの、正面からしぇーこの胸をちゃんと見たのは初めてだった。

「どう?」

 顔の下半分を交差させた腕とTシャツの裾で隠した形で、しぇーこが尋ねる。

「白くて…形が良くて…乳首はほんのりとピンク色で…」
「もういいよ。笹王さん、才能ないね。」

と、Tシャツの裾を下ろし、ジーンズのままシーツに潜り込み、シーツの中でまたもぞもぞとジャージに着替えた。

「眠い。おやすみ。」と言って、向こうを向いてしまったが、小さい声で

「形、いいんだ。あたしの。」

と、少し嬉しそうに言った。

 そして、目をつぶってしばらく静かにしていたが、やがて口を開き、また俺に「お話」をねだった。

 

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バーキン滝沢

ライター。3度の飯より占いが好き。牡羊座、四緑木星の水星人マイナスです。

河井克夫

漫画家、イラストレーター。官能小説の挿絵を描くのが夢だったので、ご指名いただいて光栄です。近著「女神たちと」「久生十蘭漫画集」(ともにKADOKAWA刊)

twitter:@osuwari

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