
はあちゅう『恋愛炎上主義。』ポプラ社
「結婚はしない」と言い切るコラムニスト・林永子と、「30歳までに結婚したいな」と願う有名ブロガー・はあちゅう。水と油のような2人がセッションしたらどんな化学反応が起きるのか? 雷鳴轟く6月下旬の某日に、対談が実現しました。
専業主婦の娘という立場
永子「お会いするにあたって、『はあちゅうの 20代で「なりたい自分」になる77の方法』(PHP研究所)や近著の『恋愛炎上主義』(ポプラ社)、web連載などを読ませていただいたのですが、私とはあちゅうさんってホントそもそもの考え方がまったく違うなと感じました」
はあちゅう「私もナガコさんのコラムを拝見して、そう思いました(笑)。私とは全然違うタイプの強い女性だなって」

(左)はあちゅう、(右)林永子
永子「私は結婚したいと思ったことが本当に一回もないんですよね。好きな人とずっと一緒にいたいみたいな気持ちはもちろんあるんだけど、結婚というシステム自体には乗れないというか、ハッキリ言って無駄だとも思っています。はあちゅうさんは何で結婚したいんですか?」
はあちゅう「母親が専業主婦なこともあって、女の子とは大人になったら結婚をして家庭に入るのが当たり前だと思って育ったので、『それが幸せなんじゃないか』と刷り込まれちゃってるんです、多分。『自分のことを好きでいてくれる人と結婚する』というのが幸せなのかなって。でもこれって、世間一般の多くの同年代女性たちも同じだと思う。もちろん、私にとってはそうだっていうだけで、他人に対して『結婚したほうがいい』とか『しないほうがいい』とかはまったく思わないですけれど」
永子「うちの母親も専業主婦なんですよ。逆に私は、そこへの反抗があって、非婚。『あんな女になるもんか』って思ってますね。母は家庭に入って祖父母の面倒も全部見てたし、家政婦のような役割を担わされていて、でもそれを喜んでやっているように見えた。それがすごく嫌いだった」
はあちゅう「そうなんですね。ただ、私も母への憧れというよりは“反抗”だと思うんです。実はうちの両親はあまり仲が良くなくて……。母が父を嫌っているのは幼少期からうすうすわかっていて、私の中にも父親への複雑な感情が芽生えていたけれど、『親だから好きにならないといけない』というジレンマをずっと持っていて。これは今もまだ折り合いがついてない感情なんですけど。『親とは違う形の、結婚をしたい』って考えになっているんだと思います」
永子「『恋愛炎上主義。』を読んでいて面白かったのが、はあちゅうさん自身の中で解消されていない葛藤が随所に表れているところでした。矛盾が多いですよね。周囲の言葉に流されやすい?」
はあちゅう「確かにそうですね。『結婚はいいものだよ』って言ってる人を見ると結婚いいなって思うし、堀江貴文さんのように『結婚なんて全然良くないよ』って言う人と話すと『あれ? 何で私は結婚したかったんだっけ?』って、揺れるんですよ(笑)。でも、これはもしかしたら私だけの感情じゃなくて、アラサー女子の通過点なんじゃないかな……っていうことで、いろんな問題提起をしたつもりなのがこの本です。私には永子さんみたいな確固たる強い主張はないんですけど、主張がないことが逆に一般女子のリアルなんじゃないかなって思うんです」
永子「それがマジョリティなのかもしれないですね。私みたいにガンガン自分の主張ばかり書いてると、『この人は一体何を言ってるんだろう』って、誰も共感しない。そういう意味では、私は“超主張のあるマイノリティ”かな(笑)。“主張のないマジョリティ”であるはあちゅうさんとは、やはり対照的ですね」
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