身内がトンデモ沼にハマったら、どうするどうなる!? 簡単には縁を切れない身内なだけに平和な日常が壊されていき、時には家族断絶へ……。そんな実体験をお届けする新シリーズ「身内がトンデモになりまして」。
第2回目は「母が〈子宮系女子〉になりまして」を、お送りしましょう。今回報告を寄せてくれたのは、50代の母親が〈子宮系女子〉になったという、主婦Tさん。
子宮系女子とは、「女の幸せは、子宮を大切にすることから」という思想を発信する一派のこと。子宮を温めるなどの〈おまたケア〉を怠らず、セックスやマスターベーションで性器を積極的に使うことが推奨され、〈子宮の声(=魂の欲求)〉に耳を傾け欲望に忠実に生きることが美容や健康の秘訣であり、運気アップも欠かせない……という、カルト宗教じみた〈子宮万能説〉を広めることが特徴です。
Tさんの母が現在入れ込んでいるのは、子宮系女子の中でも注目を最も集めているであろう、子宮委員長はる氏(以下、子宮委員長)だと言います。
子宮委員長は、元風俗嬢で婦人科系・精神疾患などを克服したことをウリにする、子宮系女子のカリスマです。ブログや有料サロンで〈子宮メソッド〉なるオリジナルの自己啓発を発信、著書も多数執筆し、1時間15万円(2017年4月の情報)の〈個人セッション〉なるサービスも展開。最近では、父親不明という設定で妊娠出産した子供を元夫に託して離婚をし、スピリチュアル界で活躍するリュウ博士と再婚。前回の婚姻中から妊娠中の喫煙飲酒や、子供の世話は夫へ丸投げし、新彼氏をSNSに登場させるなどの奔放な生活を公開するなど、「常識外と思われようが、子宮の声に従えば男に愛されお金もガッポガポ」であることの証明を精力的にパフォーマンス中です。
Tさんの母はそんな子宮委員長に心酔し、有料サロンに参加。地方で講演会があると聞けば飛行機で遠征し、信者仲間とお茶会を催しては「子宮が喜んでいるのを感じる」と娘に語るのだとか。
Tさん(以下、T)「母が熱心に誘ってくるので私も一緒に子宮委員長のトークショーへ行ったことがあるのですが、最後にみんなで行う記念撮影の掛け声が、『ハイ、まんこ!』なんですよ。いい歳の女性たちが公共の場で何をしているのかと、狂気を感じましたね……。でもその時は、『未知の価値観だな~』と感心して聞いていた部分もありました。ところが別の子宮系女子が『本音を言えない人は子宮が冷たい! 35度くらいで~』とか言っているのを見かけて、子宮の!? 温度!? 測ったの!? 温度計で???? と完全に冷めました(笑)。こんなものに自分の母がハマっていると思うと、なんとも言えない気持ちになります」
顔を見ると性器が見える!?
それでも家族が見放すとなおさら深くはまっていくので、「否定せず寄り添いつつ解決していかないといけない」と考えるTさん。SNSでは「そんな子育てみたいなの、正直自分の子供だけで精いっぱい。周りは母親に育児のサポートしてもらっているのに、自分はなんで30も上の親の迷走を見守らなくちゃいけないのか」など、トンデモ落ちした家族と付き合う苦労を吐露しています。
同トークショーでは、「顔を見ると性器が見える」という子宮委員長の霊視サービス〈御まん託〉も体験し、ますます「わけがわからない」と頭を抱えるTさん。
T「子宮委員長が御まん託を始めた経緯みたいなのを話していたんですけど、『なんか見えるようになれと思っていたら、まんこがね! 見えるようになっちゃったんですよ~。この辺に……』とかいって顔の横だったか体の横だったかを指し示していました。ちなみに男性の場合は、ちんこが見えるそうです。私も1分弱の『御まん託タイム』ミニ体験版みたいのを受けましたが、子宮委員長はまず私の顔を見て、少し間を置いてから『賢いまんこだね、その賢いまんこ活かしてお金稼いでください』と言いまして。私は『理知的に見える』と言われることが多いので……子宮委員長も、単に私の顔見て言ったとしか考えられません(笑)。しかも『まんこ活かして稼ぐ』って、何。春を売ることしか思いつきませんよね。ちなみに母は、子宮委員長の御まん託を受けた時、感動のあまり泣いてしまったと言っていましたが」
Tさんの母が子宮系女子と出会ったのは、自然派グッズを扱う店でアルバイトを始めた時、スピリチュアル好きなバイト仲間から情報が流れてきたことがきっかけだとか。もともとホ・オポノポノや占い系のカードなどをたしなみ、キリスト教系の新興宗教やアムウエイにもハマっていたというお話ですので、〈土壌〉は十分に耕されていたのでしょう。そこへ新たに子宮系女子という種が植え込まれ、ぐんぐん育ったようです。現在は子宮系仲間と謎の集いに通い、ご自身も謎のご利益を謳うスピリチュアルグッズをネット販売したりして、一見は〈キラキラ起業ママ〉のごとく、精力的に活動している模様です。
子宮系女子と言えば、お金大好き、セックス大好きということを包み隠さずアピールする「ゲスさ」も特徴のひとつ。親子の会話でゲスネタがどう扱われているのかも、大変気になるところですが。