
Photo by Wonder Woman from Flickr
最近、どういうわけか身の回りで離婚の話をよく聞きます。「ウチの奥さんは◯◯なんですよ~」と楽しそうに話していた同僚が次の週になって突然離婚していたり、離婚調停をはじめようとする友達がいたり……そうした他人の近況を聞くたびにこちらは「え~……それは大変ですね」と答えるしかなく、手助けできることもないのですが、こうなると、こちらも「離婚」というキーワードに少し敏感にならざるをえません。
私が特に気になっているのが「現代の日本では3組に1組が離婚する」という言葉。この連載でも以前に取り上げたホリエモンとはあちゅうの対談にもこの言葉が使われていますけれど、これを初めて聞いたときに「えっ、そんなに離婚するの!?」と驚いたのは私だけじゃないでしょう。この数字を鵜呑みにすると、1/3のカップルが離婚してしまうように思われますし「結婚しても1/3の確率で離婚しちゃうのか~」と不安に思ってしまいそうです。しかし、自分の周囲を見渡すと、冒頭のようにポツポツ話を聞くものの、そんなに離婚している人は多くないのですよ。私が気になっているのは、この数字と現実のギャップです。
結婚する人自体が減っている
「現代の日本では3組に1組が離婚する」。この根拠について調べると、ギャップの原因はすぐに判明しました。この数字、あたかも結婚したカップルの離婚確率を表すかのように見えて、実は全然そういう数字ではないのです。厚生労働省が毎年実施している人口動態統計から「調査した年に結婚した人の数」と「調査した年に離婚した人の数」を比べているだけなのですね。
2013年のデータ(原稿執筆時点では推計値)を見てみると、この年に結婚したカップルは66,300組。これに対して、離婚したカップルは23,100組。この数字を比較するとたしかに「3組に1組が離婚する」と言っても良さそうですが、なにか引っかかるでしょう。
そもそも、比べる対象がおかしいのでは、と。結婚カップルは新しく発生したものをカウントしているのに、離婚カップルはこれまでずーっと結婚していた人たちが調査対象になっているんですから。このおかしさについては「3組に1組が離婚 嘘」といったキーワードで検索していただければ、詳しい解説がいくつか読めますが(わかりやすいものとして、こちらをご紹介しておきます)、要するに「現代の日本では3組に1組が離婚する」という言葉は、データをあたかもそれっぽく見せているだけ、としか言いようがありません。「日本では離婚が増えている!」というような印象操作に使われているのだとしたら、悪質なものだと言えるでしょう。