
『ワイプラス2014年5月号Vol,13』カラークリエイト
ホストブームを覚えているだろうか。あれは2005~06年頃。新宿は歌舞伎町にある「ホストクラブ愛」のナンバーワンだった城咲仁(36)がタレント化し、ホストクラブを舞台にしたマンガ『夜王』がTOKIO松岡昌宏主演で連続ドラマとして放送された。
ホストといえば、女性をカモにして大金をむしりとったり、たいしてカッコよくもない男が色気を出そうと必死でカッコつけていたり、大酒を飲んでバカ騒ぎをしていたりといった良くないイメージがつきまとう。ブームの去った今でも繁華街にはホストがいる。テレビで見るイメージそのままの、色黒あるいは透けるような色白肌で、胸元のはだけた服を着た、失礼ながら見るからにチャラそうな男が多い印象を受ける。逆にそうでない男性は、ホストに見えないから「ホストだ」として認識していないだけかもしれない。ただ、ホストが今、「旬」の存在として注目を浴びていないことは確かだ。一方で『小悪魔アゲハ』が盛り上げたキャバ嬢ブームも去った。キャバクラ含め、夜のお水カルチャーが全盛期を過ぎ、衰退していく現状を肌で感じる。
しかし、そんな薄暗さと業界の実態には乖離があるとし、悪いイメージを払拭しようと奮起する動きがある。現役ホストを“ネオホスト”と称しモデルとして起用した「ちゃんとおしゃれ」なメンズ向けファッション誌『Y+(ワイプラス)』(カラークリエイト)を創刊した今川直也さんだ。
今川さんは、「ホスト文化が花開いて20年。5~10年前のブームを経て、今が分岐点だと思っている」と語る。

この人たちホストです!(『ワイプラス 2014年7月号』誌面より)
今川「ホストクラブの店舗数に限っていえば、全国的に増えているんです。でもそれはラーメン屋の暖簾分けと同じで、どこかのホストクラブで数年間働いた人間が、同僚を数人引きつれて独立し新店舗をオープンしているだけ。お客さんの総数は増えてないので、このままでは『ホストやってても儲からない』どころか『食べていけない』という状況に陥る懸念もある。実際、すでに職業安定所には“ホスト難民”が通っています」
客層はいわゆる「一般OL」ではなく、メンヘラ寄りに偏っている印象も否めない。「ヴィジュアル系バンド好きのコがメイン。だからホスト本人の好みではないとしても、だからお客さんにウケるためにあえてヴィジュアル系っぽく装うホストも多い」という。しかしどんな商売の店でもそうだが、あまりに通いつめれば客の懐はからっぽになる。結果、昼の仕事をしていても性風俗に転職して通い続ける女の子も少なくないそうだ。実際、まるで地獄の入り口のような恐ろしいイメージをホストクラブに抱いている人は多いのではないだろうか。そんな業界を至近距離で見つめて来た今川さんは、「でもそんなの不健全じゃないですか」と現状を疑問視している。
今川「もっと、カラオケに行くくらいの感覚で一般の女の子たちが楽しめる場所になってほしいんです。夜のコが夜の遊びをしている、というサイクルを変えたい。客層の幅を広げていきたいし、そもそも最近の活躍しているホストは“いかにも!”っていうダサい感じばっかりじゃないんですよ。彼らの存在をもっと広く知ってもらえれば、『それなら行きたい』という女の子も増えると思うんですね。当然、お客が増えれば店舗自体もコンプライアンスとかおざなりにしてきたところをちゃんとやらなきゃ、となって自浄作用もはたらきます。業界全体の地位の向上にもなります」
その一歩とすべく、現在、「第7回全日本ホストグランプリ」が開催中だ。エントリーは全国のホストクラブで働くホストたち、およそ300名。これまでは「審査員」を立てて、各店舗から選抜されたナンバーワンホストを壇上で審査する、JUNONボーイオーディションのような形式だったが、今年はAKB総選挙よろしくお客の投票によって順位が決められる。投票期間は9月30日まで。最終的に上位5名をイベント会場に招集し、観客の前で開票イベントを行う予定だ。
messyでは今後、ホストグランプリエントリーの有無にかかわらず、現役の「本当にカッコいい」ホストの素顔を紹介していきたい。

まじでホストなんです!(『ワイプラス 2014年7月号』誌面より)
(清水美早紀)