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「an・an」40代男を賛美する特集に透けて見える「女に都合のいい男像」

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「an・an」(2014年7月2日号/マガジンハウス)

「an・an」(2014年7月2日号/マガジンハウス)

 発売中の「an・an」(2014年7月2日号/マガジンハウス)が、『大人の男』特集を組んでいる。若いだけの男を「よっ、イケメン☆」ともてはやす一方で、「若い男は線が細いし経験もなくて頼りないよね~」と落とす「an・an」のバランス感覚は絶妙だ。

 カバーと巻頭グラビア・インタビューは西島秀俊(43)。大手企業の広告に出まくり、テレビをつけたらCMでイヤというほど顔を見る今まさに旬の俳優である。

 この特集で想定する「大人の男」とは、年齢は36~50歳あたり。ただし身だしなみが不潔だったりギラついたオシャレを好む男性は範疇外で、性質は「精神的に余裕がある、ギラギラしてない、わりと男らしい、いい意味で子供っぽいところもある」とわりとざっくり説明されている。

 特集の冒頭では「an・an」世代の女性たちが大人の男に惹かれる8つの理由が上げられているのだが、これがどうもモヤモヤする。つまり「そんな“理想的な大人”の男、いねえよ」ということなのだが、「an・an」はリアルよりも憧れを描いて読者の消費意欲を喚起させなければならないメディアなので、仕方ないのだろうか。それにしても、この特集でイメージされる男性像は「女子にとって都合のいい男」でしかなく、なんだか虚しい。たとえば、大人の男に惹かれる理由として上げられている以下の2点。

●彼らは”日本男児気質”を持つ最後の世代。
●「男には男の役割がある」「好きな女には優しい」という恋愛観。

 まず「日本男児気質」「男の役割」って一体何? という疑問がわく。都合よく日本男児や大和魂を解釈して採用し、年上男性に甘えたり頼ったりすること前提で話を進めているように見え、実に奇妙である。自分は「大和撫子気質」を求められたらどうなのよって話。また、

●バブル崩壊、就職氷河期、ITコンプレックス…。揉まれて身につけた、浮つかない精神。
●自分の時間を生きるエネルギーに溢れている。

 上記2点も大人の男の特長だそうだが、そういう男は……たとえ恋人や配偶者であっても、女の意見に左右されないのでは? 浮つかない精神力を持っていたり、自分の時間を大切にしていたり、ということは、裏を返せば、女性の「感情」(もっと会いたい、淋しい、家庭を省みてほしいetc)を尊重してくれなさそうな、もっと言うと「俺は俺、お前はお前」と突き放しそうなタイプの特徴でもある。「仕事もするけど趣味も大事。その貪欲なところがいい」という女性からのコメントもあるが、いやー、そこに女の入る隙間あります? っていうか「家庭」「パートナーとの結婚」という選択肢がないからこその、40代独身男性(そのうえ雰囲気イケメン)、なのではないだろうか。

 実際に年上の「大人な男性」と交際中の女性で、「私の彼はそんなんじゃないし、すっごく私のことを大事にしてくれて、淋しい時はいつでも会ってくれます♡」という方もいらっしゃるかもしれないが、あくまでも「※個人差があります」な問題。また、年齢を重ねていてかつ清潔感もあり一見かっこよく見える男性が、必ずしも素敵な大人の男なわけではなく、「いつまでも若い女にモテる俺」を楽しみたいだけのダサいオッサンだったりすることも多い(特にメディアやサブカル業界では出没率が高い。例:30~40代カメラマンなど)。自分は30代から40代へ突入しているのに、セックスする女性は毎年のように20代前半の綺麗どころを新調して、「若い女とヤレる俺」に自信を持ちたいオッサンの姿は、傍から見ているとかなり滑稽である。しかしそんな男と何回かヤッて関係が消滅した後に、女性側が「大人の大恋愛を経験した私」に酔うこともよくあるため、案外、需要と供給のバランスはいいのかもしれない。

 ちなみに誌面に登場する大人男性が一様にかっこいいのは当然、俳優さんだからであり、リアルはこうはいかない。そんなことは「an・an」読者も当然わかったうえで、「素敵な俳優さんを好きなだけだからほっとけ!!」というならもう何も言わない。
(まい竹城)

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an・an (アン・アン) 2014年 7/2号 雑誌