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古田新太のセクシーで卑猥な中年体型に、ソニンも愉快な喘ぎ声。『ロッキー・ホラー・ショー』は客席総立ちでダンスのパーティー演劇

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パーティのような舞台! 「ロッキー・ホラー・ショー」公式HPより

 劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンターテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、時に舞台では、ドラマや映画などの映像作品では踏み込めない大胆できわどい表現が可能です。

 やり直しがきかない緊張感のなかでの演技によって豪快さも培われるのでしょうか、舞台を主戦場もしくは特別な場としている俳優には、メディアから伝わる言動も破天荒なひとがいます。その代表格といえそうなのは、古田新太かもしれません。

 映像作品では個性派のバイプレーヤーとして活躍していますが、もともと本人は、「演技の場としては舞台が一番格上」と公言しており、もっともチケットが取りづらい劇団のひとつである「劇団☆新感線」の看板俳優。劇団外でも主演舞台を数多くこなしており、演劇ファンから絶大な信頼を寄せられる人気舞台俳優です。

 その古田が2017年の大晦日まで出演中なのが、カルト的な人気を誇る映画版でも知られるミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」(東京公演は終了、北九州、仙台、松本、大阪公演)。忖度やら自主規制やらと取りざたされる現在の映像業界では大問題になるタブーだらけの作品で、カリスマぶりを発揮しています。

 1973年にロンドンで初演された「ロッキー~」は、イギリスの俳優チャード・オブライエンの原作・作詞・作曲による、カルト要素満載のロックホラーミュージカル。翌年にはアメリカ公演が行われ、75年にはオブライエンも出演して映画化されロングラン。2016年にはアメリカでテレビ映画も制作されています。

変態の変態による変態のための館

 世界中で「ロッキーマニア」と呼ばれる熱烈なファンを持つ作品ですが、あらすじはB級映画のようにシンプルでご都合主義です。清純派カップルのブラッドとジャネットが、恩師のスコット博士へ婚約のあいさつに向かったところ、嵐で道に迷い、車のタイヤがパンク。近くの古城へ助けを求めると、奇怪な住人たちのパーティへ巻き込まれてしまいます。城主のフランク・フルターは、ボンテージに網タイツ姿なうえにマッドサイエンティストで、ふたりに自身が発明した金髪マッチョの人造人間ロッキーを披露します。

 フランク・フルターを演じるのは、もちろん古田。登場シーンで着ていたマントを脱ぎ捨てボンテージになった姿の存在感と威圧感(と、いわゆる「変態」っぽさ)は、ほかのキャストが一瞬にしてかすむほど。異性装に、自分はトランスセクシャルであると歌う「Sweet Transvestite」の声がとにかくかっこよく、たしかに体形こそ中年男性らしいボリュームなのですがとてもセクシーで、もはやヒワイといっても過言ではないのではと感じられるほど。

 ソニンが演じるジャネットは、パーティを目の当たりにして「変態の変態による変態のための館よ」とドン引きしますが、ベッドに侵入してきたフランク・フルターの手腕に、処女にもかかわらずアッサリ陥落。古田はオネエ口調のセリフではなぜかオカン風味が強かったのですが、「ブラッドにはいわないでいてあげるから」「気持ちよかったんでしょ、本当は楽しかったんでしょ」という悪いオトナのささやきはやっぱりヒワイ以外の何物でもなく、ジャネットの陥落も納得。そりゃあも、アメリカンポルノばりの愉快な喘ぎ声あげちゃうわ……

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