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世界と闘うお姫さまも“マンスプレイニング”の標的になる/『ゲーム・オブ・スローンズ』第7シーズン

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ゲーム・オブ・スローンズ公式サイトより

You know nothing, Jon Snow(あんたはなんにもわかってない、ジョン・スノウ).

 いま世界で最も注目されているドラマと言っても過言ではない『ゲーム・オブ・スローンズ』の主人公ジョン・スノウが恋した女性イグリットに言われ、一躍大流行したセリフである。

 7月17日に世界同時公開された第7シーズンの第1話を見ている最中、私の頭の中ではこのセリフが何度も繰り返し響いた。イグリットはWildlings(野人)と呼ばれる、文明をもたないとみなされてきた部族に所属しており、ジョンが彼らに囚われの身になったときに出会った。原作『氷と炎の歌』シリーズではこのセリフは「巨人の最後」について歌われる曲を聞き、涙を流す彼女を見て、無邪気に「なぜ泣くんだ? 単なる歌だ。巨人は数百人もいるそうじゃないか、実際ここに来て巨人ならいくらも見たよ」と言うジョンに対して怒りを持って発せられる。彼はわかっていない。住む場所を奪われ壁の北に追いやられた巨人族がどれだけその数を減らしたかを。

(ここから第6シーズンまでの展開に言及します。気になる方は本編をご覧になってからお読みください)

 第6シーズンの中盤に掲載した「プリンセス幻想をブッ飛ばす!世界を変えるマイノリティを描く『ゲーム・オブ・スローンズ』」で書いた通り、物語はその後、女性キャラクターに焦点がおかれ、息子のトメン王の死後、鉄の玉座(七王国統治者の象徴)にサーセイ・ラニスターが座ることで第6シーズンは幕切れした。政治、軍参謀として辣腕を振るいながら一度も七王国を統治したことのなかったラニスター家が初めて輩出した王は女性となったのだ。

 サンサは数々の苦難の末に、「ホワイトウォーカー」と呼ばれる魔物からの脅威に備えるために築かれた拠点・キャッスルブラックで兄のジョン・スノウと再会する。彼女は子供の頃、夫の不貞の証(そしてそれは真実ではなかった)である彼を忌み嫌っていた母にならい、ジョンに敵対的姿勢をとり続けていた。しかし数多の試練を懸命に生き延びたサンサはもはや幼い高慢な少女ではない。周囲に疎外される辛さを充分に知った彼女はジョンに過去の言動を詫び、家族として接する。第1シーズンの初めに生き別れ、家族の多くを殺されたスターク家の兄妹が父エダード王の口癖を懐かしむ場面は実際胸を締め付けられた。

 だがこの後、見ている人のジェンダー・ステレオタイプを測れるようなある出来事が起こるのだ。

 それはスターク家の領地ウィンターフェルをラムジー・ボルトンから奪還する戦略会議の場だった。ここでジョン・スノウとサンサの対立が初めて顕在化する。ラムジーは人の感情をわざと逆なでし、その冷静な判断力を鈍らせようとする、そのためにはどんな残虐な行為も厭わないのだから用心しないといけないと、すぐ近くで彼の惨忍性に耐えてきたサンサの進言に対し、ジョン・スノウはただ「君は戦場に立ったことがないだろう」と言うだけで耳も貸さない。サンサはその態度に耐えかねて「もっと早く私に意見を求めていたら、兵が集まるまでウィンターフェルを攻め入るのは止めようと言った!」とたたみかけるも、ジョン・スノウは「これでも集まった方だ! 劣勢の中みな集まってくれたんだ!」と感情的に怒鳴り返す。

 サンサの悪い予感は的中した。ラムジーは闘いの直前、スターク家の末子リコンをジョン・スノウたちの目の前で弄び惨殺する。幼いころに生き別れた弟を殺され憤怒するジョン・スノウは相手の陣形を忘れ、戦場の中央に兵を進ませ、包囲されてしまう。余談ではあるがこの戦闘を描いた第9話『Battle of Bastards(落とし子たちの闘い)』 の戦闘場面の演出は非常に斬新で全編において圧巻の出来だった。未見の方はぜひ視聴をお勧めする。

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