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35歳の未婚ワープア女性は「親不幸な存在」なのか? 「諦める」ことの重要性

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Photo by Dave Gruentzel from Flickr

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 読売新聞社が運営するニュースサイト「YOMIURI ONLINE」内の女性向け投稿サイト「発言小町」について、アレコレ説明する必要は今更ないでしょう。世の女性たちが抱える不満や疑問、あるいは「○○と思うのは私だけでしょうか?」と質問を投げかけるふりをした自己主張が日夜投稿され、白熱する議論は主張の偏りにおいて時に「2ちゃんねる」以上のハードコアさを見せます。このサイトは「小町ウォッチャー」と呼ばれる観察者の関心を惹き付けて止みません。

 ここでは、「女の幸せとは結婚である」とか「子供を良い大学に行かせるのが親の責任だし、子供の幸福だ」といった投稿をよく見かけます。ジェンダー問題やポリティカル・コレクトネスが一切世の中には存在しないのではと思わせるほど、偏見に満ちた書き込みを見るたびに、私はある種の「吹きだまり感」を覚えるとともに「これが日本の『一般人』の集合意識なのかも……」とさえ錯覚しそうになります。

 最近話題となっていたトピックに、60代女性からの「研究者の娘が心配です」というものがありました。投稿の内容は、旧帝大の大学院で修士を取り、ヨーロッパの有名大学で博士号を取った娘(35歳)が、就職もできず、いわゆる「高学歴ワーキングプア」になってしまっているが、どうすれば良いのか、と言ったもの。これだけ読むと、子供の将来を心配しているやや過保護な母親に見えますが、投稿を詳しく見ていくと「子供を心配しているふりをした母親の自己愛」が大変に気持ち悪い内容になっていました。

l   娘は現在実家暮らし。年収は150万円程度で、家にはお金をいれてくれるが、このまま実家暮らしをさせておいては、娘のために良くないのでは?
l   ただ、家には95歳の要介護者(娘さんにとっての祖父)がおり、娘がいなくなると困る

 という投稿者のジレンマも実に自分勝手なもの。「実家暮らしは娘のために良くないのでは?(=甘やかしなのでは?)」と言いながらも、要は自分の生活から娘を切り離したい、でも介護だけは手伝ってほしい……というだけではありませんか。

 その後、さまざまなレスから「有名な大学の博士号を取ったらすぐに独り立ちできる」という認識を改めさせられた投稿者は、勝手に誤解していただけにもかかわらず、「今まで娘に騙されてきた」という憤りを覚えたようです(ニュースでも研究職の状況の厳しさはさかんに報道されているのみも関わらず、騙された、というのもおかしな話ですが)。その結果、投稿者は、

l   卵子凍結を急がせる
l   身なりを整えて、女らしい格好をさせ、婚活させる
l   条件をとやかくいわず、結婚してくれる人を探させる
l   国家公務員にさせる
l   娘に一般常識を身につけさせ、履歴書を100社以上に送らせることを始めたい

 という方針を固めたようでした。結局のところこれは「孫が見たい」、「結婚させたい」、「自活してもらいたい」という彼女のエゴが、小町での相談によって単に強化されただけ。娘さんの幸せは本当のところなんだったのか……本当に履歴書を100社以上に送らされたら、娘さんは精神的に参ってしまうのでは……と心配になる結果です。これもひとつの「毒親」の典型なのかもしれません。ネット上の意見では、釣り(創作)では?  という疑念も残るトピックでしたが、むしろ、釣りであってほしいと願わずにいられません。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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