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人生を他者に委ねない…元風俗嬢の経済観念

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 新宿の企業にお勤めの会社員女性、Tさん29歳。現在、彼女は地位・年収・夫・子供・若さ、などをもった、私とは完全に住む世界が違うお方……と思いきや、前編のインタビューでは、私との意外な共通点が発掘されました。その共通点とは、Tさんにも「家賃が払えない期間があった」ということ。Tさんは「風俗で働く」という選択をして、貧困時代を切り抜け、今の成功を手にされたのでした。

インタビュー後半では、現在の生活でお金とどのように付き合ってらっしゃるか、伺っていきます。

自分が損なわれずに済んだ

歯:もし経済的にギリギリだった場合、お仕事としての風俗は、おすすめですか?

T:その人が性行為にどんな意味合いを持たせているかによると思います。精神的に抵抗がなければ、やれば、って思う。一時的なアルバイトとしては、私はやってよかったと思ってるし、また今後困ったら、やるのもやぶさかではないです。
ただ、あえて薦めるようなことはないですよ。一人一人価値観違いますから。かつ、風俗やった後、他の仕事はもうできない、ってなっちゃうと……結局は自分で自分の首絞めてることになりますから。選択肢がそれしかないって状況でそこで働いている人とは、また違うんだと思います。

歯:出版社営業と風俗バイト、どちらがやりがいがありましたか?

T:やりがいは明らかに後者のほうがありました。お給料も即日即金ですし。あとは精神状態がよくなりましたし、すごく。

歯:精神状態が? それはどうしてですか?

T:嫌だった職場から離れられたからですね。しかもお金も稼げて……。性格も明るくなりましたねぇ~。いいことづくめでした。
それに風俗に来るお客さんて優しいから、自分が損なわれることがなかったです。ちやほやしてもらって。かわいいね、若いね、って言ってもらって。26歳なのに18歳の大学一年生って言っても、全然信じるから、おじさんて(笑)。

 最初に面接で採用が決まった時点で、私は嬉しかったです。「いいんだ。(この仕事を)やっていいんだ!」と思って。そもそも人間には「顔面ヒエラルキー」ってあるじゃないですか。生まれつき可愛い子ではなくて大人になってから化粧でなんとかごまかしてるような私が、風俗という場所では、生まれつきかわいい風に振舞ってもいいんだ、っていう。それが、すごくありがたいっていうか。

歯:もし正社員になっていなかったり、旦那様と出会ってなければ、ホテヘルを続けてましたか?

T:もしかしたら、今でもやってたかもしれないですね。今後離婚したり失職したり夫と死別したりとかでお金に困ったら、選択肢としては、風俗全然やりますよ、って気もします。30代でもやれるお店、いっぱいありますからね。

保険は「保険」

 現在、Tさんは新宿の某企業にお勤めです。最初は社会保険なしの派遣社員としてお勤めしていたTさん。数年で現在の正社員(もちろん社会保険・雇用保険・厚生年金あり)の地位に就かれた実力の持ち主です。年収は入社以来少しずつ上がって、現在400万、個人での貯金は100万円貯まったそうです。

 Tさんは現在の会社に入社されてから、産休と育休期間を経て、現在、時短勤務されています。育休期間は会社からお給料は出ないものの、雇用保険から支給される『育児休業給付金(給与の50%の額)』があったので、生活は苦しくなかったそうです。

T:当時、基本給が26万だったので、1カ月13万。2カ月ごとなので、一度に26万もらえて、ものすごく助かってました。ただ、もしシングルマザーで家賃とかも自分ひとりで払っていたらキツかったかなと思いますね。ちなみに産休・育休期間中、勤務先から給与が出るわけではありません。「出産育児一時金」や「出産手当金」は加入している健康保険から支給され、「育児休業給付金」は加入している雇用保険から支給されます。これらはあくまでも保険制度で、「仕事を休んでいるのに会社から給料が支払われている、けしからん!」とは思わないでほしいですね。妊娠を機に退社してしまう女性は多いですが、できることなら復帰前提で臨んだ方が経済的にはいいと思います。

 Tさんは現在、旦那様のご両親の持ち家に暮らしているため、家賃はなし。住宅ローンもないそうですが、「持ち家はメンテナンス費がかかることが盲点だった」と言います。

T:何か不具合が発生すれば一気に数十万とんでいきます。意外と大きいと思ったのは、エアコン。エアコンって、アパートでもマンションでも賃貸なら備え付けじゃないですか。故障したら、大家さんや管理会社が費用負担のうえ取り替えてくれますよね。でも当たり前ですけど、持ち家だとエアコンも自分たちで新しいのを買い替えて設置しなきゃいけないわけで……。3部屋一気に不具合が起きたときは焦りました。全部買い換えたら40万円ぐらいとんでく! と思って。そのほか、キッチンやお風呂などの水回り、ガス設備なども不具合があればいちいちお金が飛んでいきます。外壁は定期的に塗り直さないと雨漏りや電気系統の故障につながりますし、持ち家は毎月の家賃こそ出ていかないけれど、維持費がかかるものなのですね……。

歯:メンテナンスのための預金はしているのですか?

T:一応、夫婦共働きなので毎月10万円ずつ家計に入れて、光熱費や保育料(約5万円)などの引き落とし後に余ったお金が預金ということになっています。冠婚葬祭費などもそこから出しますね。

歯:Tさん名義の預金はないのですか?

T:給与から毎月3万円、自動積立で定期口座に預けています。ボーナスが出れば多めに貯金します。

 とはいえ、「節約できない」とおっしゃる、Tさん。財布にいつも5万円は入れて、仕事上お金が急に必要になっても対応できるようにしている、とおっしゃいます。いきなり必要になる経費は病院や仕事で使うタクシーや本など、だそう。

T:家計簿は、つけようとしたことは何度もあるけど、即挫折です。楽しくないな、って。数字に弱くて……。

 クレジットカードは主に洋服、化粧品、生命保険、医療保険、携帯の支払いに使うそう。保険をカード引き落としにしている理由は、「なんとなく」だとか。ちなみに「NOキャッシング! NOリボ!」が信条で、クレジットカードは使ってもすべて一括でリボは絶対使わない主義だそうです。

T:カード請求ひどいですよ、私。もう明細見たくないから見ない。というか、明細書が郵送で来ないように設定しました。なんだかたまに、ドカッとお金を使いたくなる時があるんです……。この間もセールでもないのに洋服を3点、一気に買っちゃって、も~馬鹿ですよね。カードの請求が毎月怖いです。

人生を他人に委ねない

歯:Tさんにとってお金とは、なんですか?

T:私にとってお金とは生きるのに必要なもの。「安心」ですね。たとえば結婚したからといって夫の稼ぎだけに自分と子供を委ねる気は、ないです! ないです! 絶対嫌です。なんで自分の人生を他人に左右されなきゃいかんのか。他人に人生を預けるってことは、他人に右往左往させられるってことなので、絶対嫌です。それだったら風俗ででも働きますよ。今後の目標は、10年で1千万貯めたいですよね。1年に100万くらい貯めたいです。3年で100万しか貯められなかったですから、私の場合……。

インタビューを終えて

 失職してお家賃が払えなくなった時、私、リアルに検討しました。「風俗で働こうか、それともカードでキャッシングしようか……?」と。けど、比較してどちらがベターなのかさっぱりわからなかったので、今回T.W.さんの「借金するくらいなら風俗で働いたほうがいい」という確固たる信念に触れることができて、すごく勉強になりました! Tさんのお考えがいい・悪いではなく、一番参考になるのは個人の生き様に基づいた考えだと感じるからです。貴重な人生観をシェアしてくださったこと、本当に感謝しております。

 10年で1千万貯めたいとおっしゃるTさんですが、ワタクシ、彼女が本気で貯蓄に取り組めば、貯まらないはずはない、と確信しておりますよ。Tさんはこれまでの人生でも、自らの実力で幸運を引き寄せてきた実績の持ち主なんですから!

 Tさんの今後のご健康とご活躍を、心よりお祈りしております。

【Tさん】
【年齢】29歳
【最終学歴】4年制大学卒(英米文学部)
【結婚経験】既婚
【子供】1人
【現在の雇用形態】正社員
【職種】営業職
【平均年収】400万
【平均貯金額】100万
【貯金の使い道】将来のため。現状、洋服や化粧品のイッキ買いなどのカード請求が足りない時に充ててしまうことも。

■歯グキ露出狂/ テレビを持っていた頃も、観るのは朝の天気予報くらい、ということから推察されるように、あまりテレビとは良好な関係を築けていなかったが、地デジ化以降、それすらも放棄。テレビを所有しないまま、2年が過ぎた。2013年8月、仕事の為ようやくテレビを導入した。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』

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