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学校教育だけでは教育問題を解決できない。女子教育の促進を阻害する男女の賃金格差

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 日本で女子教育が拡充しないのは、日本の女性が先進国の中で相対的に最低レベルの教育水準であり、男女間の賃金格差が発生してしまうということと、男女間の賃金格差が大きいために女性の勉強する意欲をそぎ落としてしまう、という鶏と卵の関係にあることを連載の中で何度も言及してきました。

 このため、日本の女子教育を拡充していくためには、学校教育を通じた努力も必要ですが、労働側、すなわち企業側の努力も求められます。学校教育でどのような努力がどの程度必要なのかは、これまで一年近くかけて論じてきました。では企業側にはどのような努力がどの程度求められているのでしょうか?

 このテーマは非常に大きなものである上、教育分野からは論じきれない部分も多くあります。今回は教育分野から論じられるものを、先々月にOECD(経済開発協力機構)から出版されたOECD Science, Technology and Industry Scoreboard 2017内のデータを用いてお話していこうと思います。

日本の男女間の賃金格差はどの程度あるのか?

 まず、男女間の賃金格差がどれぐらいあるのかを見ましょう。

 図1は、先進諸国における、男女間の時給換算での賃金格差を示しています。何も調整していない状況(「調整」については後述します)だと、日本の男女間の時給差は40%を超え、先進諸国で最も大きな賃金格差があることが見て取れます。これだけ男女間で賃金の差が生じていると、女の子が費用対効果に見合わないと感じて勉強する意欲が削がれるのも仕方がない気がします。

 しかし、鶏と卵の関係からすると、これだけ大きな賃金格差が生じている一部分は、単に労働市場が不公平に女性の賃金を男性より下げているというだけでなく、女性の教育水準の低さにも由来があることになります。そこで、次に女性の教育水準やスキルの低さがどの程度賃金格差につながってしまっているのかを見ましょう。

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畠山勝太

NPO法人サルタック理事・国連児童基金(ユニセフ)マラウイ事務所Education Specialist (Education Management Information System)。東京大学教育学部卒業後、神戸大学国際協力研究科へ進学(経済学修士)。イエメン教育省などでインターンをした後、在学中にワシントンDCへ渡り世界銀行本部で教育統計やジェンダー制度政策分析等の業務に従事する。4年間の勤務後ユニセフへ移り、ジンバブエ事務所、本部(NY)を経て現職。また、NPO法人サルタックの共同創設者・理事として、ネパールの姉妹団体の子供たちの学習サポートと貧困層の母親を対象とした識字・職業訓練プログラムの支援を行っている。ミシガン州立大学教育政策・教育経済学コース博士課程へ進学予定(2017.9-)。1985年岐阜県生まれ。

「学力」の経済学