
はあちゅう『恋愛炎上主義。』ポプラ社
「結婚はしない」と言い切るコラムニスト・林永子と、「30歳までに結婚したいな」と願う有名ブロガー・はあちゅう。水と油のような2人がセッションすることでどんな化学反応が起きるのか? 雷鳴轟く6月下旬の某日に、対談が実現しました。
「本当は嫌われるのがすごく怖い」
永子「はあちゅうさんは結婚にファンタジーを抱いているようだけど、具体的にどんな男性と結婚したいんですか?」
はあちゅう「『王子様』ですね。ディズニーの物語に出てくるイメージそのものというか、私を『お姫様』として見出してくれて、幸せにしてくれる。そんな『王子様』を求めています」
永子「今までお父様の転勤や留学で海外生活も経験されているじゃないですか。留学先で他国のお友達と交流する中で、『王子様幻想』なんて持ってても無駄だ、って思ったことはないんですか? というのは、現実的じゃなさすぎるから」
はあちゅう「現実的じゃないって、自分でもわかってるんですけど……」
永子「でも諦めない?」
はあちゅう「私じゃなくて、現実の方が悪いんだって思っちゃうんですよね。目の前の男がダメなだけで、必ずどこかには王子様がいるだろうって」

白熱の王子様談義。
永子「じゃあ極端な話ね。30歳までに結婚したいと言いつつ、あと2年のうちに王子様に出会えなかったら?」
はあちゅう「うん……出てこないかもしれないってことが、最近、やっとわかってきて……28歳にして(笑)。自分でも妥協しなきゃいけないなって、少しずつ思い始めています」
永子「妥協はまたちょっと違うと思いますけど。でもはあちゅうさんは、すごく素直ですよね(笑)。王子様を待っているなんて、恥ずかしくて言えない!! という女性も世の中にはいるんだと思います。でもはあちゅうさんは、それをそのまま素直に書けるって、すごいことだなと」
はあちゅう「王子様願望とか、大笑いの的でしょう(笑)」
永子「そこを『しょうがないじゃん、そう思ってるんだから!』ってことですよね。そこの素直さがすごくいいですよね」
はあちゅう「心理学では『自分がオープンになれば相手もオープンになってくれる』と言いますが、私が素直に映るとしたら、そういう部分が大きいかもしれません。私、小学校の頃からスクールカーストコンプレックスに捉われていて。1~4年生まではわりとクラスの人気者だったと思うんですけど、4年生の途中で香港にある日本人学校へ転校したら、友達の作り方がまったくわからなくて、途端に低いカーストに転落、そこからは大学1年生まで戻りたいけど戻れないという状態が続きました。だから、人に嫌われてないかとか、かなり空気を読むようにもなって」
永子「カーストかあ。はあちゅうさんは、よく『勝ち負け』という表現を使われますよね。こっちが勝ちでそっちが負けだとか、自分はこれをやったら負けになっちゃう、とか」
はあちゅう「恋愛を勝ち負けで見ちゃうところですか?」
永子「そうそう。恋愛だったりその場でのポジショニングだったり、全体像の中で自分がどこにいるのかを、ものすごく気にされる方なのかなって」
はあちゅう「そういうところあると思います。勝者の人って、きっと意識してないんだと思いますけど。私の場合も、クラスの人気者だった時は全く考えたことがなかったんですが、転校して目立つグループに入れず転落した時に『私は今、弱い。早く上昇して勝ち上がらなきゃ毎日つまらない』と思って。でも中学、高校でも勝てなくてずっと敗者の気持ちを味わっていました」
永子「その勝ち負け、誰がジャッジしてるんですか?」
はあちゅう「自分自身です。自分自身が作り上げた妄想がジャッジしているというか、『あの子やその子はこう思ってるんじゃないか』とか勝手にすごい思ってて」
永子「相対的なものですね」
はあちゅう「被害者意識が私はすごい強いのかもしれないですけど。だけど、高校時代いつも一人で図書館に入り浸っていて『私って惨めだ』と思い込んでいた頃のことを、大学生になってから当時の同級生に『春香はいつも本を読んでいてカッコ良かった』と言われたんですよね。他人からの見え方ってコントロールできないものだし、考えすぎてもしょうがないんだって気付きました。それからは素直に自分の思ったことをブログなどで発信していくようにしています」