seriesend

常に刺激にまみれていたい…身体改造パフォーマーは普通コンプレックスの塊

【この記事のキーワード】

短期集中連載・必殺裏仕事人

Photo by Ryan Humphries from Flickr

Photo by Ryan Humphries from Flickr

【初回はコチラ:身体改造パフォーマーという職に就いた女

 「日本のディープな場所で働く男女」に注目する本連載。初回は、いわゆる身体改造を行っており、それをパフォーマンスとして観客に見せる仕事をしている私の友人のカナエ(26歳・仮名)にインタビューしたわ。

 カナエの身体には豪快なタトゥーが入り、自ら舌に切れ目を入れ、蛇のように二股に舌を割ったスプリット・タンにしている。ショーの目玉である「ボディ・サスペンション」の実演モデルを生業としており、カラダには生傷が絶えない。「ボディ・サスペンション」とは、人体の皮膚に直接フックを通して吊り下げるもので、想像するだけでも痛い。カナエの痛覚は一体どうなっているの??

性に受け身な姿勢…過激パフォーマー・カナエ(26歳・仮名)

「小さい頃から根本の性格は普通だったし、普通すぎる家庭に育って。周りに多才な人や感性豊かな人が多かったから、それがずっとコンプレックスだった。それをこじらせすぎて気狂いぶりたくなってから、私は今の私になったと思ってる」

 そう語るカナエは、彼女は私の飲み友達のひとりである。幼さの残る可愛らしい整った顔立ちをしている。20代後半にさしかかっているのに20歳前後にしか見えない。あぁ羨ましい!

 おっとりした口調で刺激的なことを語る彼女が、一見、アングライベントでサスペンションのパフォーマンスをするようには到底見えないであろう。

「仕事関係の人たちと話していると、みんな頭おかしい部類の人たちなんだなーって思う。この仕事以外の普通の人と話すことのほうが多いから、どっちに合わせなきゃいけないか考える時点で、私はまだ頭がおかしくなりきれてないんだよね。そして本当の頭がおかしい人、ってものへの憧れが強い」

 舌先が二枚に割れたスプリット・タンである彼女の舌は左右バラバラに器用に動く。初対面でそれを見せてもらった時に、彼女に対する好奇心が高まり、私はカナエを飲みの場に誘うことが増え、実際にパフォーマンスも見に行った。

――私からすると、舌がふたつに割れている時点でおかしいんだけどね?

「これは好奇心でやっただけ。やりたいと思ったら後先考えないでやっちゃうんだ。スプリット・タンも派手なタトゥーも、生きていく上で必要なものじゃないし、むしろ邪魔なものにしかならないというのはわかってるんだ」

――パフォーマーになろうと思ったのも好奇心?

「そうだね、楽しくやれてる。仕事というよりも道楽だと思ってるよ。それが仕事になってるだけ。これでずっと食べていこうとは思ってないから、やれてるんだと思う。楽しいからって理由だけ」

――今だけっていう割り切りだからこそ楽しく仕事になってるって感じ?

「そうじゃなかったら、もっと気狂いぶってると思う。今は楽しいからやってるけど、楽しくないと感じたらパッとやめれる」

――パフォーマーをやる前は何の仕事をしていたの?

「AVだよ。4年くらい、M女モノがメインでいろんな作品に出たかな。AVの仕事も好奇心から始めたけど、その世界に慣れて刺激がなくなったと思った時点で何の未練もなくやめた」

――仕事に慣れることがイヤ?

「イヤ。その環境に慣れて留まって、平和に過ごすことって一番つまらない」

――パフォーマーを仕事にしようと思ったきっかけはなんだったの?

「私、性欲が強くてセックスそのものが生きる気力だと思ってるんだけど、遊びでハプニングバーによく出入りしてて。そこでアングラなショーを主催してるようなイベンターと仲良くなって、お客さんとして誘われた流れでそういう仕事を知って」

――最初はお客さんだったわけね。

「そう。AVの時に散々やってたからか、縄で縛られたりするパフォーマンスを頼まれた時は、なんとな~く時々出たりもしてた。AV辞めて何もやってない期間は刺激が足りなくて、まぁいいかなって、軽い気持ちで」

――縄で縛られるのと身体を傷つけるボディ・サスペンションの壁ってかなり厚くない?

「そうだね。ショーを初めて見た時は『ゲー! エグイー!!!』って思ったくらいだったし、まさか出るようになるとは思わなかった」

――私も見に行った時は異空間すぎて衝撃を受けたわ。サスペンションの入り口はどこからだったの?

「サスペンションの入り口は、私がたまたま見に行ったショーの最後の目玉がサスペンションで、ついにもうすぐ大目玉のサスペンション! って時になって、急に主催の人に裏に呼ばれて『モデルが飛んだ』って言われたことから」

――その場で頼まれてすぐ出ちゃったの!?

「うん、そういうショーってさ、深夜から始まるから、もうラストのパフォーマンスとなると夜中の4時頃になっているわけ。『今から代わりを探しても捕まらないから、やってくれないか』って泣きつかれて。困ってるならやってみようかなって思ってやったのがきっかけで……それからどんどん頼まれるようになった」

――そんな簡単にやろうと思えること!? 身体中にフックを通して傷つけるし……痛いし、痕も残るでしょ??

「痛いけど、傷とか痕とかはあんまり……そういう自分の身体への執着がない。どうせ治るでしょって思うし。そうそう、スプリット・タンも、舌を焼いて火傷させちゃえばくっつくから治るんだよ」

1 2

アスモデウス蜜柑

好奇心旺盛な自他共に認める色欲の女帝。長年高級クラブに在籍し、様々な人脈を得る。飲み会を頻繁に企画し、様々な男女の架け橋になり人間観察をするのが趣味。そのため老若男女問わず恋愛相談を受けることが多い。趣味は映画鑑賞で週に3本は映画を見る。

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

緊縛の文化史 The Beauty of Kinbaku