連載

出会いを求めることに疲れ果てた。思い切って性サービスを利用してみようか

【この記事のキーワード】
子宮にちんぽが届くまで

果たしてちんぽは届くのか。イラスト/大和彩

〽(ラップ)

俺はC-fucking-Q♪ ただの内臓 
女の象徴なんかじゃねぇ
怖くはないぜ夢子からの卒業 最後にちんぽを見たいだけ
uh yeaaaaaaaaaah……♪

*   *   *

 よう、また会ったな、子宮だ。前回は、Twitterで性のインターンを募集したところ30名近くの男性からの応募があり、そのうちの2名と面接しようとしたが両者ともにドタキャンされた、ところまで話したよな。

 夢子は雨の街で呆然としていた。最低2名の人間と話をする予定だったのに、なぜいま、無言でカフェに座っているんだろうーー窓に次から次へと張りつく水滴を眺めながら夢子は思った。

 ガラスを伝って流れていく雨粒と同じように気分も落ち込んでゆく。ふと口から洩れた。

「疲れた」

 元気を出すため、追加でビーフカレーを注文した。とてつもなくおいしかった。あたたかさにほっとする。先日、マコトと飲んだカシスウーロンより、ずっと、ずっとおいしかった。そのまま持参した漫画を読んでいたら、ひさしぶりにガツンとした幸せに心が侵食された。

「ドゥフフ! ひとりでおいしいものを食べて漫画読むって最高! 男と会うより手ごたえがある!」

 もぐもぐ肉をほおばりながら、うれしさに夢子はひとりでニヤニヤするのだった。自己完結で幸せを感じてしまえる性質こそが夢子を出会いから遠ざけているんだよな。

 まあ、一歩一歩だ。上手くいかないのは、新しいことにチャレンジしている証拠だ! 牛肉食え、夢子! そしてふたりでPDCAを回そう。

Plan(計画):
・子宮摘出の手術の前後にわたって継続的にセックスできるちんぽを確保する

Do(実行):
Twitterで性のお相手を募集

Check(評価):
・約束をすっぽかされた
・疲れた(セックスフレンド探しにも、人生にも、病気にも)

出会い系は、男性も怖いのか?

 なんで会いにきてもらえないんだろうなあ? NGリストが厳しすぎたか? だが、あのリストのほとんどの項目は性感染症予防に関するものだ。より安全なセックス、つまり「セーファーセックス」の実施はグローバルスタンダードじゃねえか。

 最近は梅毒までも流行っていると聞いている。HIVの恐ろしさはよく知られているが、梅毒、これもとんでもない病気だ。検査方法も治療薬もなかった時代、ロマン派の画家や音楽家はみーんなこの病気で凄惨な死に方をしている。鼻が溶けたり、すごく苦しんで死ぬんだぞ。

 シャワーを浴びコンドームを付けるのなんて、性生活を送るうえでは最低条件だ。生でやろうとする男なんてこっちからポイ!でいい。よって、NGリストは今後も使用していくことにする。

 次に、アポ2号が放った「怖い」という言葉。会えない理由として、これは大きいのかもしれない。見ず知らずの女性に会いにいくとき、何を怖いと思うのだろうか男性諸氏は。

 待ち合わせ場所に着いたら怖いお兄さんがいて美人局に遭うかもしれないから? 会う予定の夢子が見た目・中身ともにお近づきになりたくない人かもしれないから?

 夢子自身ビクビクしながら約束の場所に向かったので、「怖い」のはよくわかる。女性のほうが力が弱く、暴力を振るわれたら圧倒的に不利だ。ジムでは、夢子には転がすことすらできないダンベルを男性初心者が持ち上げている光景を見かける。父親によくぶたれていたころは、毎日ファッキン痛かった。男性に本気を出されたら自分なんか簡単に殺される。この思いは当たり前のこととして夢子にはあった。

 よって、マコトやQと待ち合わせしたときも「この人と時間を過ごし、最悪、殺されても仕方がないし文句はいわない」と思っていた。夢子としてはちんこまんこプロジェクトは命がけだ。

出会い疲れを、どう克服するか。

 今回男性のほうに「怖い」といわれて、肩すかしをくらったような驚きがあった。お互い知らない者同士会うシチュエーションでは、リスクの大きい女性のほうは「怖い」どころか、死ぬ気で挑んでいる事実に対して共通認識があるものだと思っていた。

 世間においては、それは共通認識じゃないのかもしれない。いかに自分が傷ついたか、ギャアスギャアスと騒いでいたQの言動を思い出しても、そんな気がする。

 だったら、男性の「怖い」思いをもっとくみ取る必要があるんだろうな。今後はそのニーズにこたえるようにしよう。

 さらにドタキャン1号による写真要請を断ったあと、音信不通になった点を考えよう。写真、送ったほうがいいのか?

 後ろ暗いイメージがあったネット経由の出会いも、いまや「マッチングアプリ」として堂々と使えるものになったように、写真のもつ意味も変わっているのかもしれない。夢子が出会いたい若い世代ならなおのこと、自分の写ったjpegごとき、ティッシュのように簡単にやりとりするものなのかもしれない。

 これに関しては、引きつづき考察・検証していくことにしよう。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』

出張ホスト―僕のさまよい続けた7年間の記憶 (幻冬舎アウトロー文庫)