女は線・男は点で考える
森田「そうだね。でも、ここに大事なポイントがあるような気がする。というのは、ケンカや口論というものについて、男女でかなり捉え方が違っているような気がするのよ」
佐藤「どういうこと?」
森田「簡単にいうと、“線”と“点”の違いというのかな。女子たちの話を聞いていると、ケンカや口論というものを『関係性をよくしていくための話し合い』と捉えているような気がする。だから、過去に遡って、気になる問題、これから起こり得る問題を話し合いによって解決していきましょうというのが目的になる」
清田「そっか。だから“線”なのね」
森田「そうそう。それに対して男は、『何か怒られる!』『自分が責められる!』という気持ちでケンカや口論に対峙してしまう。だから、自分の正当性を主張するようなことばかり言ってしまったり、佐藤広報のように『嵐よ過ぎ去れ!』とばかりに黙りこくってしまう。とにかく今その瞬間の不穏なムードがなくなることが目的で、捉え方が“点”なんだよね」
佐藤「ホントそうだと思うわ。母親にガミガミ言われて、『うるせえなあ』『メンドくせえなあ』って黙ってるのと一緒なんだよね。中身が子供のままなんだと思うわ」
森田「彼女は今後の関係性を考え、面倒を乗り越えて話を切り出してくれているのかもしれないのにね」
佐藤「ホントですね……」
清田「我々はこれまで500人くらいの男女から恋バナを聞かせてもらったけど、何というか、話のディティールに男女で圧倒的な差があるじゃないですか。女子の恋バナだと、ケンカの描写ひとつ取っても、理由や背景、その時交わした言葉や、何なら彼氏が身につけていたアクセサリーまで事細かに覚えている。それに対して男子は、『何か彼女が怒ってた→とりあえず謝った→次の日には仲直りした』みたいに、話のあらすじしかなくてザックリしている」
佐藤「そうそう。だから、聞いてても正直あまりおもしろくないんだよね」
清田「それで思ったんだけど、おそらく男って、感情を上手く言語化できないんじゃないか。自分の気持ちと向き合って考えないから、言葉にできない。言葉にできないから、聞かれても答えられないし、記憶も定着しない。だから黙ってやり過ごそうとする。その繰り返しだから、いつまで経っても感情を言語化する能力が鍛えられない」
佐藤「確かに……。だから彼女に『何であんなことを言ったの?』『あの時どういう気持ちだったの?』みたいなことを聞かれても、彼氏は上手く答えられないのかもね」
清田「だけど、気持ちを言語化できる女子には、『男は感情を言語化できない』ということ自体がわからないんだと思う。だから、男の中には何らかの答えがあるはずだと思ってしまう。それで、黙ってる男を見て、『何か隠しているのかも』『黙っているには特別な理由があるのかも』という風に深読みしすぎてしまい、最終的に自分の不安が増してしまう、あるいは自分を責めてしまう……。そんな負のスパイラルがあるような気がする」
森田「なるほどね。もちろん全ての男子がそうじゃないし、やや偏った考えではある。でも、話し合いをめぐる男女のすれ違いには、こういう背景があることは確かだと思う」
佐藤「そう考えると、黙ってる男って一見怖そうに感じるけど、その内実はろくなもんじゃないかもね……。我々男はバカなのかもしれません」
森田「感情を言語化するってすごく面倒な作業だけど、それをやっていかないとまっとうなコミュニケーションは取れないような気がする。男としては、それを自覚して言語化する能力を鍛えていくしかないかもね」
清田「女子としては、黙ってる男の内面を深読みしすぎず、『ああ、こいつバカなんだな』くらいの気持ちで構えておけば、負のループに陥ることは防げるような気がします」
佐藤「激しく自戒を込めつつ……こういうクソな部分はしっかり撲滅していきましょう!」
■桃山商事/二軍男子で構成された恋バナ収集ユニット。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆など、何でも手がける恋愛の総合商社。男女のすれ違いを考える恋バナポッドキャスト『二軍ラジオ』も更新中。コンセプトは“オトコ版 SEX AND THE CITY”。初の著書『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)が2月20日に発売。
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