インタビュー

aikoの抱える悲壮感に胸を焦がす、aiko好き男子の心理

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aiko総力特集の『別冊カドカワ』を持参。

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――はじめまして。大熊さんも29日のライブに行ってたそうですね。私、最後まで見てて思ったのは、すごいホモソ感のある会場だなって……思いません?

大熊「わからなくもないです」

――ですか。でも会場の人たちはその感覚がすごく気持ち良い?

大熊「当然当然」

――大熊さんも?

大熊「もちろんです」

――私は逆に不安になりました。

大熊「aiko自体の問題とはまた別というか、aiko本人の考えは置いといて、表層的に見れば彼女は男に依存している人だと思うんですよ。フェミニズムとかこじらせとかとは、ちょっと違うものじゃないですか」

――現代社会での女性性を受け止めることに、aikoは一切懐疑的にならない感じがします。

大熊「07年5月にリリースされた『シアワセ』っていう曲が僕はすごく好きなんです。カップルだか夫婦だかわかんないですけど、ある男女が一緒の布団で寝ていて、女側がふと横で寝ている彼の寝顔を見た時にすごく幸せを感じた、っていう一瞬を切り取った歌なんですよ。この歌詞の一番最後、『ついて行くわ』と言って終わるんです。ココなんですよね。この思想をヘタな男に当てちゃうと、男はつけ上がるというかDV彼氏になってもおかしくないですよね。っていう意味では、aiko的な世界観は、女性を従えようとする/女性をマウンティングしたがる男の願望を叶えている側面が、もしかしたらあるのかもしれないですね」

音楽家としてのaiko

――大熊さんは現在34歳とのことで、aikoが「花火」でブレイクした99年には19歳だったわけですが、いつから、どの程度のレベルでaikoを好きなんですか?

大熊「いつからなんでしょうね、7~8年ですかね。他のファンの方に怒られるかもしれないですけど、シングルはほとんど買ったことがないです。DVDは何枚か所有していて、アルバムは全部持ってますね」

――iPodに何曲入ってるんですか? ていうかiPhoneとiPodは別ですか?

大熊「別です。今見たら、147曲……アルバムだけですね。最近だと12年リリースの『時のシルエット』というアルバムが大好きで、特にこの作品はまるまる通して聞くことが多いです。ライブに行くようになったのは実はここ2~3年で、去年は3公演行きました」

――何がきっかけで、aiko好き男子になったんですか?

大熊「ちょっと難しいんですけど、いろんな要素があって。曲の良さも当然あるんですよ。その、武田さんの原稿にも書いてあったんで繰り返しになってしまいますが、『花火』をリリースした当時はMISIAや宇多田ヒカルが人気で日本のポップスはR&B、ブラックミュージックをベースにしたものが主流だったんです。一方で、自意識を歌う“裸足の歌姫”系の女性シンガーも多く出ていた。aikoはそのどちらにも属してなかったんですよね。『花火』はちょっとR&Bを意識した曲調にはなっているものの、歌い方はまったく別ものだったし、なんかちょっと面白かったんですよね」

――その時点で面白いなと思っていたわけですね。

大熊「思いましたね。僕はもともと、60~70年代あたりのブラックミュージックとかAORとかポップスとかが好きなんですが、aikoのやってる音楽の一部分ってまさにそれなんですよ。つまり60~70年代、ちょっと80年代も入ってきますけど、そのへんのポピュラーミュージックを元ネタにした……パクリではないですけど、元ネタにした音楽。だから未だに打ち込みはやらないですね。基本的には生で演奏する音楽をずっとやってる。あくまでポップスです」

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