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『アナ雪』より先に“女性の成長”を力強く描いていた名作ミュージカル『ウィキッド』に、今こそ注目したいワケ

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 劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンターテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、時に舞台では、ドラマや映画などの映像作品では踏み込めない大胆できわどい表現が可能です。

 年があけて2018年を迎えても、国際情勢はザワザワしています。就任からちょうど1年たったトランプ大統領率いるアメリカを中心に、異民族やマイノリティへの排斥の声がやまないのは、何度もくり返してきている歴史とあきらめてしまうには悲しすぎるものです。

 創作の世界は、常に現実を映す鏡。現在の世界情勢を予言したかのようなミュージカル「ウィキッド」は、アメリカでもっとも愛されている童話のひとつ「オズの魔法使い」の前日譚ともいえる物語です。なにをもって「善」と「悪」を判断するのかという政治的なテーマを内包しながら、苦悩しつつ自分が歩むべき道を選んでいく女性の生き方を描いています。

 童話「オズの魔法使い」シリーズにモチーフにした小説「オズの魔女記」が原作の「ウィキッド」は、2003年にブロードウェイで初演。主人公のオリジナルキャストは、映画「アナと雪の女王」のエルサ役を吹き替え、日本でも紅白歌合戦(NHK)出演などで知られる女優、イディナ・メンデルで、同役で04年にトニー賞主演女優賞を受賞、またブロードウェイオリジナルキャストで収録されたCD05年のグラミー賞も受賞し、社会現象となった作品です。

 日本では劇団四季で上演され、テレビCMの小林幸子ライクな主人公の熱唱は目にしたことがあるひとも多いのではないでしょうか(余談ですが、メンデルは当連載の前回「LGBTHIVを描くミュージカル『RENT』の「今日」を大切に生きるというメッセージ」で取りあげた「RENT」のオリジナルキャストでもあります)。

緑の肌の少女

 のちに「良い南の魔女」と呼ばれるグリンダと、「悪い西の魔女」と恐れられるエルファバはかつて、同じ大学に通った同級生でした。生まれつき緑色の肌をしたエルファバは父親に疎まれており、足の不自由な妹の面倒見係として大学に入学。同級生からも遠巻きにされていますが、絶大な魔力を持っていました。金髪美人のグリンダは魔力こそ強くないもののセレブで人気者、ふたりは初対面でお互いに嫌悪感を抱き合います。そこへ、ハンサムな王子のフィエロが転校してきます。

 衝突をくり返しながらも、エルファバとグリンダは友情を深めていきます。オズの国の動物は知性を持ち言葉を話せますが、何者かの陰謀で、動物たちは自由を奪われるように。エルファバが窮状を訴えたオズの魔法使いは自分の権力維持のために彼女の力を利用しようとしますが、エルファバは拒否。すると「悪い魔女」だと喧伝され、国民の敵に仕立て上げられてしまいます。

 ファンタジーや童話における成長物語は、少年が主人公のものが大半です。女の子が主人公の場合、その努力や成長は、王子様と結ばれる結末のためで、物語の中身も恋がほとんど。しかし「ウィキッド」がリアルなのは、エルファバとグリンダの、自身の目指す未来をかなえるため魔法を修めたいという向上心と、そのために世間から悪評や空虚な期待を押し付けられることが描かれている点です。

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フィナンシェ西沢

新聞記者、雑誌編集者を経て、現在はお気楽な腰掛け派遣OL兼フリーライター。映画と舞台のパンフレット収集が唯一の趣味。

@westzawa1121

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