インタビュー

乳がん、子宮と卵巣全摘出を経てなお「健康である以上は60代でも恋愛していたい」貴代さん・46歳

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更年期

向き合います。更年期世代の生と性

 大手イベント会社勤務の貴代さんは46歳、都内でひとり暮らし中。約2年前に、筋腫があったため子宮と卵巣を全摘出している。その場合の「更年期」はどのような状態なのか? 子宮と卵巣の摘出で肉体はどう変化するものなのか?

 そのうえ貴代さんは4年前には乳がんを患い治療したがんサバイバーであり、現在も定期的な通院が欠かせないという。乳がん手術後に彼女を襲ったのは、まるで真っ暗な闇の中をひとりでさまようような不安感。運動やアロマなど様々なものを試しながら、最終的に瞑想(マインドフルネス)とめぐりあったことで、その闇から脱出する。

8年前に子宮筋腫の手術、4年前に乳がんを患い、2年前には子宮と卵巣の摘出手術を

――子宮と卵巣に筋腫があり摘出されたとのことですが、摘出前は痛みがあったのでしょうか?

「お腹の上から自分で触ってもわかるぐらいに、卵巣が腫れて固くなっていました。腫れのせいで毎日体がダル重くって。実は、8年前に子宮筋腫の手術も経験してるんですね。8年前はどうにも我慢できないぐらいにお腹が痛くなり、自分で救急車を呼んでそのまま入院しました」

――その時は子宮を摘出しなかったんですね。

「まだ30代でしたし、子供産む可能性もあるかもしれない、ということで残したんです。でも結局8年後にまた症状がでて……全摘出を決意しました」

――全摘出にためらいはなかった?

「置いといてもしょうがないなと思ったんです。もう子供を産むこともないだろうと考えてましたし。それより慢性的に体調が悪いことをなんとかしたかったので、ためらいませんでした」

――4年前には乳がんの手術もされたんですよね。

「ええ。幸い初期で、がんの種類は転移しないレアなタイプでした。でもいまもまだ通院はしていますよ。おっぱいは一部を切るだけで済みましたけど」

――抗がん剤や放射線治療は?

「放射線はやったんですけど、抗がん剤はやらなかったです。手術後から服用しているホルモン剤が、更年期障害を誘発するもので、副作用の症状としてはそれがつらかったですね」

――女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が多いことが、乳がんと関係しているといわれているので……飲まれていたのはエストロゲンを抑えるホルモン剤でしょうか?

「エストロゲンを体内で作らないようにする薬、というような説明があったと思います。これを飲むと更年期の症状が出ることがあります、との説明も受けていました」

――服用後に、やはり更年期症状が出てしまったと。

「はい。とてつもない不安感に襲われました。ある夜、突然にです。『私結婚してないじゃん、子供もいないじゃん、親もいつか死んじゃうのに、どうしたらいいの』って。そしたら眠れなくなって。部屋の中をぐるぐる、まるで動物園の動物みたいに歩き回って」

――更年期の症状で<不安感>はよくあるようです。私がお話をうかがった方は「ある日突然、とにかく怖くなった。なにが怖いかわからないけれど、すべてが怖い」と。

「わかります、私もまさにそんな感じ! その日を境に眠れなくなって、毎日2時間ぐらいしか眠れずに目の下がクマで真っ黒に。さすがにヤバいと精神科に行って。するとすぐに睡眠導入剤と精神安定剤を処方され、しばらくは飲んだんですけど……薬を飲むと頭はボーっとするし仕事にならない。『ずっとこれを飲み続けるのは嫌だ』って思ったんです」

――えっ、それで自己流で断薬を?

「メンタル系の薬は飲むのを止めて、薬以外で眠れる方法を模索する日々に。とにかく体を動かすのがいいだろうと陽の光に当たる時間帯にランニングしたり、アロマを勉強したり。でもどれもいまひとつ効果がありませんでした。最終的に私がたどり着いたのは瞑想。瞑想を初めてから、もう嘘のようにスっと眠れるようになったんです」

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日々晴雨

都内在住フリーライター、独身。いくつかのペンネームを使い分けながら、コラム、シナリオ、短編小説などを執筆。コピーライターとして企業のカタログやHPなどのライティングに携わることも。

「今、ここ」に意識を集中する練習