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完璧主義のモンスターだった母親から受けた傷と抑圧

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photo by Sarah Hamilton from flickr

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【前編:「子供じみた大人」ではないアダルトチルドレンという問題

アダルトチルドレンの判断基準

 アダルトチルドレンの特徴とは、ジャネット・ウォイティッツ(Janet G. Woititz)が1983年に出した『アダルト・チルドレン・オブ・アルコホリックス』という本に示されている判断基準のことで、機能不全家庭で育った子供が大人になってから持つ行動や性格における特徴を列挙したものである。

 この中で2つ以上が自分にあてはまる場合、自分をアダルトチルドレンと認識したほうがその後の人生において生きづらさが軽くなり、生き方の解決が見つかるという意味で良いとされている。

1.常に何が正常かを推測していて、なかなか「これでいい」との確信が持てない。
2.物事を最初から最後までやり遂げることが困難である。
3.本当のことを言ったほうが楽な時でも嘘をつく。
4.情け容赦なく自分に批判を下す。
5. 楽しむことがなかなかできない。
6.変なところでまじめすぎる。
7.他人と親密な関係を持つことが大変難しい。
8.自分にコントロールできないと思われる変化に過剰反応する。
9.他人からの肯定や受容、承認を常に求める。
10.「自分は他人と違う」といつも考えている。
11.常に責任を取りすぎるか、責任を取らなさすぎるかのどちらかである。
12.あるものに過剰に忠実である。無価値なものとわかっていてもこだわり続ける。
13.衝動的である。「他の行動も可能である」と考えることなく、ひとつの選択肢に自分を閉じこめる。

私はアダルトチルドレン?

――ちなみに私は、6、7、9、12に当てはまった。そして、プラケーター(世話役)な子供であったと言える。

 毒舌で色欲の女帝などというキャラクターの私だが、意外にも私はとても厳しい家に生まれ育った。いや、厳密に言うと厳しい母のもとに教育された。母はお堅い銀行に勤め、時間にうるさく完璧主義な人である。一方父は、自由奔放でとてもフランクな人だ。幼少時代、父はいつも酒を飲みギターを弾き、あまり家にいることがなかった。

 母と父の相性が合うわけもなく、無論毎日のようにケンカをしていたものだ。それもただの口げんかではなく、皿やリモコンが頭上を飛び交う暴力的なケンカである。私には3歳年下の妹がいて、母は特別妹を甘やかした。「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい、お姉ちゃんなんだからわがまま言わない」と幼い頃から言われて育ったため、ケンカをする両親と泣きじゃくる妹を見ても泣くことは許されず、ケンカの仲裁と妹をなだめることに必死になっていた。

 現在も私はとても忍耐強い。そして悲しい時の感情表現が簡単にできない。泣きたいといくら思っても、簡単に涙が流れない。

母親のために「いい子ちゃん」であり続けた幼少期

 私が小学生になった頃には、母は完全なるヒステリー気味の教育ママとなっていた。テストで97点取ったとしても、「どうしてあと3点が取れないの」と叱るような教育を受けた。何かと理由をつけては叩かれた。転ぶと踏まれた。逃げ回り机の下に隠れたら、腕をつかんで引っ張り上げられ、額を机にぶつけて思いっきり切ったことがある。真冬にパジャマで裸足のまま外に放り出されて熱を出したことがある。

 母は恐怖の存在でしかなかった。母に好かれるためにいつも気を張っていた。その代わり、父は家にいる時は私にとても優しく、母が「身体に悪いから」と禁止するコーラも内緒で買ってくれた。たくさん音楽や映画の話をした。父と二人で出かけることもあった。私は今でも父親っ子であり、恋をする男性も父のような性格の人が多い。

 アダルトチルドレンが「機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなお内心的なトラウマを持つ」という考え方、現象のことを指すのであれば、トラウマというほどの自覚はないが、確かに子供らしく振る舞うことは許されず、いつもピリピリとした家庭であった。

 そういえば、父とのケンカでヒステリーを起こした母が家具を壊し、私が後片付けをしなくてはならなかったことがある……現在私はひとりで日本酒を煽りながらこれを書いているのだが、書いているうちに封印していた記憶が少しずつ紐解かれている。とても不思議な感覚でありながら、恐怖で指が震えている。

 今の私は誰が見ても生意気な女だと思う。誰に対しても緊張もしなければ、物怖じしないで思ったことをはっきりと言う。しかし実際は、いい子でいようとしていた記憶を嫌悪している。くしゃくしゃに丸めて底の深い闇に閉じ込めたのだ。

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アスモデウス蜜柑

好奇心旺盛な自他共に認める色欲の女帝。長年高級クラブに在籍し、様々な人脈を得る。飲み会を頻繁に企画し、様々な男女の架け橋になり人間観察をするのが趣味。そのため老若男女問わず恋愛相談を受けることが多い。趣味は映画鑑賞で週に3本は映画を見る。

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