性欲は食欲に勝る
迷いなくホテル街にズンズン入っていくD氏の後を着いていくと、そこには『休憩2900円』とでかでかと書かれたホテルがありました。「ここでいいよね?」とD氏が言うので、白雪は頷きました。どうやらホテル代は彼が出してくれるようです。
彼はホテルのフロントで、ぼろっぼろの定期入れから4つ折りにされた千円札を3枚引き抜いて支払っていました。部屋は予想通り非常に狭く、部屋の中央にベッドがドドンとあるだけ。D氏は素早くお風呂に向かってお湯を溜め始めたので、なにげなく覗いてみると、お風呂も激せま! 2人で入るスペースはないので、まずD氏が入り、私は後からお風呂へ。お風呂から出ると、D氏は熱心にルームサービスの出前表を眺めていました。
D氏「このラーメン、500円だって! 安いよね!」
白雪「う、うん。食べる?」
D氏「いいよ、俺。お腹減ってるわけじゃないし」
そう言いつつも、D氏の視線は出前表にくぎ付け。「ステーキもあるね」とか「1300円出すなら、外に出たほうがイイよね」などと話しています。本当にキミは私とセックスするために2900円を使ってよかったのかい? ラーメン食べたり、ジーンズ買ったりしたほうがよかったのでは……。
そんなことを思っていると、D氏がおもむろに立ち上がり、キスしてきました。思いのほか優しいキス。D氏の唇はふっくらとしていて、とっても気持ちがいい……。優しく押し倒され、おっぱいを揉まれます。あ、エッチスタートするのね。
白雪も彼のアソコを触ってみると、大きくそそり立っていました。お互いにハアハア言いながら、口数も少なく体を愛撫していきます。お風呂を上がったばかりの彼からはボディソープの良い香りがしました。彼は白雪のおっぱいを舐め、口にはふはふと含んで乳首をずーっと口の中で転がします。なんだか自分が食べものになった気分……。私のチェリーを食べていいよ、なんつって。
D氏「入れていい……?」
白雪「うん………」
彼が私の足を押し開き、中に入ってきます。あ、入る……。しかし、これが悲劇の始まりでした。
「ぐぎゅるるるるるる~」
彼のお腹が盛大に鳴ったのです。やっぱり、D氏お腹が減っていたのね! しかし、今は大事な挿入シーン。笑ってはだめだと思ってぐっとこらえる白雪。
「ぎゅるるるる~、ぎゅるるる~」
D氏もこのお腹の音を消そうとしたのか、パンパンと思い切り突き始めました。
「ぎゅるる~、ぐぎゅるるる~」
「パンパン!!」
「ぎゅるるるるるる~」
「パンパンパン!!!!」
お腹の音が鳴るたびに、腰を激しく打ち付けるD氏が何だか切ない……。D氏、もういいからなんか食べよ……。
今回の教訓『無職の男性にはご馳走してあげる気持ちで会ったほうがいいかも』
その後、白雪はD氏にラーメンを奢ってあげました。D氏に「ラーメン食べなよ」と言っても頑なに「お腹空いてない!」と拒否するので、「奢るよ?」と言ったのです。その瞬間、「食べる」と目をキラキラさせながらD氏が笑顔になりました。
「おいしいね、おいしいね」と言いながらラーメンをすするD氏の顔を見ていたら、白雪の心はほっこりしました。昔、『きみはペット』っていう漫画が流行ったけれど、白雪も主人公のスミレの気持ちがちょっとだけわかったかも……。
その後、D氏は一週間履き続けているという靴下を私にかがせようとして、部屋中を大騒ぎで追いかけっこしたりと、楽しい時間を過ごせました。あれ? 確かに癒されたかも。私、意外とこういう関係、嫌いじゃないわ。
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