カルチャー

裕福なエコママの陰に漂う自己実現への渇望『tocotoco』

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 女性の働き方や生き方が多様化するにつれ、ママ雑誌も多様化の一途を辿り、ひと昔、ふた昔前の『ひよこクラブ』(リクルート)一択だった時代ははるか昔となっている。昨年9月に発売された、蜷川実花責任編集のムック本『MAMA MARIA(ママ・マリア)』(光文社)は、ワーママ芸能人らの子育てと仕事にフォーカスを当てた内容で話題となった。そんな数あるママ雑誌のなかで今回は『tocotoco』(第一プログレス)に注目してみたい。

『tocotoco VOL.25 2014年2月号』第一プログレス

『tocotoco VOL.25 2014年2月号』第一プログレス

 筆者は新米ママでありながらママ雑誌をほとんど読まず、この雑誌も仕事のネタ探しでママ雑誌コーナーをじっくり眺めた時に初めて目に留まったという体たらくであるが、季刊でありながら25冊も続いている割と息の長い雑誌である。ママ雑誌の表紙は大半がママタレや赤ちゃんモデルだが、この『tocotoco』の表紙は、特集内に登場する“非・タレント”のママさんとお子さんのツーショットで異彩を放っていた。

 第一特集「家がもっと好きになる!ベビーと暮らす家づくり」では、パート1から4まで、お宅拝見や収納術、リノベーションなどの特集が組まれている。その中のイチ企画「tocotocoマザー7人の“わが家らしく”暮らす家」では、7人のママさんが登場し、その素晴らしいお宅を公開されていた。どの家もどの家も恐ろしいほどに片付いており(撮影のため片付けたうえ、プロのカメラマンがインテリア小物の位置など調整済なのだとは思われるが)、まずそれに威圧される。テレビのリモコンや雑誌なんかも見当たらない。子どもの王道・アンパンマンすら見当たらない。本当に赤ちゃんと住んでいるのか……? ダイニングテーブルの上に置かれたコップや湯呑みも何やらお洒落である。

 彼らは夫と子どもの4人暮らしで都内に家を構えていたり、同じく都内に3世代8人同居の大きな家を建築済だったりと皆、経済的に恵まれている様子。ページを開く前からあらかた予想はついていたものの、家具も北欧アンティークやIDÉEなどお洒落ママの王道で、金がかかりまくっている。ランプやひょうたんを部屋に飾り、子どもとの“丁寧な暮らし”を満喫している充実感がほとばしっており、微熱が出そうだ。各お宅紹介の最後には、ママさんたちの来歴が記されているが、ロンドン留学後に設計事務所に勤務していたりフリーのグラフィックデザイナーだったり、はたまた家族で営んでいるギャラリーの企画・運営など生き様も自分流&生き生き系……第一特集だけで発狂寸前である。

 コラムページ「tocotocoマザー3人が語る わが家のインテリア」には、アート系や編集のお仕事をされている(あるいは過去にされていた)またもや生き様がお洒落なママさんたちによる自宅のインテリア座談会が掲載されていた。“お義母さんから譲り受けた布で作ったファブリックパネルを飾ったり”しているママさんがいたかと思えば、“天童木工のエアチェアとイージーチェアを使用中”のママさんもいて、さっきの微熱が上昇しそうな内容。筆者が義母から譲り受けた布なんてスティッチのタオルぐらいですからね……どこにも飾れません。

 しかし気になるのは、これだけ金がかかっていそうな自宅を公開しておきながら費用が一切記されていないこと。結局知りたいのはそこなんですけど……。家だけでなく家具にも金がかかっていそうなので、どれだけ親に出してもらえたのだろうというイヤらしい想像もしてしまい、あまりのイヤらしさに自己嫌悪を覚えるほどであるから、ぜひ費用を公開してほしかった。「家がもっと好きになる!」と題されていながら、そこに登場されているママさんたちのお洒落な暮らしぶりにあてられ、結局、自分の家も自分すらも嫌いになってしまいそうな恐ろしい特集であった。

 第二特集は「トネリコフェスティバルレポート」。トネリコフェスティバルとは、昨年10月に足立区の舎人公園で開催された“大人とこどもが一緒に楽しめる”ことを目的としたフェス。晴天に恵まれた当日の様子や、参加されたママさん&ベビー(with夫)のスナップ「おしゃれマザー30人のスナップ&バッグと持ちもの」まで盛りだくさん。第一特集でずいぶん精神をすり減らしてしまったので、こちらではもう少しなんとか持ち直したい……と思っていたが、そんな希望もページを繰るごとに打ち砕かれていった。

 当日の会場はクラフトエリア、フードエリア、ライブエリア、ワークショップエリアと4つのエリアにわかれて大盛り上がりだったとのこと。おもちゃや子供服、雑貨など60店舗が出店したほか、フードも25店舗出店、ライブでは「みにまむず、ヒネモス、WAIWAI STEEL BAND、COINN、ショビン」の5組が出場……など、手作り感あふれるイベントだったようだ。

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ブログウォッチャー京子

1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

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