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ゴム嫌いの女子、うっかりデキちゃった女子に出会い、大人の義務を考える

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 Photo by Hey Paul Studios from Flickr

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 1年以上前のことになりますが、ギャル男系の雑誌でラブグッズの特集が組まれました。昨年で休刊してしまいましたが、ファッションスナップに添えられるキャッチがかなりキレキレで、読者層以外からも注目を浴びていた雑誌です。ギャル男ってセックスもオラオラだろうし、ローションとかグッズとか嫌いそうじゃない? と偏見たっぷりなことを考えながら、取材&撮影の現場に向かいました。

 余談ですが、指定された場所は東京・渋谷のラブホテルでした。最上階がパーティルームになっていて、複数人の男女でくんずほぐれつの酒池肉林をするだけでなく、最近では女子会も行われるスペースのようです。そのためのお得なプランが用意されているようですね。若者がラブホテル離れ(というよりセックス離れ?)しているといわれる昨今、新たな利用者を獲得するための企業努力なのでしょう。

 ギャル系の読者モデルちゃんふたり(どちらも20歳前後)に私がラブグッズについて伝授するという形で、取材は進みました。ひとりはもともとグッズ好きだったようで、興味津々。目を輝かせながらあれこれ手に取り、最後にはショップから提供されたアイテムをごっそりお持ち帰りしていました。もうひとりはあんまり興味なさげ……。編集の男性(推定30代半ば・非ギャル男)は彼女の気を引こうと、エロトークを仕掛けるのですが、いまいち反応がニブイ。というより、彼女の瞳には世の中のすべてがぼんやりとしか映っていない様子でした。

 耳を傾ける気になれず、空想のなかの酒池肉林のパーティに逃避していた私ですが、ふいに彼らの会話が耳に飛び込んできて、現実に引き戻されました。

「○○ちゃんはさ、コンドームつけるの嫌いだもんね」
「うん~、○○、コンドーム嫌い~。だからつけない~~」
「だよね~」

 まず思ったのは、「おいおい、この子ほんとに大丈夫?」ということ。いろんな男性とフリーセックスを楽しんでいる彼女が、コンドームを嫌って生セックス派とは! 彼女の性生活がハデだということは、見た目で勝手に判断したのではなく、その雑誌のバックナンバーで本人がそう宣言していたからです。

 瞬間、苦い想いがこみ上げてきました。ここはオトナが「コンドームはちゃんとつけようよ」と言うべきでは……? 私はその読モちゃんのことをまったく知らないし、顔をあわせてたった数10分足らずなので、心配する義理もありません。でも、その子が無知ゆえに望まない妊娠や病気でツライ思いをするとしたら、それは胸が痛い話です。

 キツい言い方になりますが、頭も股もゆるそうな女の子です。避妊も感染予防もしないセックスでどんなことが起こりうるのか想像したことがないというより、そもそも知らないのかもしれない。それを年長者が教えてあげたところで、彼女は「うるさいなぁ」としか思わないということも、容易に予測できました。

 でも、オトナなら言うべきなんじゃないの? オトナと子どもというほど年齢が離れているわけではないですが、年長者としての義務だと思うのです。少なくとも「だよね~」って同調するのはマズイでしょー。

 ……と自分の内側からモヤモヤが一気にわいてくるのを感じましたが、情けないことに私自身、その場で彼女を諭すことはできませんでした。

産むも堕ろすも決められない女子

 つい最近も似たようなことがありました。某バーで居合わせた年下女子から、「つき合い始めたばかりの彼の子どもを妊娠したけど、堕ろすしかないのかなぁ」という話を聞かされました。産むにしろ中絶するにしろ、どうしたいかのはっきりした意思表示はなく、彼女はただ「うーん、よくわからない」を繰り返すだけ。彼からもはっきりとした意志は表明されていないとのこと。

「一度ちゃんと話したほうがいいんじゃない?」と私が言っても「う~ん」と首をひねるだけだし、「私、お嬢さま育ちだから、彼との生活は無理だと思う~」と言い出す始末。話の主旨はそこではないと思うんだけど……。「じゃあ、どうしたいの?」と訊くと、また「う~ん……」に逆戻り。何もかもが茫漠としている彼女でした。デキてしまっているのに、いまさら「だったら、なんで避妊しなかったの?」といっても詮がないとはわかっていながらも、私の喉の奥でその一言が出ては引っ込んで、また出ようとして……を繰り返していました。

 ですが、驚いたのはその後でした。お店にはほかの酔客もたくさんいたのですが、その彼女よりも年下とおぼしき男性ふたり組もいました。ふと見ると、彼女がそのふたり連れに声をかけられ、LINEのIDを交換しているではないですか! 茫漠としたオツムゆえに避妊という発想がないままセックスし、その結果として妊娠したけど、何も自分で決められない……なのに、初めてあった男のナンパには積極的にノるってさぁ~!!

 ここまで来ると何もいう気はおきませんが……、でも、やっぱり何か一言いったほうがよかったとも思うわけです。根が小心者でチキンな私はそのときも、「私には関係ないや」とスルーしてしまったのですが、やはりこうして苦い思いが胸に残り、ずーっと後を引いています。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

@_momoco_

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