ゴシップ

小倉優子の「子育て最優先で働く」模範的な母親像~「今は育児よりも仕事を優先したい」とは口が裂けても言えない“母親”を取り巻く空気

【この記事のキーワード】
小倉優子

(小倉優子Instagramより)

 昨年3月に離婚し、二児を育てるシングルマザーとなったタレントの小倉優子さん(34)は、オリコンニュースが実施した「第2回『好きなママタレント』ランキング」で第1位に輝き、多くの視聴者の支持を得る“ママタレント”であることが証明されている。彼女は今、もっとも“模範的な”母親像を体現している女性の一人かもしれない。

 年末年始の特別番組にも、彼女はたくさん出演している。12日に放送された『新春しゃべくり007超超超豪華な4時間半人気者総勢505本立てSP!』(日本テレビ系)では、「(離婚したから)いろんな男性から言い寄られるんじゃないか」「離婚後、誰かに誘われたことはありますか?」と質問され、「子供好きだから一緒にご飯行こうよっていう誘いはあった。でも行ってないです」と答えていた。親友であるギャル曽根さん(32)に相談したところ、「離婚して急に子供好きアピールしてくる男性なんて怪しい」との見解を得たため、そうした誘いをしてくる男性は警戒しているという。彼女は昨年出産した次男がまだ1歳であり、「あと20年は働きたい」とも発言。あくまで“子供ファースト”で、仕事以外の時間は親子の時間として使う。そんな彼女の姿勢は、働く母親として本当に“模範的”だ。

 たとえば昨年1025日放送『1周回って知らない話』(日本テレビ系)では、離婚後の半年間で70本以上のテレビ番組に出演した多忙な小倉さんが、「本当にちゃんと子育てできているのか」という何重かに失礼な疑問を立てて、彼女の私生活に密着したVTRを放送していた。そしてVTRは、小倉さんは早朝、子供たちが目覚める前に化粧を済ませて“可愛いママ”になり、朝食と弁当を作り、朝食後には長男の勉強を一緒にやるなど「ちゃんと子育てできている」という内容だった。オーガニック系食材を扱うスーパーで手早く買い物し、食事はなるべく手作り。彼女は料理上手でも有名だ(料理教室に通って学び、料理本も出版している)。

 また、昨年末の女性週刊誌の記事によれば、小倉さんは「子育て最優先」という方針のもと、仕事をセーブしたりスケジュールを調整しており、『仕事と重なってどうにもならないときだけ、ベビーシッターや母親の手を借りるが、育児も家事もほとんど1人でこなしているという』。それが本当ならばすごいことだが、そもそもテレビ収録など長時間拘束される仕事が主なのだから、「仕事と重なってどうにもならないとき」は頻繁にあるだろう。我が子の相手をしながらできる仕事、仕事と育児が同時に成立するような職種はあまりない。それこそ“ママタレント”が育児ブログを投稿することが収入に直結するようなケースを除けば稀ではないだろうか。だから仕事と子育てとのバランスに悩む親は少なくないと思われ、私自身も悩むことがある。そして小倉さんも悩んだのだろう。

 そのうえ、「今は育児よりも仕事を優先したい」とは、(母親は)絶対に、言ってはいけない空気が間違いなくある。出産したからには、その後どういう状況に陥ろうとも、「子供が一番大事」と思わなくてはいけないのだ。さらに離婚していると、働かなければ食べていけないわけだが、「片親だから淋しい思いをさせないよう、子供へ二人ぶんの愛情を」というジレンマが待っている。

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所による「出生動向基本調査」2016年度版では、第1子を出産した後も仕事を継続している女性の割合が大幅に増加し53.1%となった。育児休業を取得し、職場復帰する女性が増えたことが要因のひとつだ。しかし一方で、産前のように仕事の成果を出したい/育児も疎かにしたくない……という感情の板挟みに疲弊し、復帰から数年働いたのちに離職してしまう女性も少なくはない。

 母親である以上、子供を最優先にしなければいけない。働くならば仕事と育児のどちらも疎かにしてはならない。離婚後の小倉優子さんは、テレビなどでそうした“理想”を肩に背負っているように見えてしまう。小倉さん個人の選択がどうかというわけではない。「女性が輝く社会」として「母親も働く」ことが一般化している中で、彼女が“模範的”な母親としてスポットライトを当てられることに、「またか」と溜息が漏れるのだ。「またか」というのは、子育て時期にある女性芸能人の母親としての側面をクローズアップしてその素晴らしさを賛美する報道はこれまでもたびたびあって、菅野美穂さんや上戸彩さん、竹内結子さんらが献身を評価されてきたからである。

 母親という存在が、愛情深く清潔で……というか万能ならばみんな安心だろうけれど、はっきり言って「母親」なんてただの人間であり、もちろんモラルやマナーは必要だとしても、人間である以上、欲望や煩悩にまみれていて不潔で気持ち悪い側面があるのは当たり前のことだ。だからわざわざそうした側面を見ないふりして「母親」というモノを称えようとすることに、強い違和感を覚える。また、育児も仕事もきちんと両立し献身性の高い母親は、男女の性別役割分担を保存し強化する。

 「言われるまでもなく、私は心から、子供を最も大事な存在だと思い、最優先にしていますよ」という人もいるだろう。それは小倉さんもそうかもしれないし、そのことを否定するつもりはない。ただ、“母親なのだから”と思想を強制されること、「自然にそう思わない女性は母親失格」だとされることは、不自由だ。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

良いおっぱい悪いおっぱい 完全版 (中公文庫)