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韓国の春行事「独り身の男女が黒い麺を食べる日」…実は恋のチャンスも?

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黒い味噌がほんのり甘くて美味! Photo by Robert Koehler from Flickr

 韓国では、昨日4月14日が「ブラックデー」だった。

 これは、韓国にある独特のイベントで、毎年恒例となっている。バレンタインデーにチョコレートを渡す相手がいなかった女性と、ホワイトデーにキャンディーを渡す相手がいなかった男性が、お互いの悲しみを慰め合う日となっており、別名「ソロ・デー」とも呼ばれている。

 ブラックデーを“祝う”男女は服装をすべて、靴下からアクセサリーまで黒い服装で統一し、黒い餡(あん)がかかったジャージャー麺を食べるのがしきたり。韓国の大手コンビニチェーン「GS25」が発表した統計によると、ここ数年、ブラックデーのジャージャー麺消費量が増加傾向にあるらしい。他の恋愛イベントと同様、このイベントがすっかり定着したと考えられる。また、この麺だけでなく、カフェでブラックコーヒーを飲むことが習慣になるという動きも、にわかに起きているらしい。

 さて、このブラックデー。韓国では思わぬトラブルを招いている。

「4月14日にひとりで中華料理屋にランチに行きました。普通に冷麺を注文したのですが、小さいジャージャー麺がサービスで出てきました。ブラックデーであることを忘れていたわたしは『ラッキー☆』と思い、おいしくいただいていました。すると、周囲からの視線が……。目が合ったカップルらしき2人が、こそこそと耳打ちしながらクスクス笑っていたんです」(20代女性・会社員)

 彼女は後になって会社の同僚から、その日がブラックデーだと聞かされ顔が真っ赤になりました。

「私は確かに独り身だから弁解の余地はありませんが……。八つ当たりかもしれないけど、中華料理屋の主人、許すまじ!!」(同女性)

 ちなみに韓国では、ジャージャー麺は大衆食だ。日本で言うラーメンに感覚が近く、大好物という人も少なくない。しかし、ブラックデーにひとりで食べると、周囲から好奇の目で見られてしまう。

 そのため、この女性の場合のようにブラックデーを恨む声も少なくない。ブログなどには「ジャージャー麺が堂々と食べられない」「ブラックデーで商売をしようとしているジャージャー麺業界の腹の中こそ、ブラックだ!」など怒りの書き込みがあちらこちらで見受けられる。

ほっこり幸せエピソードも……

 習慣として定着している反面、ジャージャー麺愛好家からは批難の的になっているブラックデー。しかし、なかにはこんなエピソードも。

「僕は4年くらい恋人がいなかったけれど、余計に悲しくなるのでブラックデーに特別なことをする気はなかった。ただ、去年の4月14日は少し特別だった。会社の後輩の女の子から思わぬ誘いがあったんだ。『先輩、ジャージャー麺作ってあげましょうか?』って」(30代男性・会社員)

 彼は、その後輩女子に恋人がいないのを知っていたため、独り身の心情でも話し合いたいのかと受け取り、自宅に招いてジャージャー麺を作ってもらうことにした。

「2人で麺を食べながら話し込むうちに、彼女が僕に気があるということを知った。真面目に話すのが恥ずかしかったようで、ブラックデーなら冗談ぽく想いを伝えられると思っていたそうだ。その彼女とは来年結婚する予定。あの時のジャージャー麺の味は今でも忘れられない」(同男性)

 恋人がいない人からすれば、思わず「ちっ」と舌打ちしたくなるようなエピソードだが、ブラックデーはただ悲惨なだけではなさそうだ。このカップルのように、慰め合った男女が恋人関係に発展することも珍しくないという。

 数年後には高齢化社会に突入するとされ、少子化も進んでいる韓国。男女がイチャイチャするだけのバレンタインデーやホワイトデーより、独り身であることを堂々と告白でき、かつ新しい出会いの機会となるブラックデーのようなイベントのほうが、より社会的には役だっているような気がするのは私だけだろうか。

 

■河 鐘基/エンターテイメントから政治まで、韓国の社会問題を広範囲に取材。雑誌やウェブ媒体を中心にライター活動を展開中。K-POPも好きだがAKB48の方が好きという、韓流ライターにあるまじき趣味を持つ。さらに正直に言えば、ローラのほうが好き。

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河鐘基

エンターテイメントから政治まで、韓国の社会問題を広範囲に取材。雑誌やウェブ媒体を中心にライター活動を展開中。K-POPも好きだがAKB48の方が好きという、韓流ライターにあるまじき趣味を持つ。さらに正直に言えば、ローラのほうが好き。

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