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専業主婦は完璧に家事して当然?「家事ハラ」問題の根深さ

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Photo by amanda tipton from Flickr

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 旭化成ホームズ株式会社の「家事ハラ」広告への異論が、依然拡大中だ。同社の「共働き家族研究所」が7月14日に、【30代~40代・子育て中の共働き夫婦を対象とした「妻の家事ハラ」実態調査結果】を発表し、JR中央線快速およびJR京浜東北線にて広告を展開中だが、これが瞬く間に炎上し、今なお燃えている。

「共働きなのに家事は妻メイン?」
「夫が家事を“手伝う”という感覚がそもそもおかしい」
「雑な仕事にダメ出しするのはハラスメントではない」

 といった非難が多く目につく。

 さらに、この「家事ハラ」なる言葉は和光大学教授でジャーナリストの竹信三恵子氏が2013年10月出版の『家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの』(岩波新書)で創出した造語であり、同著での意味は旭化成ホームズの意図とは全く異なる。

●旭化成ホームズの家事ハラ
・妻→夫への嫌がらせ
・夫の家事協力に対する妻のダメ出し行為

●岩波新書での家事ハラ
・家事労働が軽視されていることで、家事労働の担い手(主に女性)が被っている不利益

 また、同著はただ単純に「男女平等に家事負担を!」と叫んでいるものではない。「女性の低賃金が男性の長時間労働を誘い、長時間労働が男性の家事参加を阻んで外での就労を妨げ、それがさらに男性の長時間労働を生む」(P.127)という現在進行形の悪循環を指摘し、妻の家庭内労働を前提として成り立っている多様性に欠けた社会の生きづらさを指摘している。

「子育ては幼児の間の一時的なものではない。労働時間をすべてのステージで、家事や子育て時間を組み込んだものにしていくことが必要だ」(P.209)
「家事の担い手とされてきた女性が意思決定の場にほとんど参加していない日本では、仕事と家庭を両立できる労働時間が必要な人々がばらばらに切り離され、自分たちに必要なものを意識することさえまれ」(P.228)

 といった具合に、冷静で鋭い考察が展開されているので、「共働き家族研究所」を標榜するのであれば旭化成ホームズはまず同著を参考にすべきだった。「家事ハラ」は決して家庭内で解決できる気軽な問題ではなく、複合的な要素をはらんだ社会問題である。竹信氏は旭化成ホームズに対して、抗議文等を提出したという。

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ヒポポ照子

東京で働くお母さんのひとり。大きなカバを見るのが好きです。

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家事労働ハラスメント――生きづらさの根にあるもの (岩波新書)