カルチャー

子供の気持ちを無視、ヤラセ疑惑。テレ東『もう一度うちの子に会いたい』への嫌悪感

【この記事のキーワード】
『もう一度、うちの子に会いたい』公式HPより

『もう一度うちの子に会いたい』公式HPより

 2014年4月13日に放送された日曜ビッグバラエティー『もう一度うちの子に会いたい(以下『うちの子に会いたい』)』(テレビ東京)。番組表でこの番組のタイトルを見ただけで、私は違和感を覚えました。番組概要を読むと、「子供が家を飛び出して、数年間会えていない親……。わずかな手がかりを頼りに番組が徹底調査・捜査します。『うちの子』は実家に帰ってきてくれるのか……!?」という内容。これを読んだことで私が感じていたモヤモヤした違和感は、はっきり「気持ち悪い!!」と言語化できるものになりました。

 まず、生物学的に遺伝子の繋がった子供のことを、「うちの子」と呼ぶのは、まるで子供を自分の所有物として扱っているようで、嫌悪を感じます。

 さらに、「わずかな手がかりを頼りに番組が徹底調査・捜査します」という点。今のご時世、行方不明の人は、探偵事務所に頼めば確実に見つかります。そんな時代に、わざわざ人探しのプロでもないテレビ番組制作会社に、なぜ子供探しを依頼するのか? そんな大事なことをテレビ番組に依頼する人がいるなんて、にわかには信じ難い。ましてや、大切な「うちの子」(とやら)に会いたいのであればなおさらです。

 番組放送当日のお昼頃から、私のTwitterタイムラインでは、既にこの番組について話題沸騰でした。そのほとんどが、『うちの子に会いたい』の出演者の身の安全を危惧し、番組の企画意図を疑問視するものだったように思います。
(注:以下、便宜上「親」「子供」という言葉を使いますが、それらはあくまでも生物学上・戸籍上・社会通念上のことであり、従属性を指す言葉としては使用していません。また、「子供」は成人した元・子供という意味で使用します)

 Twitterで心配されていた問題点をまとめるとしたら以下の3つでしょうか。

①虐待などが原因で親から離れている子供のところに、テレビ制作スタッフがいきなり訪れることで、子供が深刻な精神的ストレスを受けてしまうのでは?
②何の後ろ盾もない中、子供が苦労して築き上げた新天地での生活を脅かすのではないか?
③暴力的でストーカー気質な親から逃げている子供の居所が、テレビ局スタッフによって親に知れてしまい、子供が危険にさらされるのでは?

予想通りの展開

 番組を拝見したのですが、危惧されていた3点に関しての配慮があるようには見受けられませんでした。

 正直に申しますと、この番組に登場した最初の親子のエピソードが、まるっきり予想通りの展開を見せたことにゲンナリし、その時点で番組を見るのをやめてしまいました。

 「この番組に出演している自称一般人は、テレビに出ることによって、何らかのメリットが得られる人で、いわゆる『ヤラセ』ですよね? というか、そうであってくれ……」と、思いながらこの稿を書くために、録画で残りの放送内容をチェックしました。

 番組MCはタレントの中山秀征とテレビ東京アナウンサーの大橋未歩さんのお二人。

 最初の親子は、某県にお住まいの49歳の母親。25歳娘に会いたい、とのこと。

 この稿では某県と書きますが、信じられないことに番組では、実家所在地、最寄駅、実家そのものまでくっきり・はっきりハイビジョンで放送していました。母親の証言による親子の確執・再現ビデオに続いて、タレントが娘の一人暮らしのアパートを急襲。その際、近所の風景からアパート外観までまたもやくっきり・はっきりとテレビに大写しに。実家のみならず現在住んでいるアパートまで映すとは、どれだけ個人情報を流出させる気なのでしょうか……? 戦慄ものです。

 そして娘さんに関する新事実が明らかに。この娘さんは、芸人の卵だったのです!!

 もともと白けていた気持ちが、プシュゥゥゥウウ……と、音を立てて、より一層白けるのがわかりました。「芸人の卵なら、テレビに出るの、当たり前じゃないか!」と。

 もし私が芸人の卵であったなら、親と不仲でなかったとしても、そうであるということにして、この番組に出演します。この不況の世の中、みんな生きることに必死なのです。ましてや、チャンスの神様は前髪だけ!

 と、いうわけで、ひと組目の親子は、テレビに出ることによってメリットが得られる人たちだったので、一安心でした。

「戸籍抹消できるから息子の生死を確認したい」

 2番目に登場したのは43歳の息子を探す75歳の父親。父親によると「息子が『失踪』したのは、息子が30歳の時で、借金がらみである可能性が高い。『失踪』から10年経つと、死亡認定が可能になり戸籍抹消ができるので、生死を確認したい」と語っていた。

1 2

大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

探偵の探し方・頼み方ガイド―探偵に頼むといくらかかる? (主婦の友生活シリーズ)