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深田恭子が「ピンクとふわふわを封印」し、マツコ・デラックスの「可愛いインスタやったってブスはブス」が喝采を浴びる社会における、“可愛いのルール”について

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左:ナチュラルエイトより 右:『andGIRL 2017年 11月号』(エムオン・エンタテインメント)

左:ナチュラルエイトより 右:『andGIRL 2017年 11月号』(エムオン・エンタテインメント)

 1010日放送の『マツコの知らない世界SP』(TBS系)で、マツコ・デラックスが“インスタ映えを求める女性”に向けて放った言葉が物議をかもしている。

 きっかけは、ゲスト出演したスイーツバイキング好きの男性が、マツコとのトークの終盤に行った問題提起だった。男性によると、スイーツバイキングの来店客には、インスタグラム投稿などのためにお皿に大量のスイーツを盛り付け写真を撮るも、食べきれないで残していく者が増えていて、現在そういった食べ残しの増加により店側もバイキングの価格を上昇せざるを得ない状況であるとのこと。なぜ食べ残しが増えることで価格を上昇せざるを得なくなるのかは語られなかったが、この話を聞いたマツコは嫌悪感を露わにし、こう言ったのだった。

「ブスの女でしょ」
「そろそろ世間が制裁を加えるべきだと思いますよ、このインスタ映えブームに」
「そろそろブスにブスといってやる時が来ましたわよ、可愛いインスタやったってお前はブスなんだからな! 地に足着けて生きろ、ブスこのやろ!」

 ちなみにマツコが「ブス」と発するたびにスタジオ内からは笑い声と歓声があがっていた。笑えるフレーズだということなのだろう。

 このマツコの発言に、SNS上では「スッキリした」「ド正論」「本当、制裁加えてほしい」「インスタ映えのために食べ物粗末にする奴らに見てほしい」と、同調・共感するコメントが相次いだ。マツコが「ブス」という言葉を使ったことについても、「なぜ美醜を持ち出す (Twitter投稿の一部引用)」と異議を唱えるコメントも少なからずあったものの、むしろ「心がブスってことをいってるんじゃないかな~(Twitter投稿の一部引用)」とマツコを擁護するコメントのほうが目についた。

 スイーツバイキングに出向き、自分の皿に大量に盛り付けておきながら写真撮影だけして食べ残すの行為は、確かにモラルに反したもので褒められたものではないが、それは各々のお店で対応すればよいことだろう。そもそも、“インスタ映えブーム”と“インスタ投稿のためにモラルをおざなりにすること”は別問題だ。なぜか嫌悪感をあらわにするコメントがネット上に多く見られた“ナイトプール”も、何らモラル違反ではない遊びだった。いつからか、インスタ用の凝った写真を公共の場で撮影することが非常識で迷惑な行動だという共通見解が、どこかで形成されているようだが、「世間がインスタ映えに制裁をくわえてやる」必要がどこにあるのだろうか?

 また、マツコの『ブス』発言の真意(容姿ではなく内面の話をしているのか云々)は本人のみぞ知るところだが、『ブス』であろうとなかろうと、『可愛い』画像をインスタに投稿するのは個人の自由であり、投稿した写真が他者の尊厳を脅かすものでなければ、非難されるいわれはない。大前提としてマツコの思う『ブス/可愛い』と、他の者が思う『ブス/可愛い』が同一とは限らないだろう。

 とりわけ『可愛い』は究極に個人的な感覚である。ひとりの女性・Aさんがいるとして、Aさんと同じように接していても、Bさんは「Aさん可愛い」と感じ、Cさんは「Aさんってブス」だと感じるかもしれない。あるいは、同じゆるキャラを見て「可愛い」と夢中になる人もいれば「キモい」と顔をしかめる人もいるだろう。個人的感覚であるがゆえ、本来ならば全体での基準やルールなど設けようがないし、その必要もないはずだが、しかしファッション雑誌やネット記事、そして個々人が投稿しているSNS上のコメントなどからは、「ブスが可愛いものを身に付けるな」「いい歳した女が可愛いもの持つなんて痛い」などといった社会規範、風潮が浮かび上がる。『可愛い』が制限されているのである。

深田恭子でさえ「年齢的に可愛いものを封印」

 創刊5周年を迎えた『and GIRL』(M-ON! Entertainment201711月号のジュエリー特集に深田恭子(34)が登場しているのだが、この5年間で変わったと思うことはないかと聞かれてこう答えている。

「服装がすごい変わった気がします、可愛いものが大好きだったけど、年齢的にちょっとやめておこうって封印したので。でも捨てることはできなくて、全部まとめてひとつの棚にしまってあるんです。で、たま~にその棚を開けてこっそり楽しんだり(笑)。でも最近はそんなにも封印してたピンクとかふわふわした服とか買っちゃって、自分でも『どうしたの!?』って驚いています(笑)」

 つまり深田恭子は、この5年間(2934歳くらい)のある時期に、深田にとっての『可愛いもの』である『ピンクとかふわふわした服』を、年齢的な問題で(身に付けるのは)よろしくないと判断し、『封印』したということだ。封印した理由について「年齢的にちょっとやめておこうって封印した」とのみしか語られていないため、なぜそのように考えるようになったのか(これまで好きだったピンクの服を30歳前後でやめたほうがいいと思った理由)はわからない。そういった選択もまた彼女の自由ではあるが、“あの深田恭子が”という驚きをどうしても覚えてしまう。

 深田恭子という、「可愛い」の代名詞のような存在だった女性でさえも、自らの年齢、そしておそらく周囲からどう見られるかを考慮して、自分と『(自分の好きなものである)可愛いもの』との分断を選んでいたことに。深田恭子は「35歳の女である自分がピンクのふわふわの服を着ていたら痛い」と思ったのだろうか。本当は好きなままなのに、“封印”しなければならないのだろうか。

 『ブス』が『可愛い』を選べば嘲笑され、苦言まで呈されるうえ、『可愛い』を好む許可がおりる年齢まで制限されている。いかなる容姿のいかなる性別のいかなる年齢の人間であっても、服装や持ち物は当人が選んでいいものなのに、これではあまりに窮屈だ。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

デラックスじゃない (双葉文庫)