カルチャー

自然分娩・母乳育児礼賛に苦しめられる女たち

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『小倉優子の毎日ほめられ ごはん』講談社

『小倉優子の毎日ほめられ ごはん』講談社

 女同士というのは外見はもちろん、年齢や、結婚しているかそうでないか、子どもがいるかどうか、夫や彼氏の収入や仕事……といった具合にさまざまな属性を加味して値踏みし合う生き物である(私は違う、という女性は本稿ではご自身を例外と思っていただきたい)。

 筆者の昔の女友達に、同性の友人が結婚すると態度を豹変させ、招待された結婚パーティの席上で料理はもちろん、会場の雰囲気、そして友人である花嫁の容姿、さらにはお相手の新郎を外見および収入面でこき下ろし、子供ができれば子供の容姿をとやかく言い、果てはその友人と距離を取り周囲に悪口を触れ回る……という大変困った人物がいた。ここまで極端でなくとも、女性の幸せとは生活が安定した男性との結婚であり、子供を産むことである……という今時びっくりするような価値観にとらわれ、勝手に勝ち負けを競っているような女性もまだ存在することは確かだろう。

 そんなウンザリする女性同士の値踏み合戦。結婚すればとりあえずそのステージから降りられるか、といえばそうではない。子供を作るか否か、作るとすればどういった出産を選択する(した)か、またどういった子育てをしているのか、といった細かなことが、その後の女性をいちいち苦しめる。筆者は出産時、何も知らず自然分娩推奨の産院で分娩予約をしたが、そこで初めて、分娩にまつわる女性の欲望を垣間みて逃げ出したくなった。

 産院や自治体では出産を控えた妊婦、また出産後の新米ママさんのために講座を開いていることが多い。今年5月に出産予定のタレント・優木まおみは妊娠後すかさず胎児のエコー写真をブログにアップしたり、イベントで産まれてくる我が子について散々語るなどしてネット上で批判が噴出したことはmessyでも既報の通りだが、その後もマタニティビキニ姿の写真をブログにアップするなどマタニティ・ハイは継続中だ。こういった女性は芸能人に限らず一般社会にも存在する。ただただそういった女性と接するのが面倒だという思いから、この類いの講座は敬遠していたが、またもやネタになるかと思い直し、筆者も数回参加してみた。

 参加者同士でグループを作り、輪になって妊娠時の不安や出産への希望などを語り合うという不気味な会であったが、その中で「1人目は帝王切開だったんですけど、2人目は絶対に自然分娩で産みたくて、病院を探しました」という並々ならぬ気合いを語る女性がいた。聞けば遠方からわざわざその病院に通っているのだという。日本における自然分娩礼賛の気配を初めて感じ取ったのはこのときだ。

 できることなら出産時の痛みは軽減したいと思っていたため個人的には無痛分娩を希望していたのだが、そのような対応はどの病院でも出来ると思っていた無知な筆者である。通っていた産院では無痛分娩NGで、すでに出産時の予約もしていたため、そのまま臨月を迎えた。検診のたびに、助産師からドン小西ばりの厳しいファッションチェックが行われ、裸足でサンダルを履いていた梅雨時には「足首を冷やすと良いお産ができない」などと叱咤された。冷たいものを食べたがる筆者に助産師は「本当にお母さんになる気があるの?」とあきれ顔で言い放つ。さらに親戚からは「自然分娩じゃないとね、変な薬を打って産むなんて赤ちゃんがかわいそう」と笑顔で言われることも。出産前に精神が崩壊しそうであった。

 結局、お産があまりに長引いたため、最終的に陣痛促進剤を使って出産したが、朦朧とした意識の中で「こんな便利なもんがあるんだったらもっと早く使ってくれればいいのに……」と思ったことだけは覚えている。

 このように筆者の体験ひとつとってみても、日本において未だに自然分娩へ憧れを持っている女性や、それが一番自然であるかのような考えの女性が存在することが分かる。とくにこだわりをもって臨まなかった筆者ですら、自然分娩礼賛の風に煽られた。小倉優子は出産時、和痛分娩を選択したことをブログで明かしていたが、「和痛分娩って、賛否両論だなぁと思い書くのを悩んでしまったんです」と、出産までそれを口外しなかった理由として、賛否の声にさらされることを懸念していたと明かした。そのうえ「痛みを和らいで出産することが出来たのですが、やっぱり自然な形で一度は経験出来たらなぁと思いました 次に授かることが出来たら、普通分娩を選択しようと思っています(原文ママ)」と、彼女までもが“自然な形での分娩”への憧れを見せており震え上がった。

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ブログウォッチャー京子

1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

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