恋愛・セックス

「夫婦の3組に1組が離婚」はウソ! 離婚にまつわるデータの恣意的な印象操作

【この記事のキーワード】

熟年離婚は本当に増えているのか

 また「熟年離婚が増えている!」という話も最近よく聞きます。これも「同居期間別にみた離婚の構成割合の年次推移」というデータがありますので見てみましょう。

画像をクリックすると拡大されます。

画像をクリックすると拡大されます。

 アリの行列みたいな黒い破線が、年ごとに発生した離婚のなかで同居20年以上の離婚件数の割合です。たしかに昭和55年(1980年)ごろを境にして熟年離婚の割合は増えています。が、これも若い人が結婚してなくて、婚姻率が高かった頃に結婚していた人が通常通りに離婚しているだけのようにも思われます。よく「AERA」(朝日新聞出版)などで言われているような「団塊世代の女性は、自立心が高いので熟年離婚をしがち」なんて論説も、こじつけなのでは……?

 統計データを見る限り、マスコミなどで言われている「増加する離婚問題」の多くが数字的な裏付けがない、または薄い、間違っている、あるいは印象操作的に数字を使用しているのでは? というのが今回の結論でした。

 個人的には、不幸な結婚を続けるよりも離婚を選択するのは個人の自由ですし、選択肢は多いほうが良いと思うので離婚件数はバンバン増えたら良いんじゃないかな、と思います。ただし、離婚によって父子家庭・母子家庭と、児童扶養手当などの支給が社会的なコストとして発生していくことを考えると、離婚の爆増で社会保障費用が増大して税金も大幅アップ、さらに別枠の既存の手当がまわらなくなるなどの問題が懸念されます。そうすると離婚が社会的な悪になりかねませんよね。そのへんのバランスを今後どう考えていくべきなのか。女性の社会進出〜、とか、女性の自由が〜、とか言ってたら、避けられない問題だと思うんですよ。

■カエターノ・武野・コインブラ /80年代生まれ。福島県出身。日本のインターネット黎明期より日記サイト・ブログを運営し、とくに有名になることなく、現職(営業系)。本業では、自社商品の販売促進や販売データ分析に従事している。

backno.

 

1 2 3

カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra