2014年もオヤジ雑誌は元気だ。競うようにセックス特集を打ち出し合っている「週刊ポスト」(小学館)、「週刊現代」(講談社)は特に新春からアツい。
「現代」最新号の目玉は、『そんな体勢で、あんな技まで使うなんて 妻たちがやっている夫に見せられないセックス』。……読者(=夫という立場にあるオジサン)にそれを知らせてどーしろというのか。もう1本、カラー袋とじで「ヤバイSEX」という企画もある。袋とじなので内容には触れないでおく。
一方の「ポスト」は、さらに閉口する企画があった。
『大特集2014 日本人のSEX』、これはまだいい。「新婚時代に愛用していたラブグッズが屋根裏に眠っている。3年ぶりに夫婦で使いまくりたい」(←古いグッズはいろいろな意味で危険では? 新規購入をおすすめしたい)、「不倫相手の女の子と温泉旅行に行く予定。長年の夢・ワカメ酒を絶対に堪能したい」(←妻バレで破滅してしまえ)、「昼ドラみたいに年下のイケメンから『ラブしてくれ』って迫られたい」(←あれはギャグでは?)などなど、30~50代男女の妄想を綴るページや、女性300人に調査した理想のセックス内容、ラブグッズ紹介などで構成されている。
同企画後半の『隣のご夫婦が決めている「今晩したい」のサインはコレ』という記事では、「妻が朝食に生卵を出してきたら」「トイレットペーパーの先端を三角形に折るのが暗号」「丼いっぱいの山芋が出てきたらサイン」といった各ご家庭の「今夜ヤろうぜ!」合図が紹介されている。結婚すると、どこの夫婦もそういったサインを編み出すものなのだろうか? 仲睦まじくて結構なことである。
ただ、袋とじ企画『完全保存版/女性のためだけの「秘密のフェラチオ講座」』はどうなのか。表紙には、「これを切り取って彼女・妻に渡すだけ それだけで10倍の快感が手に入る 魔法のフェラチオ講座」との謳い文句が。切り取って読んでみると、イラストを多用し、わかりやすい雰囲気の女性向けフェラチオ講座が展開されている。しかし「中級編」で、「亀頭をくわえ、頭を回転させながら竿を手コキしつつ、左手中指をアヌスに差し込み前立腺を刺激する」って、難易度が高い……。「上級編」にいたっては、神業としか言いようがないほどのハイレベルおフェラテクニックばかりだ。
それにしても、このフェラテク袋とじが「an・an」(マガジンハウス)で組まれた企画ならば、さほど違和感はないが、男性読者をターゲットにした週刊誌が「YOU、彼女・妻に渡してフェラテク勉強してもらっちゃいなよ」というスタンスで記事化したことは波紋を呼びそうだ。もし馬鹿正直に彼氏やご主人が「これ読んで」と渡してきたら、素直に「え~、助かる~! ありがとう!」と受け取る彼女・妻は稀少なのではないだろうか。もとからパートナー間で性に関する話題を出すのに抵抗なき関係を築いているなら話は別だが、やはり「これを彼女・妻に渡すだけで10倍の快感が手に入る」などと煽られるとカチンとくるのが人間だろう。新年早々、フェラチオにまつわる不毛な痴話喧嘩が勃発しないことを祈ります。
(まい竹城)