お昼の12時になるとフジテレビではいつものように『森田一義アワー 笑っていいとも!』が始まるはずのなのに、その日は放送がなかった。そういえば、前日に放送された『笑っていいとも! ラストクリスマス特大号』でも次回の通常『いいとも』放送はまた来年からって言ってたっけ。『クリスマス特大号』が放送されても例年ならば、その同じ週の金曜日までは『いいとも』がやっていたはずなので、違う番組がその時間帯に放送されていたことに違和感を感じた。来年の4月からは確かに違う番組になる予定だけれど、まだ『いいとも』は終わっていないのであるから。
12月26日の『いいとも』時間枠に放送されていたのは『あいまいニッポンの新しいマナー』という、今の時代に合わせた新しいマナーを考えようとするバラエティー番組であった。「2020年の東京オリンピックに向け、ニッポンのあいまいなマナーを見直す!」というテーマを掲げて番組独自の結論を導き出すために、マナーに関して持論を持った各世代の芸能人が出演し「どこからがマナー違反で、どこまでがセーフか」について白熱議論していた。
MCは先日『いいとも』の「テレフォンショッキング」コーナーにもゲスト出演していたロンドンブーツ1号2号の田村淳が担当。あの時タモさんの前で、『いいとも』の後釜番組のMCをほんとは狙っていそうなのに、相方の田村亮を推薦して自分は狙っていないかのようなそぶりを見せていたが、単発ではあるものの早くも同じ枠の番組MCの座を掴んだのだった。お昼の顔にはあまり向いてないような気もするが、ぶつかり合った議論をまとめるのは、レギュラー番組などでたくさんのお笑い芸人たちを相手にやりとりすることが多いせいか、やはり手馴れている感じであった。
議論し合う出演者には赤井英和、勝間和代 、バービー(フォーリンラブ)、 中村昌也、小森純、 田村亮(ロンドンブーツ1号2号)、菊地亜美というなかなか濃い目のメンバーが揃った。そして武田鉄矢がご意見番のような位置付けとして出演していた。今年、「矢口真理との離婚騒動」が話題になりメディア露出が増えた中村昌也と、「ペニーオークション事件」でしばらくメディアから遠ざかっていた小森純が隣同士の席に座らされていて、飛んだ「お騒がせペア」が誕生していた。そこだけ飛び抜けて“ワイドショー臭”がムンムンであった。淳はそんな2人に対して、「中村くんと小森の2ショットってなんかいいね、理由がわかんないけど収まりがいい」と評して、スタジオの笑いを誘っていた。今年世間を騒がせた中村&小森ペアは「来年がんばろう!」とお互いにがんばり合うことを宣言するのだった。
飲食店での帽子はあり?
4件の議論するマナーがあって、どれも出演者同士の議論が相当白熱していたのだが、ご意見番の武田鉄矢が、まさに『金八先生』(TBS系)のごとくそれぞれのマナーについての教えを説いて、他の出演者たちを納得させ沈静化に成功するのだった。
番組冒頭で淳から最近のビックリするようなマナーについて尋ねられると、武田さんは「(自分は)もう古いタイプになって来たから、最近は街に行くと縄文人の寂しさがわかる……」と、切なそうに縄文時代にタイムスリップしちゃうのだった。いくら現代のマナー事情について行けないからって、時代さかのぼり過ぎですから~!
まずは「飲食店で帽子を被ったまま食事をする」ということについてアリかナシかの議論が始まった。武田さんはナシだそうで、「女性の帽子はファッションの一部として認めるけど、男の帽子はファッションじゃないよね~、一種(日差しをよけたりする)機能だよね」という持論であった。それを皮切りに、他の出演者からさまざまな持論が飛び出した。
“ファッションモンスター”としてファッションに関してこだわりのあるバービーは、アリだそうで「(帽子の)つばの広さによると思う」として、「ハンチングがギリOKです」「つばが狭いから(帽子の)機能としては無意味なんですよ」と分析していた。小森もその「ハンチングOK論」に賛同。若者の中ではアリの意見が多いようだ。ってか、つばの広さの問題だけじゃないと思うが。
しかし、やはり年齢層が上のチームは「失礼になる」ということでナシ意見が多く、議論が平行線になったときに武田金八先生がやってきた。若者チームに「帽子がナシ」という意見は古いと言われ、自信がなくなった様子だったのだが、
「帽子を脱ぐ瞬間、被り物を脱ぐ瞬間の気持ちの良さっていうか、“エクスタシー”ってあるよね?」
と、他の出演者たちに同意を求めていた。昼間っから“エクスタシー”発言しちゃう、ちょっとエッチな金八先生なのであった。それにバービーは激しく同意し「わかります! 蒸れが解き放たれる感じ」と何度も頷いていた。お色気ネタの食い付きが早いのね~。
けれども、バービー以外の出演者には“脱帽エクスタシー論”が、あまり響かなかったようであった。すると、金八先生は以前、公園で目撃したことのある風景について語った。それは「昨今の若者に感動した瞬間」だったとか。なんでも、公園内の桜並木に入る時に帽子を取る青年を見たそうだ。その時に「ニッポンの春の叙情と礼儀を感じた」とのこと。彼のちょっとした行動から日本文化にまで思いを馳せたようだ。
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