インタビュー

「夫と死ぬまで恋愛してセックスしていたい」――更年期の入り口に立った、コラムニスト吉田潮さんにインタビュー

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吉田潮さん

吉田潮さん

 この連載に登場していただく女性は基本的には仮名で顔写真なしなのだが、今回は連載がスタートして以来、初の顔出しインタビューとなる。お話をおうかがいしたのは、20178月に発売した『産まないことは「逃げ」ですか?』(KKベストセラーズ)が大きな話題を呼んでいる人気コラムニストの吉田潮さん。

 吉田さんは現在45歳で既婚、子供はいない。34歳で子供が欲しくなり不妊治療をスタートするが40歳で治療を止めた。その後43歳頃から生理が不規則になり始めたという吉田さんの、更年期に対する考え、そして「自分が主語」である人生についてもおうかがいした。

43歳で生理周期に変化が

――2年前、43歳頃から生理が不規則になってきたということですが。

「もともとは2628日周期で超規則的だったんですけど、2年前から20日とか25日ぐらいとマチマチになってきたんです。それからね、明らかに出血のパターンが変わりました」

――というのは?

「昔は、生理初日から鮮血がしっかりと出て『生理がきた!』とはっきりわかる感じ。2日目、3日目なんて大量出血で、もう股間が殺人現場みたいになってたんですが……。いまはまず茶色っぽい血がチョロっと出るんです、最初に。『生理だ』と慌ててナプキンをするけど、そこから茶色い出血が3日間ぐらい続き、『これ生理なの?』って迷っちゃう」

――わかります、私もそういう時期がありました!

「グズグズ出血が終わると、ようやく赤い鮮やかな血になるわけです。そのせいで、これまでより長期間ナプキンを使い続ける状態になっていて。あ、それから排卵時と生理中に、肛門に痛みを感じるようになりました」

――排卵日に肛門がツーンと痛くなるって女性はいらっしゃるようですね。吉田さんの場合は生理中にも?

「排卵時も生理中にも。私はツーンより、もっと低音でズゥゥーンっと。肛門に重厚感を感じます(笑)。排卵といっても、年齢的にほとんどもう<卵巣の断末魔>という状態なんでしょうけどね。それでも『あぁ排卵してるな』とわかる、肛門の痛みのせいで(笑)。それに、前より生理中に子宮の腫れを感じるというか、血が溜まってるのを感じるようにもなりました。でもとにかくいまは思いっ切りよく生理が始まらないグズグズ感がすごく嫌」

――ずっとナプキンをしているとかぶれも気になりますしね。

「私、布ナプキン派なんですよ。40歳ぐらいでナプキンにひどくかぶれたことがあって。そこからは布タイプを愛用してます。茶色いチョロチョロ期だけ普通のナプキンをして、あとは布ナプキン。かぶれないのでとても快適ですよ」

――ご著書『産まないことは「逃げ」ですか?』を拝読しました。25歳から34歳までピルを服用されていたとのことですが、服用時はコントロールされているので、生理の悩みはあまりなかったのではないでしょうか。

「出血量は少なかったです。生理の量が少ないってこんなに快適なのか、ってピルを飲んでるときは思っていました。避妊効果、卵巣の病気予防、生理を軽くする、ピルってほんとにいい薬だと思います」

――34歳から続けられていた不妊治療を40歳でやめられたわけですが、その後はピルを再開しようと思わなかった?

「タバコの量が増えちゃって。1日にひと箱タバコを吸って、それでピルを飲むのは血栓のリスクが怖いですから。この歳で喫煙者だとピルはもらえませんし」

――現在45歳。ちょうど更年期の入り口に立ったばかりだと思うのですが、ご主人にはご自身の体調の変化や更年期についてお話をされたりしますか?

「話します。夫とは仕事の関係で別居婚なんですね、私は東京で夫は静岡。彼と会うときはできるだけセックスをしたいと考えているのに、生理が20日周期になってからというもの、向こうが東京に来たときになぜか私が生理中のことが多い。もうね、チッって舌打ちしたくなる」

――ご主人でなく、吉田さんが舌打ち(笑)

「『いままた生理中なんだ~。周期が乱れてて』って話すと、夫は『俺も年とったし』って変ななぐさめをくれたり、『大変だね~』って言ってニコニコしてる。その顔がなんか性奴隷からの解放に見えて、ちょっとむかつくんですよね~。そうすると『なんだよ、生理中にばっかり来やがって』って舌打ちしたくなるわけですよ」

――なんだかとっても仲良しで素敵。そういう関係だと、閉経した時もご主人には包み隠さず話せそうですね。

「もちろん話せます。生理が乱れ始めたときもすぐに話しましたし」

――閉経をご主人に報告したら、どんな反応されますかね?

「どうなんだろう……ほら、男の人って妊娠や生理についての仕組みをホントにわかってないじゃないですか。かといって、すべてを知れ、解れというのも無理だと思うんです、私は。だから閉経や更年期のことについて話すときはとにかく手短に。『女性ホルモンが減ってね、こうこうなってるよ』ぐらい簡単にすませてます。閉経したとしても『へえ~、そう』って夫の反応はきっと同じですよ」

予期不安でビビるほど馬鹿らしいことはない

――生理の乱れ以外になにか体調の変化など感じられたことはありますか?

「疲れが取れない。いや、でもこれは更年期というより加齢かなぁ」

――たしかに加齢か更年期かを判別するのは難しいですよね。たとえば動悸や不眠、体の強張りなどは?

「肩こりと腰痛に悩まされてはいるけど、それは昔からだし……やっぱり生理の乱れ以外に、気になる更年期症状はないかな、いまは」

――症状を特に感じないままで更年期を終える、という方も多いですからね。

「それそれ! できるなら、私もそのパターンでいきたいわけですよ」

――でもそうかと思えば「重大な病気に違いない」と感じるぐらいのつらい症状があり、原因を知るためにいろんな病院を渡り歩くことも。ドクターショッピングですね。それで最後に婦人科に行き更年期に気づくという……吉田さんはいまかかりつけの病院はありますか?

「あります。2年に1度は婦人科に婦人科検診にいき、マンモグラフィーはまた別の病院で5年に1度ぐらい。区の検診にも必ず。基本は私、健康体で体力もあるんですけど、病院や薬に抵抗はないんです。だから、もし日常生活に支障をきたすような更年期症状が出たなら、すぐに婦人科に行ってHRTなり漢方なり対策を練ろうと考えてます」

――たとえば、50歳前後であっても自分が更年期であるということを受け入れられないという方もいらっしゃるんですね。その根底には<更年期=恥ずかしい、女として終わってしまう>という思いがあるからではないかなと思うのですが、吉田さんはそういう思いは?

「まったくないですし、隠すことではないと思っています。年下の女友達も多いので『更年期、どんな感じ?』って訊かれますし。そういう人たちの先達になりたいというかね。『ホットフラッシュは、私はなかったよ』とか、自分の症状を包み隠さず彼女たちに伝えたいんですよ。それは決して呪いをかけるわけじゃじゃなくってね。更年期とひと口に言っても、人によって症状は違うと思うから、私は私の体験を下の世代に伝えたい」

――私はいま50歳ですが、まだこの世代は「更年期は恥ずかしい」や「人に話すものではない」という考えを持っている人が多いと思うんです。でもそういう考え方はもうここで打ち止めにしたいと思っていて。みんながオープンに更年期について語り合えればいいな、そのためには若いうちから知識を持っていてほしいなと考えて、この連載を始めたんです。

「すごくいい考えだと思います。私が20代の頃に編集者をやっていたときは雑誌も<更年期とはいかに大変なものか>とアナウンスする方向が多かったんですよ、そうするとみんなワナワナしちゃう、更年期怖いってね」

――先日30代のキラキラ系女子と更年期についてお話しする機会があったのですが、彼女たちは一様に「更年期が怖くて怖くて仕方ない」と話していました。そうなっているのは、吉田さんがおっしゃったように「更年期はとにかく大変、つらい」という情報がまだひとり歩きしてるからだと思うんです。症状は人それぞれであること、治療法もあることなどを若いうちからきちんと知っておけば、やみくもに怖がることもなくなるかと。

「ほんとに。予期不安でビビることほど馬鹿らしいことはないと思います。だからこそ、私も積極的に自分の症状は若い子や同世代の女友達にもアナウンスしていきたいわけです」

――吉田さんは同世代や自分より年下の女性の前でも閉経したときは話せますか?

「話せますよ。時代の友達とはこないだも最近生理が乱れてきたよ、って話していて。早くあがりたいよね~って」

――私の感覚なんですが……生理の乱れや症状までは話せていても、いざ閉経となったときにはなかなか親しい友人にも話せない人もいらっしゃるように思います。

「閉経って判断が難しいですよね。医学的には1年生理がこなければ閉経なんですよね?」

――ええ、そうです。

「そうすると、閉経したと思っていても11ヵ月めで出血があれば『やっぱりまだ閉経してない』となるし。はっきりとわからないぶん、話すタイミングも難しいのかもしれないですね。でも、もしかしたら女として終わってしまったという思いの人もいるかもしれない。閉経したって死ぬまで女なのにねぇ」

――そうなんですよ、生理が終わっても女は女。そこは絶対に変わらないんですけど。

「そういえば、こんな話を知り合いから聞いたことあるな。知り合いの祖母は80歳になっても生理用ナプキンを持ってたって。もちろんもうとっくに閉経してたんだけど、定期的にナプキンを自分で買いに行ってたらしいんですよ」

――ナプキンは女の証、だと。

「もしかしたら知り合いの作り話かもしれないけど。でも、ちょっと怖いけどいい話、怖いい話でしょ(笑)。私は、生理がなくなれば毎月のナプキン代がなくなるし、セックスもし放題になるし、いいことだらけかなと思ってますね」

――でも閉経すると、濡れにくくなるという問題が出てくるわけですが……

「そこはほら、いまはいいローションもあるし。あ、でもそうするとナプキン代が結局ローション代になるわけだから、出費は変わらないか(笑)でも、私は早くそっちに移行したいんですよ~。生理がないのはどんなに天国だろうか、って憧れます。下着が血で汚れることもない。お腹や肛門が痛くなることもない。ニオイもない。ホント早く終わりたいですよ」

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日々晴雨

都内在住フリーライター、独身。いくつかのペンネームを使い分けながら、コラム、シナリオ、短編小説などを執筆。コピーライターとして企業のカタログやHPなどのライティングに携わることも。

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