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子供の写真を安易に公開するインスタママの「リスクマネジメント<自意識」

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 Photo by Carlos Ciudad Trilla from Flickr

Photo by Carlos Ciudad Trilla from Flickr

 アメブロだけでなくTwitterやFacebookなど、複数のSNSに手を出している芸能人は少なくないが、これらに加え最近では写真SNS、Instagram(インスタ)を利用していることも珍しくはなくなった。同様に、一般人においても複数あるSNSサービスのひとつとしてインスタを利用する動きがあり、特にここ最近、女性の利用者が増えている感がある。筆者がウォッチしている限りでの傾向だが、例えばアメブロで“コーデブログ”の類いを展開しているようなユーザーがこの1~2カ月の間に続々とインスタに流れ、アメブロの更新が滞るという事態が発生している。下手な写真もインスタのトイカメラ風フィルターにかかれば雰囲気満載の一枚となり、大したコーデ写真でなくともそれなりにお洒落っぽく見えてしまうこともあるのだろう。またこうしたコーデブログのそこそこ人気ユーザーがインスタに流れたことで、そのユーザーと繋がっている別のユーザーも次々に参入する……といった芋づる現象が起こっているようだ。

 彼女らがアップするコーデ写真は、バッグから洋服、靴までハイブランドのアイテムで固めているようなものから、シーズンごとに高めのセレクトショップで新しいアイテムを購入しそれを早々に着てみるといったものもあり、手持ちの服や靴で着こなしを工夫してみたというよりは、とにかく金をかけてみましたという自慢大会のようでもある。写真にブランド名をタグづけしている場合が多いので、タグ検索をすると同じような自慢写真をアップしているユーザーが続々と出てきてキリがない。

 このようにインスタでは最近、“アメブロからの流入コーデ写真組”が目立っているが、それとは別に、自分の子育ての様子をとことんアップしまくるママたちの存在も忘れてはならない。コーデ写真同様、インスタママたちによる写真もなかなか興味深く、タグ検索などしていると文字通り寝食を忘れて朝になっていることもあるほどだ。ウォッチ的な意味で、インスタの中毒性は他のSNSと比較にならない。

 「離乳食」で検索してみると、文字通り離乳食の写真がずらりと出てくる。どれもこれも、こだわりの布(もしや手作り?)製ランチョンマットの上に置かれた、こだわりの器に、手のこんだ離乳食が盛りつけられていて、頭が下がる。このインスタという戦場において離乳食という名の戦に名乗りをあげるのはかなり勇気のいる行為のようだ。プラスチック製の器に盛った適当な離乳食をアップしようものなら、腕に覚えのあるママさんたちから嘲笑されるのではないかと被害妄想が膨らんでくる。またそうした離乳食写真には、食べているお子さんたちもかなりの確率でフレームインしている。先のコーデ写真組は、コーデはアップしても自分の顔は9割方のユーザーがスタンプで隠したり、顔から下の写真をアップしたりするなどの気遣いがあるが、それに対してこちらはお子さんたちが目隠しもされずばっちりと公開されている。育児中で疲れ果て危機管理も考える余裕がないのだろうか、と好意的に解釈しようとするも、そもそも疲れ果てているなら写真をインスタにアップすること自体控えるだろう。コーデ写真組が値段の張るアイテムをタグつきでアップするのと同じように、お子さんを見てほしい気持ちが先走った結果なのかもしれない。

  次に子供服のブランド名などでタグ検索をかけてみると、こちらも同じようにお子さんの写真がこれでもかと出てくる。例えばイギリスのブランド「Caramel Baby & Child」(子供服でありながらカシミヤなど上質な素材を使用していたり、大人の服とそう変わらない落ち着いた色味だったりして本当に素敵なアイテムばかりなのだが、いかんせん高い)で検索してみると、ここの服を着せられたお子さんたちの写真がこれまたずらり。どの子も顔を隠されることなくアップされている。この危機感のなさには驚かされるばかりで、辻ちゃんを見習えと言いたくなる。

 また筆者が、丁寧な暮らしを重んじるほっこりママさんたちのアカウントを常々ウォッチしていることは以前、ママ雑誌「tocotoco」のレビューでも触れたことがあるが、こうしたママさんたちも同じようにお子さんの写真を惜しげもなく公開しまくり、はたまた夫、そしてママさん本人もしょっちゅうフレームインしている。先の離乳食タグで見つかる写真のように、手のこんだ食事をかわいい器に盛って、お子さんに与えているといった行為はもはやデフォルト。他にもこうした傾向が見られる。

・西の野菜にこだわる
・ベクレルフリーにもこだわる
・とっておきの自分の写真をたまにアップし、賞賛コメント待ちをする
・お子さんの誕生日やひな祭りなどといったイベント時には写真が大量アップされる
・しょっちゅう“出会いに感謝”している

 食事においては、お子さんの安全を第一に考えていることが伝わってくるが、その一方で、お子さんのプライバシーや安全には全く配慮せずに、お子さんの顔を隠さず写真をアップし続けている無防備なママさんが実に多い。相反する信念や気持ちが同居し、それらが常にせめぎあっているのが人間というものかもしれないが、それにしても危機感がなさすぎだろう。他の投稿を見れば居住地やよく行く店などもすぐに分かってしまう場合が多く、危険きわまりない。これが犯罪に悪用されたら……といらぬ心配すらしてしまう。

 冒頭で触れたコーデ写真は、お洒落というテーマで戦いを繰り広げつつも、いかにお金をかけたファッションができるかとその財力を競い合っている側面もあるだろうが、あくまでも自分自身と、身につけているアイテムだけで勝負をしている姿勢は見ていて楽しい。ところがママさんたちによる子育て写真は(本人たちにはそのつもりはないのだろうが)どれだけリア充で、いかにお子さんに手をかけているか、というところを競い合っているかのようにも見える。そのためにはお子さんの将来も危険も考えず、嬉々として全世界にその写真を公開する。インスタママさんたちにとってはお子さんが、コーデ写真組のいうところのお洋服のように“自分の生活を引き立ててくれるアイテム”なのかもしれない。

ブログウォッチャー京子/ 1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

ブログウォッチャー京子

1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

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