ツ「お互い、もともとセックスにムードを必要としないし、体位もだいたい決まってる。日ごろから私、TENGAになりきってたんだけど、仕事が忙しくて寝不足が続いていたある日、している途中で寝落ちしたの。そのときは『大丈夫? 今夜はもうやめとこっか』ってなったんだけど、また別の日も居眠りを……。ふっと目が覚めて、いけないいけないって思って、ずっと起きてたふりしたんだけど、見たらもう抜けちゃってるの。で、オス彦さんが『もう終わったよ』って」
――オス彦さん、やさしいというか、それでも完遂するのがタフというか。「彼&夫にサービスしなきゃ」「気持ちよくならなきゃ!」ってがんばりすぎて、結局は疲れてしまっている女性って多いですよね。そんな彼女たちに聞かせたい。
ツ「うん、私は何をするわけでもない。『挿れるまで起きててくれれば大丈夫』っていわれるし、たまに彼がイク瞬間だけ『もうすぐだよ!』って起こされることがある程度。イビキかいてることもあるらしい(笑)」
――自然体すぎる! これまでお話を聞いてきて、お互いに求めることが少ないんだなぁと感じました。「こういう夫/妻であってほしい」「こういう夫/妻でなければならない」っていう理想の押し付けがないのでしょうか。
ツ「唯一、気をつけているのは、いつも機嫌がいいようにしてる。私はもともと人前で不機嫌にすることがない性質で、それは自分が怒られるのがすごくきらいだから、他人にもそうしないってことなんだけど、オス彦さんが『ツヤ子はいつも機嫌がいいね』って言ってくれたから、自分のそういう面は大事にしようと心がけてます」
――オス彦さんに対して、もうちょっとここをこうしてほしい、っていうのは?
ツ「……ないなぁ。自分に負い目しかないからね。ズボラの極みで、風呂にも入らない。さっきのシャツの話とかゴミの話とか、確かにクライシスはいくつかあったけど、あのときはまだお互いにつき合い方がよくわかっていなかった。これが恋人としておつき合いしてる段階だったら、キーッてなって別れたかもしれないけど、私たちはそういう過程を踏まずに先に結婚しちゃったから」
――それってアリですね。結婚という土俵に乗っかっちゃうと、たいていのことは気にならなくなるのかも。あと、そもそもタイプじゃないっていうのもポイントだと思いました。好みドンピシャの人だと最初が100点だから、あとはそこからマイナスされていくだけになりかねないけど……。
ツ「うん、マイナスからのスタートだったのは事実。出会いがないっていってる人は、あえて自分的にありえないって思っている人とつき合うのがいいかも。趣味やセンスが気持ち悪くても、自分にやさしくしてくれれば、意外とイケるんじゃないかな」
――それも「求めすぎない」ってことに繋がりますね! 最後にこの本を読んだオス彦さんの感想を教えてください。
ツ「それが、実はまったく読んでないの! 私がどんな漫画を描いているかは過去作品も含めて読んでくれているし、こうしてふたりの生活を描くことも了承してくれているんだけど、最初はまったく好きじゃなかった……とか、本人に言いにくいこともたくさん詰め込んだから、“発売して2年は読まない”って約束したの。それを律儀に守ってくれています」
――じゃあ、2年後にまたインタビューさせてください!
これからも“奥サマのほそ道”を邁進していく腹肉さん。そのハッピーオーラがあるかぎり、ふたりにとってこの関係性は“正解”なんだとわかります。甘くてラブラブでも、発言小町的などろどろでもないけれど、なぜか目が離せないふたりの結婚生活。読んでいるうちに、「これでいいんだ~」と肩から力が抜けていきます。末永くお幸せに!
(文=三浦ゆえ)
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