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モテる女=男が付き合っていて良い気分になる女、という堂々巡り

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Photo by GirlsWithGlassesGallery from Flickr

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 今回は、女性の「モテ/非モテ」について考察していきます。

 モテる女性の要素については、近年、漫画やファッション誌、女性向けライト・エッセイなどで語られすぎているほどだと思います。ざっくりとこれを総括するならば、モテる女性とは「男性から『守ってあげたい』と思われる」だとか「甘え上手」だとか、とにかく男が付き合っていて良い気分になる人、と定義できるでしょうか。逆にモテない女性像には「仕事ができすぎる女性」とか「完璧すぎる女性」が上げられています。こうしてモテ/非モテのイメージを見てみると、女性のモテとは、表面上「男の上に立たないこと」が鉄則と考えられているようです。

 たとえば、女性向けの自虐系エッセイでは、モテる女子が男を立てていく様子と、それに簡単にハマっていく男の姿が描かれます(例:瀧波ユカリ『臨死!! 江古田ちゃん』における“猛禽系女子”)。女性側が戦略的に男をハメているのだとしたら、それは実質的に「女のほうが上に立っている」と言えるかもしれません。ただ、そうした戦略を取れない女性もいるでしょうし、そのモテ方自体「不自由でしんどくないか?」と私は疑問に思うのです。

 昨今「女性の社会進出が~」とか「女性がもっと自由に働くには~」と女性の自立を促す機運が少なくとも昭和よりは社会的に高まっている中で、未だに男性依存的なモテのイメージがまかり通っている現状には違和感が拭えません。モテ指南本市場では、もう何年も「結局、三歩下がって男を立てろ」というアドバイスがメインストリームを牛耳っています。のみならず、結婚生活においても「夫を立てなきゃダメ」、イクメン化させるのも「パパを褒めて教育☆」、セックスでも「勃たせるには立てろ!」ですからね。

 男性側が「立ててくれる女性」を要求することで女性の権利を踏みにじることは多々ありますし、自称モテ女が「モテるためには男を立てなきゃね☆」としたり顔で語るのもどちらもうんざりします。いわゆる「バリキャリ」(これも相当に嫌な感じの言葉ですが)と「モテ」とのあいだで女性が引き裂かれている感じがするのですよ。

 先日読んだ「隙のある女の作り方」というブログ記事は、女性が「男を立てたらモテる!」と主張している典型的な例でした。この記事では「隙のない女性はモテない」という観点から、「どう隙を作ってモテるか」が論じられているのですが、ざっくりとまとめるとポイントは以下の5点。

l   自己モニタリングをしすぎない(自分を客観視しすぎると隙を作れない)
l   男性と視線をあわせて、ニコニコして、スキンシップをしろ
l   男性の上から目線にキレない
l   飲み会を仕切らない
l   たくさん酒を飲んで、自我を解放せよ

 こういうことをやって男に弱みを見せていくと、バリキャリでもモテるそうです。書いてあることは、大体どこかで読んだことがあるテクニックかと思うんですが、これを書いている川崎貴子さんは女性専用の転職支援事業を仕事にしている方だそうで、一層モヤモヤが高まります。結局、バリキャリのままでは男性が寄り付かないんで、モテテクを駆使して「男好みの女性を演出」するしかない、とハッキリ言っちゃってるわけですよね。川崎さんの経営している会社で転職支援を受けてキャリアアップをすればするほどモテないのでは……。

 仮にこのテクニックを実践して男性と付き合っても、絶対長続きしないですよ。「あれ? 付き合ってみたら、なんか俺の彼女、上から目線で来るタイプ……?」とあっさり気付かれ「思ってたのと違うわ~」とフラれるパターンです! あるいは女性が「無理するのツラいわ~」と音をあげ、最終的に「頑張ってモテようとしたけど、やっぱり続かなくてさ~、アタシ、恋愛向いてないのかな~」「男が軟弱すぎて、普通にしていると男が寄ってこない!」「ありのままの私を愛してくれる人がいいー!」なんて女子会でボヤいて堂々巡り。

 そもそも私は「隙を見せたら、男が寄ってきて恋愛できる」なんて「金を持ってれば女が寄ってくる」と思い込んでいる男性と同レベルの短絡的思考だと思いました。他に恋愛できない理由があるのにも関わらず「隙がない自分が悪い」、あるいは「草食系男子が悪い」では、問題を見誤っている可能性があります。たとえば、この記事では「男性から隙がないと言われて恋愛のきっかけが掴めない」と悩む女性たちが弁護士や医者、大手企業の管理職だった、とされています。この手の職業や役職に就いている人って暇じゃないですよね。彼女たちが恋愛できないのは、仕事が忙しすぎて、恋愛の時間が持てていないだけなのでは……、と(恋愛初期はお互いのときめきで押しきれても、関係を継続していくとなると膨大なエネルギーが要りますからね)。

 とはいえ、「バリキャリ恋愛できない問題」は難しい話です。女性がたとえば、バリキャリのほうが自分と同じかそれ以上の収入がある男性を求める、というのであれば、当然相手も自分も忙しかったりして、なかなか会う時間も取れないという事情がでてきます(相手に予定を合わせられる面では、定時で帰れる一般職のコのほうが有利)。なんだか話が『AERA』みたいになってきましたが、収入ベースで付き合う男性の候補を選んでいれば、出会いの機会が少ないのは当たり前です。レッドオーシャンで血を流し続けるのが嫌なら、付き合う男性の候補枠を拡げる必要があるでしょう。

 今回、件のブログ記事を拝読し、改めて女性の「恋愛もしたいし、仕事もバリバリやりたい、結婚もしたいし、ゆくゆくは子供も……」という願望盛就がいかに高難度かを考えさせられましたけれど、女性が無理をして隙を作る必要はまったくない、と私は思います。それよりも「女性がキャリアを積むには男性よりも頑張らなきゃダメ」風潮をなくしたほうがよっぽど良い。そうした風潮があるから、仕事に打ち込む女性と男性のあいだがギスギスして「隙がない感じがして苦手……」となってしまうのが本当のところなのでは?

■カエターノ・武野・コインブラ /80年代生まれ。福島県出身。日本のインターネット黎明期より日記サイト・ブログを運営し、とくに有名になることなく、現職(営業系)。本業では、自社商品の販売促進や販売データ分析に従事している。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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