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どんなに困難でも、母親が無理やり育児に立ち向かわされる日本社会

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Photo by Michael Kordahi from Flickr

Photo by Michael Kordahi from Flickr

 今年3月、Facebookにある動画が投稿された。地下鉄駅の構内で女性が子供を蹴り倒しているというものだ。投稿者の説明文によれば、ものすごい勢いで怒鳴り散らす声が聞こえたため、振り向くと、改札内で、いやだいやだと言いながらぐずる女の子と改札に出た母親がいた。ヒートアップした母親は改札内に戻り、怒鳴りながらローキックを見舞い女の子の膝に命中させたとある。投稿者は母親とおぼしき女性に「やめなさい!」と声をかけ、改札の外からそれ以降の様子を撮影したという。それがこの動画だ。

 7月3日午前の段階で5万件以上シェアされ、コメントは700件に到達しようとしている。投稿者によれば6月、この動画とともに、経緯を警察に届け出て、その後同月27日、警察から「母親が特定された。児童相談所が間に入って対応している」という旨の連絡を受けたという。

 動画はぐずる子供に母親が公衆の面前で怒鳴り散らし蹴りを入れており、もはや人目も憚る余裕がないほど怒り心頭だったのではないかと推察される。

 確かに子供のぐずりはしつこく長時間に及ぶ事があり、精神的肉体的に母親を追いつめる。堪忍袋の緒が切れた瞬間だったのかもしれない。2ちゃんねるに本人とおぼしき書き込みがあり、別サイトにまとめられている。これが仮に本人であるなら、母親が人の目を気にすることを知っているからこそ子供は増長し、それにカッとなって行為に及んだようだ。また夫は育児を妻に丸投げしているともある。

 動画についているコメントは、「許せない」「この女性に同じ事をしてやりたい」「悲しすぎます」と女性を非難するもの、こうした動画アップ行為がさらに女性を逆上させるのではと投稿者を非難するもの、勇気ある行動として投稿者を讃えるもの、おおむね3パターンに分類される。この炎上ぶりから、改めて、母子の問題は世間の注目を集めやすいことがよく分かる。

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