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20代男性と年納セックスするはずだったのに…恐怖の年越しナイトになった大晦日

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1231日のラブホテル事情

「ま、満員……?」

 『満員』と書かれた電光掲示板を目にして、白雪はしばし呆然としました。ここは白雪のお気に入りのラブホ。たしかに人気はあるけど……。1231日に郊外のラブホでセックスする人ってそんなにいるの!? ……あ、私か。

「しょうがないから他のところに行こうか」

 とはいえ、田舎なのでラブホテルは2軒しかありません。もう一軒はボロボロで嫌なんだよなあ……と内心思いつつ車に乗っていると、なんと2軒目はお休み! まあ、個人経営だったら休みたいのかもしれませんが……。どうしよう。行くところがなくなっちゃったよ。

K氏「隣町までいこう!」

 いやいや、我が県は田舎なので、隣町のラブホまでは2030kmくらいあります。ほ、本当に行くの……? 外は雪もちらついています。時刻は22時半。居場所がないトークで気は晴れたし、もう白雪的には帰ってもいいかなと思っていました。明日、朝7時からおばあちゃんちで元旦のお手伝いしないといけないし……。

 しかし、もう完全に股間がギンギンになっている様子のK氏。無言で車をUターンさせ、次の目的地へと走り始めます。白雪はなんか嫌な予感がしていました。だってね、今から向かう街は私の住んでいる街より大きいんですよ。てことは……ね?

K氏「ここも空いてない!!!」

 だよねえ……。K氏はさらに次の街まで行こうと言います。でも、もう時刻は23時すぎ。しかも、これは女性側の心理だと思うんですが、自分の住んでいる町からあんまり離れたところには行きたくないのです……。万が一、何かあった時に帰れないって怖いじゃないですか。

白雪「ごめん、私、帰らないと」
K氏「………」
白雪「(あれ、聞こえてなかった?)あの、私。帰ろうと思うんだけど」
K氏「………」

 白雪が『帰る』というワードを出した瞬間、イヤ~な空気が車内に立ち込めました。え、なにそれ。無視するってひどくない……? 車内には音楽さえかかっていません。さっきまで楽しくおしゃべりしていたから気づかなかったけど、沈黙するとこの静けさが妙に不気味に感じます。

 ……まさか私。このまま帰れなかったらどうしよう! こんなわけわからないところで降ろされたらどうしよう!! 白雪は徐々に恐怖を感じ始め、K氏に強い口調で「帰るから元の道に引き返して!」と言いました。言ってしまった後で、しまった、逆上させてしまったらどうしようと思いましたが、K氏は短く「チッ」と舌打ちしたものの、元来た道を戻ってくれました。

 帰り道はね、不安で生きた心地がしなかったです……。国道なので、明るかったのが唯一の救いでした。暗い山道だったら泣いていたかも……。自宅近くのセブンイレブンで降ろされた時には、「た、助かった……!!」と心から安堵しました。

 すぐに夜道を歩き出すのは怖くて、電灯に吸い寄せられる夏の虫のようにコンビニに入ります。ふと時計を見ると0時をすぎていました。ああ……2018年になったのね……。私が変な男の車で恐怖を感じている間に……。コンビニ内は明るい音楽が流れ、店内には数名のお客さんがいます。みんな、嬉しそうな顔をしてる……。あ、どうしよう、泣きそう……。

今回の教訓『カニはどうなったんだ、カニは!!!』

 家に辿り着いた頃には、すっかり体が冷え切っていて、白雪の心はくちゃくちゃでした。自業自得なんですが。ああ、本当なら暖かいラブホで面白い20代の若者とカニを食っていたはずなのに……。そうだよ。そういえば、カニはどうなったんだ!? 女性を釣るためのウソ? それとも、本当にトランクにクーラーボックスでもあったのか? 今となっては知りようがありません。今年の抱負は『うまい言葉に騙されない』に決定した白雪でした。

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白雪魔夢子

大学卒業後、プロニートとして活動。毎日15時間オンラインゲームをして、ギルドマスターまで上り詰める。しかし、三十路を過ぎ、ふと「私。もしかしてやばい奴なんじゃ?」と思い直す。その後、奮起し、出会い系サイトに登録。『どうしてそうなった』という忠告はおやめください。

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