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だから自虐はめんどうくさい…自称「肉食系熟女」恐怖の自虐合戦

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 Photo by Corrado Giulietti from Flickr

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 以前とりあげた『AneCam』(小学館)の「『サイバーエージェントの女子社員』研究!」において、男性が考える「サイバーエージェント女子(CA女子)がモテる理由」のひとつに「自虐トークをしない」というポイントがありました。

 これは賛否両論ある特集でしたけれど、確かに「自虐トークをしない人」というのは男女問わず付き合いやすいものでしょう。思うに、「コンプレックスをネタにできる人」と「相槌が打てないレベルの困った自虐」は似て非なるものです。太っていること、顔が良くないこと、貧乏なこと……などなど、自分のコンプレックスやネガティヴに評価されるポイントを笑いに昇華するタレントの方々がテレビで大活躍するこのご時世。しかし「自虐ネタ」があまりにポピュラーになりすぎて「自虐が即ち、笑いにつながる」と勘違いしてしまう人もいるのかもしれません。別に笑えなくてもいいし、そもそも、わざわざ自虐トークを披露しなくてもいいのに。

 「困った自虐」は、聞いている相手にしんどい時間を強いているのが問題です。読者のみなさまにおかれましても、あまり付き合いの深くない相手がいきなり自虐的な振る舞いをしはじめて、どう回収して良いかわからず、乾いた薄ら笑いを浮かべるしかなかった……それがキッカケで出会ったばかりなのにいきなり関係が微妙に……なんて経験がおありではないでしょうか。こちら側が有吉弘行さんや上田晋也さん、あるいは明石家さんまさんのような数億稼げるレベルの会話術を持っているならうまいこと打ち返せるのですが……。たとえば、身長156cm体重68kgを自己申告している女性に

「わたし、ほら見た目太ってるじゃないですか~、だから全然彼氏できないんですよね~」

 といきなり困り眉で言われて

「はぁ〜! そうなんや!! 太ってるコが好きって男も聞くけどなぁ!!」
「ブハハハ!! いきなり自虐をするな、自虐を」

 などと即座に返せるテクニシャンは、一般にはそういないでしょう。というか、そんなMC的な返しをする必要は普通ありません。せいぜい「え~、全然太ってないですよ~」と返すのが関の山であり、フォローのハズなのに、内心では「いや~、白々しいなあ……実際、めちゃくちゃこの人太ってるもんなあ……」と嘘をついたゆえの罪悪感を覚えてしまってツラい。かと言って、自虐を真剣に受け止めて「ダイエットすればモテるよ~、今グルテンフリーダイエットっていうのが流行っててね……」云々とアドバイスを始めるのも変だし、たいして太ってない人間からの上から目線と思われそうなので困ります。笑えない自虐の相手は面倒ですから、その人がモテないのは体型のせいではなく、体型の悩みから派生した自虐的な態度にあるのかもしれません。

 こんなことをつらつら書いたのは、先日、妻と食事をしていた際に、隣に座っていた女性2人組の会話がずーっと自虐合戦だったのがきっかけでした。

 場所は肉料理をウリにしているビストロだったのですが、40代前半でどちらも未婚と思わしきその2人組は、「肉食系熟女に乾杯」などとやりだし、お互いが「結婚できない自虐」、「恋愛が上手くいかない自虐」で大いに盛り上がっていました。赤の他人の話ですので聞かないフリをすれば済む話なのですが、大声でやりとりしているのが嫌でも耳に入ってくる。その姿はまるでどちらがより自虐的になれるかを競っているかのようで、これが噂に聞く逆マウンティングか、と猛烈にモヤモヤいたしました。この人たちはなにが楽しくて一緒に食事をしているのか、見当もつきません。失敗談で牽制しあうこと自体が、彼女たちにとって肉食系熟女会の醍醐味なのでしょうか。そりゃ、そんなことやってたら恋愛が上手くいかないのもやむなしだろう、とワインをあおる私なのでした。他人と自虐トークをして発散することも時に必要だと仮定しても、まず己を省みて「さあ、自分はどんな40代を過ごしていこうか」と考え実行していくほうがよほど建設的だとは思いますが、そんなに合理的に生きてはいけないのが人間ですね。しみじみ。

■カエターノ・武野・コインブラ /80年代生まれ。福島県出身。日本のインターネット黎明期より日記サイト・ブログを運営し、とくに有名になることなく、現職(営業系)。本業では、自社商品の販売促進や販売データ分析に従事している。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra

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